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幸福度と収入の意外な関係…幸福度を高めるお金の使い方とは?

2021/02/10

知恵のハコ

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「収入が増えればもっと幸せになれるのに」「もっとお金持ちになりたい」多くの人がこのように考えたことがあるのではないでしょうか。収入を増やしたい、そう考えるのは自然なことです。しかし、収入が増えるほど幸福度も増える、というわけではないようです。今回は幸福度と収入の関係についてみていきたいと思います。

幸福度のピークは年収800万円?

幸福度と収入は比例するが、年収7万5,000米ドル(約800万円)で幸福度はほぼ頭打ちになるということが、ノーベル経済学賞受賞者である心理学者ダニエル・カーネマン教授らによって発表されています。こちらは米国の研究ですが、実は日本でも内閣府が年収と幸福度に関する調査結果を発表しています。2019年に発表された「満足度・生活の質に関する調査」では、1万人を対象に世帯年収別に主観的な満足度の変化を比べています。

  • 「100万円未満」5.01点

  • 「100万円以上300万円未満」5.20点

  • 「300万円以上500万円未満」5.68点

  • 「500万円以上700万円未満」5.91点

  • 「700万円以上1000万円未満」6.24点

  • 「1000万円以上2000万円未満」6.52点

  • 「2000万円以上3000万円未満」6.84点

  • 「3000万円以上5000万円未満」6.60点

  • 「5000万円以上1億円未満」6.50 点

  • 「1億円以上」6.03点

その調査によると、年収500万円以上700万円未満の人の幸福度は平均5.91、年収700万円以上1,000万円未満の人の幸福度は6.24で、0.33の差が開いています。一方、年収1,000万円以上2,000万円未満の幸福度は6.52で年収700万円以上1,000万円未満との差は0.28となっています。

幸福度と収入の関係

なぜ収入があるレベルを超えると幸福度が頭打ちになるのでしょうか。

その理由の一つは、お金によって満たされるのは、あくまでも「満足度」だけで、「幸福度」ではないということです。満足度というのは、使えるお金、住む家、乗っている車、食べるものなど、「どれだけ満足しているか」を示す指標です。物質的欲求を満たしたときに感じるものであるともいえるでしょう。一方、幸福度は、幅広い要素によって成り立っています。生活満足度、人生満足度、職場満足度、健康満足度、感情的満足度、将来満足度など、いろいろな満足が合わさり、心が総合的に満たされることで感じるものといえます。満足度は部分的なもので、幸福度は満足の集合体なのです。

収入が極端に低く、衣食住に問題を抱えているような状態であれば生活満足度が低い状態であり、「幸福度」は低くなってしまうでしょう。しかし、収入があるレベルを超えると基本的な生活に支障がなくなります。つまり、それ以上の収入は「満足度」を引き上げることはあっても、「幸福度」にはあまり寄与しないということなのです。

国連による世界の幸福度ランキングで日本は順位が低め

国連の関連機関が毎年「世界幸福度ランキング」という調査結果を発表しています。2020年の日本の順位を見てみると、62位と対象の156ヵ国の中で真ん中より少し上、という高いとはいえない順位になっています。さらに2012年に第1回が発表されてから、日本は年々順位を下げています。世界有数の経済大国である日本の順位がこんなに低いことに驚く方も多いのではないでしょうか。

世界的な金融危機や環境破壊の経験を踏まえ、国内総生産(GDP)などの経済指標だけでは豊かさや幸福度は表せないとの反省から、このランキングは集計・分析をされるようになりました。各国で「どれくらい幸せと感じているか」を評価してもらった世論調査をもとに、GDP、平均余命、社会的寛容さ、社会的支援、自由度、腐敗度といった要素をもとに幸福度を分析しています。2020年のランキング上位を見てみると、1位フィンランド、2位デンマーク、3位スイス、4位アイスランド、5位ノルウェーと北欧諸国が多く並んでいます。その特徴として、北欧では社会保障がしっかりしている点が要因の一つといわれています。

日本で評価が低い項目が「社会的寛容さ」と「自由度」です。社会的寛容さはボランティアの多さや1ヵ月以内に寄付をしたか等で評価されるため、寄付文化の薄い日本では加点されにくい項目となっています。先に述べた内閣府の「満足度・生活の質に関する調査」において、回答者の半分以上がボランティアを行っていないと回答しています。そのことからも、日本人のボランティアの少なさが幸福度評価を下げているということがわかります。

国連の「世界幸福度ランキング」は欧米の一般的な価値観に基づいている質問もあるため、欧米諸国が上位となる傾向があるともいわれています。国連の画一的な指標によって、日本人の幸福感、人生の満足度を測ることは、少々無理があるのかもしれませんが、少なくとも経済の豊かさだけでは幸福度を高めることはできないということはいえそうです。

幸福度を高めるお金の使い方

社会科学研究者マイケル・ノートン氏の調査によると、「モノ」にお金を使うより「体験」に使う方が、幸福度が高いという結論が出ています。モノを買った場合、買った瞬間は幸福度が高くても、その後すぐに幸福感を感じなくなっていきます。それは、持っていることが当たり前になる、人間の慣れが原因です。やがて新商品が出れば、新しい商品が欲しいというストレスが募ります。一方、旅行やパーティーなどのイベントでは、計画段階から幸福度の上昇が始まり、当日または前日に幸福度はピークを迎えます。さらに、旅行などの楽しい思い出は、いつまでも記憶に残り、幸福感が長続きします。それどころか時が経てば経つほど、二度と体験できないかけがえのない思い出として、価値を増していくことさえあります。モノではなく体験に使うお金を増やすことは、幸福度を高めるためのひとつの方法だといえるでしょう。

イメージ

最後に

人によって家族構成や、目指す人生の在り方が違っているため、幸福の形が人それぞれであることは当然です。一概に高収入であることだけが、幸福度を高めるとは限りません。収入を増やすために仕事の時間を増やしたことで、休日がなくなったり、家族との時間を犠牲にしたり、趣味の時間を持てなくなっては結局幸せを感じることはできないのではないでしょうか。ダニエル・カーネマン教授の研究にあるように年収7万5,000米ドル(約800万円)あたりの生活が、収入で得られる満足感とそれに対する仕事の忙しさ等のバランスがいいということなのかもしれません。

自分の価値観、幸せがどこにあるのかを考えてみると収入と自分の幸福度の関係が見えてくるのではないでしょうか。

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