50~60代必見!ビンテージギターの魅力とオークション市場
2024/11/29
「ビンテージ」と聞いて何を連想しますか?ジーンズ、Tシャツ、ワイン…。本記事では、数あるビンテージの中でも、特に50~60代の「バンドブーム世代」に刺さる「ビンテージギター」の魅力と「オークション市場」について詳しくご紹介します。
ビンテージギターとは?中古ギターとの違いと、生産国による違い
ビンテージギターと聞くと、多くの人はその独特の響きや歴史に思いを馳せることでしょう。ビンテージギターとは単なる中古ギターではありません。中古ギターは、一度誰かの手に渡り再び市場に戻ってきたものを指します。ビンテージギターは、単なる古いギターではなく、特定の時代背景や製造技術、木材、そしてその音色に特別な価値があるものを指します。
特に、1950年代から1970年代にかけての海外製ビンテージギターは、伝説的なミュージシャンに使用され、その時代の象徴として評価されています。一方、日本製のビンテージギターは、1970年代から1980年代にかけての「模倣の黄金期」において高品質なコピーモデルや独自モデルが登場し、多くの音楽ファンの心をつかみました。
ノスタルジー(郷愁)、青春時代の思い出、そして所有することによる満足感など、ビンテージギターには中古ギターには無い特別な魅力が宿っています。さらに、海外製のビンテージギターは希少性や投資価値の高さから、財産としても注目されています。一方、日本製は中高年代の人々に懐かしさを呼び起こし、手頃な価格で高い品質を提供することで、実用的な選択肢として支持を集めています。
ビンテージギター市場の活性化
ビンテージギターの入手方法は、その出自や人気に応じて異なります。特に、海外製と日本製のギター市場には大きな違いがあります。
海外製
Gibson(ギブソン)やFender(フェンダー)といったブランドの1950年代や1960年代製の人気モデルは、価格が数百万円になることも珍しくありません。その高額な価格ゆえに、個人売買ではなく専門店を通じて売買されることが一般的です。専門的な知識を持った信頼できる店舗を選ぶことが重要で、有名なギター専門店では、ギターの状態や修復履歴など詳細な情報を提供し、実際に試奏できる環境が整えられています。なかでも「ハイパーギターズ」という老舗専門店は有名で、著名ミュージシャンのYouTubeなどで度々目にすることができます。欲しいモデルが決まっていれば「デジマート」といったウェブサイトから販売店を探すこともできます。何れにしても高額な買い物になるので実際に試奏することが重要でしょう。
日本製
日本製のビンテージギター市場は、入手方法の選択肢が広がっています。1970年代から1980年代に製造されたGreco(グレコ)やTokai(トーカイ)などのブランドのモデルは、手頃で高品質な選択肢として人気があります。日本国内では「デジマート」や「ヤフオク!」、「メルカリ」などのオンラインプラットフォームが市場を活性化させており、実店舗に足を運ばなくても自宅から多様な商品を探すことができます。特に「ヤフオク!」や「メルカリ」などの個人売買プラットフォームは、レアな逸品や掘り出し物を見つける場として広く利用されています。価格帯としては、数万円~数十万円程度が大半を占めます。
日本製ビンテージギターのオンライン市場は、手軽さと価格の競争力が魅力です。これにより、多くの人々にビンテージギターの購入機会が開かれました。実際の店舗に比べるとリスクも伴いますが、詳細な商品説明や写真、出品者情報などを元に信頼できる商品かどうかを判断することができます。これらの情報を元に「自己責任」で入札・購入することになります。
まとめ
海外製ビンテージギターの市場は高額であるがゆえに、専門的な実店舗での信頼ある取引が主流となります。一方、日本製ビンテージギターは、オンライン市場の発展により多くの人々がアクセス可能となり、レアなギターに出会う機会も増えています。どちらも一長一短があるものの、購買層にとって重要なのは、自分に合った市場を見極めることです。
オークションサイトやフリマサイトの普及と転売ヤー問題
近年、日本製ビンテージギター、通称「ジャパンビンテージ」または「ジャパビン」は、その品質の高さと希少性から国内外で人気を集めています。1970年代から1980年代に製造されたGreco、Tokaiなどのギターは、かつては廉価版と見なされていましたが、今では「高品質な銘品」として評価され、多くの音楽愛好家やコレクターが探し求めるアイテムとなりました。これを支えているのが、インターネットを利用したオークションサイトやフリマサイトです。これらのプラットフォームの普及により、個人が手軽にギターを売買できる環境が整い、市場の活性化に寄与しました。
しかし、こうしたプラットフォームの普及に伴い、転売ヤーと呼ばれる転売目的の業者や個人の存在が問題視されています。彼らはギターを購入し、別のサイトで高額で転売することで利益を得ようとします。これにより、「純粋にギターを楽しみたい」「リーズナブルな価格で入手したい」という人々の願いが損なわれています。転売ヤーの影響で市場価格が不当に吊り上げられることもあり、特に人気のモデルは入手が難しくなることがしばしばあります。
転売ヤーの行為は、ギター愛好家にとって二重のフラストレーションを生み出します。一つは、探し求めているギターに出会う機会が減ること。もう一つは、本来の価値以上の価格を支払わざるを得ない状況に追い込まれることです。このため、「ジャパビン」のようなニッチな市場で、健全な売買と価格の安定を求める声が高まっています。
とはいえ、オンラインプラットフォームの便利さは否定できません。デジタルツールによって地方に住む人々や、普段訪れることができないショップの商品にもアクセスできるようになり、多様な選択肢が広がりました。しかし、その裏に潜む転売ヤーの影響は、プラットフォーム運営側にとっても対策が必要です。信頼性を高めるためのユーザー評価システムや、不正取引を防ぐための監視機能などを強化することで、純粋なギター愛好家が安心して利用できる環境を整える必要があります。
これからのジャパビン市場を健全に保つためには、相場や商品の情報を十分にリサーチし、転売ヤーを見極め、冷静かつ適正な価格で取引を行い、信頼できるコミュニティなどを活用して、公正な取引を心がけることが重要です。
ビンテージギター市場の活性化とフェルナンデス社の破産
ビンテージギター市場の活性化は、ギター愛好家にとって嬉しい一方で、新品ギター市場に負の影響を与えたことも事実です。特にフェルナンデス社の2024年7月の自己破産申請は、かつて「ギターキッズ」だった世代にとって大変寂しいニュースでした。1970年代から1990年代にかけて、フェルナンデス社のギターは手頃な価格でありながら高い品質を提供し、プロからアマチュアまで広く愛用されていました。「初めて買ったギターはフェルナンデスでした」という人はプロアマ問わず多いでしょう。
フェルナンデス社が自己破産を申請したというニュースが報道されると、プロミュージシャンやYouTuberが続々とSNSで寂しさと自身の思い入れを発信するなど、音楽シーンにおける同社の功績を再確認させました。ビンテージ市場が拡大し、オークションサイト等での取引が増加する一方で、新品ギターの需要が減少したことが、フェルナンデス社の経営悪化の一因であったとのコメントが多くみられます。
生まれ年に製造されたギターへの特別な想い
「自分の生まれ年に製造されたギター」を所有することに特別な想いを寄せる人もいます。自分と同じ年に製造されたギターを手に入れることで、楽器と自分自身の成長を重ね合わせ、特別なつながりを感じることができます。ギターは主に木材で構成されています。時間の経過やメンテナンス、普段から弾き込まれているかなど、さまざまな要因で状態が変化し、人間と同じように歳を重ねるものです。自分と同じ年に生まれたギターを探しやすいのもオークションサイト等の魅力の一つでしょう。(多少ガタが来ている個体でも、同い年と考えれば愛着に変わると思います)
ビンテージギターは本当に「投資対象」になるのか?
ビンテージギターの魅力に触れると、多くの愛好家はその独特の歴史や音質に惹かれます。しかし、これを「投資対象」として見る場合、話は少し複雑になります。日本製と海外製のビンテージギターには大きな違いがあり、その違いは市場での動きや目的にも影響を与えます。
まず、日本製のビンテージギターは「オークションサイトでの転売」を目的に購入されることがあります。デジタルプラットフォームが広がるなか、個人間の売買が活性化し、短期的な利益を狙う転売ヤーが市場に参入しています。これによって価格が上がることもありますが、長期的な資産価値として見るには不確実性が高いと言えるでしょう。
一方、海外製のビンテージギターは、プロミュージシャンや長年のギター愛好家がその希少性と音質を評価して所有することが多いです。例えば、FenderやGibsonの1950年代~1960年代製のギターは、昔は定価で購入されたものでありながら、現在では価値が高騰しているケースがよく知られています。しかし、それは歴代のオーナーが投資目的で買ったものではなく、「楽器としての価値」を重視していたものです。たとえ現在その価格が高騰していても、それは単なる幸運や時代背景が生み出した結果にすぎません。
仮に海外製ビンテージギターを投資目的で購入するとしても、そのリスクは見過ごせません。まず、ギターのコンディション維持には相応のコストがかかります。適切な保管環境、温湿度管理、メンテナンスは必須です。さらに、天災などによる破損や盗難のリスクも無視できません。高額なギターであれば保険の適用も考えられますが、その費用も馬鹿になりません。
また、ギターそのものが価値を生み出すわけではなく、数年間保有しただけで希少価値がどれほど上がるかは保証されていません。音楽業界やビンテージ市場のトレンドも変動します。高額で売却できた場合でも、売却益には税金がかかることも考慮に入れる必要があります。これらを総合的に見ると、ギターは他の金融商品に比べてリスクが高く、長期的な投資には向かないのではないかと筆者は考えます。
では、なぜ多くの人がビンテージギターを求めるのでしょうか?その答えは「楽器としての価値」にあります。ギターは弾かれ、その音を楽しむことで初めて本来の価値を発揮します。単なる市場価格だけでなく、弾き込まれた音、時代を経た木材の響き、そしてそのギターが持つストーリーこそが真の価値と言えるでしょう。プロミュージシャンが所有するギターは、投資目的ではなく、その音と演奏体験のためです。
結論として、ビンテージギターを「投資対象」として考えることは一つの選択肢ですが、そのリスクと経費、リターンを冷静に見極める必要があります。安全な資産運用を求めるのであれば、より確実な金融商品に目を向ける方が良いかも知れません。ギターの価値は、数字ではなくその音にある。ビンテージギターの所有は、心に響く音を愛すること、そしてそれを未来に伝えていくことにこそ価値があるのではないでしょうか。
ジャパビンの歴史と魅力
フェンダー・ジャパンの誕生
日本製ビンテージギター、通称「ジャパビン」は、その品質と歴史、そして多様な選択肢の豊かさにおいて特別な価値を持ちます。その中でも特に外せない存在が「フェンジャパ」(Fender Japan)です。1982年、アメリカのフェンダー社は日本での販売拠点として、フェンダー社と富士弦楽器製造を筆頭株主としてFender Japanを立ち上げました。これは、フェンダー社が品質維持に苦労していた時期に、日本製の高品質なギターが評判を高める一因となり、結果として世界に高く評価されることになりました。フェンジャパのモデルは、アメリカ製のものに匹敵するほどの精度と品質を誇り、現代においてもビンテージ愛好家にとって憧れの的です。
日本のギター製造業の成長と高品質モデル
フェンジャパに限らず、1970年代から1980年代にかけての日本のギター製造業は急速に成長を遂げました。GrecoやTokai、FERNANDES(フェルナンデス)、YAMAHA(ヤマハ)などはその先駆けとなり、FenderやGibsonなど海外の一流モデルを研究しつつ、細部に工夫を加え、高品質なコピーモデルを生み出しました。これらのメーカーは、日本製ギターが「単なるコピーモデル」ではなく、「改良と創造」を通じて独自の地位を築いた証となっています。
前述したブランド以外にも、市販のパーツを組み合わせて作成されたコンポーネントギター(ブランド例:Moon(ムーン)、SCHECTER(シェクター))や、注文に応じて作成されるカスタムオーダーメイドギター(ブランド例:ESP(イーエスピー))も、ギター愛好家にとっては特別な存在でしょう。
現在では環境保護の観点から入手困難な木材(ハカランダ、ホンジュラスマホガニー、エボニーなど)や、美しく美術品のような杢目(もくめ)の木材(キルトメイプル、フレイムメイプル、バーズアイメイプルなど)が使用された個体もあり、希少価値が高くなる大きな要素になっています。
年齢を重ねた今が買い時?
このようなギターは多くのプロミュージシャンに愛用されており、「ギターヒーローへの憧れ」も相まって、愛好家の所有欲は増すばかりです。当時の「ギターキッズ」にとってこのようなギターは非常に高価で「高嶺の花」でしたが、いまでは年齢を重ね、経済的に余裕ができた世代にとって手の届きやすい存在になってきました。
過去との再会
ジャパビンの魅力は品質だけではありません。50代以上の世代にとって、ジャパビンは青春時代を象徴する存在かと思います。1980年代から1990年代にかけてのバンドブームを覚えている方々は、当時のテレビ番組や音楽雑誌で見かけた憧れのアーティストたちが、日本製のギターを持って演奏していたシーンが脳裏に焼き付いている人も多いでしょう。人気ギタリストと同じギターが欲しくてドキドキしながら楽器屋デビューしてギターを購入し、バンドスコア(譜面)を友人たちとコピーしあって競って練習した日々を思い出す人もいるでしょう。ジャパビンは個人の記憶や情熱と深く結びつき、所有することによって過去との再会を楽しむことができます。
修理とカスタマイズの楽しさ
ジャパビンのもう一つの魅力は、所有者自身がギターを修理したり、好みに応じて部品を交換することができる点です。これにより、自分だけのカスタムギターを作り上げる楽しさが生まれ、音楽との関わり方がさらに深まります。こうした「自分でいじる」楽しさは、専門店での修理に頼る高額な海外製ビンテージギターでは得がたい体験であり、ジャパビンの大きな魅力の一つです。
おわりに - ジャパビン購入のすすめ
「ジャパビン」はバンドブーム世代にとって青春の象徴であり、ギターキッズだった頃に時間を戻してくれる貴重な存在です。そういった意味では、高額な海外製ビンテージギターには無い大きな魅力です。かつて、私たちを夢中にしてくれたギターは世代や国境を越え、ビンテージギター市場でその価値が再認識されています。その事実が「ジャパビンの素晴らしさ」を証明しています。
社会人になり、楽器に触れる時間が次第に減り、いつの間にか家の片隅に追いやられて埃をかぶっているギターはありますでしょうか。オークションサイトを見てみたくなりましたでしょうか。もし一度ギターから離れてしまったとしても、再び手にするチャンスはいつでもあります。現役ギタリストで、自分の出したい音を求めて次の1本を探している人にも、ジャパビンは貴重な選択肢の一つとなるでしょう。日本の職人技が詰まったギターは、あなたの生活を豊かにしてくれるはずです。
当時は手の届かなかった憧れのギターも、今ならあなたの手元に迎え入れることができるかもしれません。感動や喜びをもう一度感じたいと思っている方に、ジャパビンはその価値を何倍にもして返してくれるでしょう。自分の生まれ年に製造されたギターや、かつて夢見た一本が、今のあなたの生活をもっと豊かにしてくれることを期待して、あの頃に戻る一歩を踏み出してみるのはいかがですか?
※記載した企業名、商品・サービス名は内容の理解を深めるための一例であり、これら企業への投資や商品・サービスの購入を推奨するものではありません。
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