住宅ローン控除とは?条件や控除額を知って正しく活用しよう
2020/01/24

人生の大きなイベントのひとつである「マイホーム購入」。
多額のお金が必要となるこのイベントには、住宅ローンを利用する方も多いのではないでしょうか。住宅ローンには「住宅ローン控除」という制度があり、マイホームを検討している方なら一度は耳にしたことがあると思います。
今回はこの「住宅ローン控除」について、ご紹介します。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは「住宅借入金等特別控除」の通称で、マイホームを住宅ローンを利用して購入した場合に適用される制度です。一定期間において、ローン残高に応じた金額が所得税から差し引かれ(税額控除)、還付される仕組みになっています。なお、所得税で控除しきれない分は、翌年の住民税から差し引かれる場合もあります。
適用対象となる条件は?
住宅ローン控除の対象となるには、いくつか条件があります。新築物件の場合、中古物件の場合、リフォーム・増築の場合によって、それぞれの条件が定められており、住宅ローン控除を受けるためには一定の条件を満たさなくてはなりません。共通している条件として、いくつかご説明します。
【適用条件】
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適用を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
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返済期間が10年以上であること
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以下の借入金融機関等からの借入れであること
① 銀行
② 住宅金融支援機構
③ 信用金庫・信用組合・農協
④ 各種公務員共済組合
⑤ 地方公共団体
⑥ 勤務先(年利0.2%以上のもの) -
取得後6か月以内に入居し、入居後引き続き住んでいること
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床面積が50㎡以上であり、床面積の50%以上が居住用であること
実際どのくらいの控除額が戻ってくるの?
住宅ローン控除は控除期間中、年末時のローン残高の1%が所得税から控除されます。とてもシンプルに感じますが、ローン残高は毎年減っていくものなので控除額も同様に変わってきます。また、消費税率が10%になったことに伴い、控除期間が10年から13年に延長にされました。
適用消費税率 | 10% | 8% | |
---|---|---|---|
居住開始期 | 2019年10月1日~ 2020年12月31日 |
2021年1月1日~ 2020年12月31日 |
2021年12月31日まで |
最大控除期間 | 13年間 | 10年間 | |
年間控除額 | 【1~10年目まで】 年末の住宅ローン残高の1%(最大40万円) 【11~13年目まで】 「建物価格×2%÷3」または「年末のローン残高の1%」のいずれか低い金額 |
年末の住宅ローン残高の1%(最大40万円) |
住宅ローン控除を受けるための手続きは?
住宅ローン控除の手続きとしては、確定申告が必要となります。入居した年の翌年の確定申告時に申請を行います。会社員の場合は、2年目以降は会社にローン残高証明書を提出することによって、年末調整で手続きすることができます。
住宅ローン控除の注意点
当然のことながら、いくら税金が差し引かれると言っても、ないものを差し引くことはできません。例えば、所得税と住民税の合計額が30万円だった場合は、住宅ローンの残高が3,000万円を超えていたとしても、差し引ける金額は30万円となります。
また、住宅ローン控除はふるさと納税(寄付金控除)や医療費控除、iDeco(小規模企業共済等掛金控除)などの制度と併用することは可能ですが、上記理由から、必ずしもすべての制度の満額が節税できるとは限らないため、注意が必要です。
こんな制度も
ここまで住宅ローン減税制度についてご紹介しましたが、間接的に関係している制度もいくつかご紹介します。
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「投資型減税」制度
ローンを利用しない場合でも所得税の控除を受けられる制度があります。「投資型減税」制度といって、耐久性や省エネルギー性に優れた住宅であれば、自己資金のみで取得する場合にも所得税が控除されるというものです。住宅ローン控除とは違って、1度きりの控除(最大控除額65万円)となっており、入居した年の翌年の確定申告時に申請を行います。優良住宅を現金で取得した場合の選択肢として良いかもしれません。
対象住宅 | ①長期優良住宅 ②低炭素住宅 |
控除対象限度額 | 650万円 |
控除率、控除期間 | 10%、1年間 (控除しきれない部分は翌年度の所得税から控除) |
最大控除額 | 65万円 |
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消費税率アップ(8%⇒10%)に伴う変更点
ただでさえ多額の資金が必要となるマイホーム購入ですが、消費税率がアップするとなるとその負担額も大きくなります。政府は税負担を少しでも和らげるため、住宅ローン控除以外にもいくつかの制度を導入・拡充し、住宅購入を後押ししています。-
住宅ローン控除の最大控除期間を10年から13年に「3年延長」
前述の通り、最大控除期間が3年延長となりました。ただし、2020年12月31日までの居住開始が対象となり、消費税率8%で購入した場合や中古住宅の場合(売主が個人の場合)にはこの対象とはならないため注意しましょう。ちなみに、2021年1月1日以降になると最大控除期間は10年に戻ります。 -
すまい給付金の拡充
2021年12月31日までの居住開始が対象となり、これまで対象者が「年収510万円以下」の場合、給付金は「最大30万円」だったのが、対象者が「年収775万円以下」の場合、給付金は「最大50万円以下」と拡充されました。 -
「次世代住宅ポイント」制度の導入
一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能等を満たす住宅や家事負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームが対象となり、さまざまな商品と交換できるポイントを発行する制度です。新築で最大35万ポイント(35万円分)、リフォームで最大30万ポイント(30万円分)の商品と交換できます。 -
住宅取得資金贈与の拡大
住宅を購入または増改築する際、父母や直系尊属からの贈与の非課税限度額が拡大されました。例えば、2019年4月1日~2020年3月31日に契約した場合、一般住宅で700万円までだったものが2,500万円まで拡大しました。2020年4月以降は段階的に限度額が下がっていくので注意しましょう。
このように、国の制度を上手に利用することで住宅ローンの支払いも軽減されることが分かります。マイホーム購入は人生で何回もあるものではなく、制度も都度変更しているため把握するのが難しいかもしれませんが、利用するとしないとでは大きな違いがでてくるものです。マイホーム購入は、こうした制度の活用を踏まえながら検討するのはいかがでしょうか。
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