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インデックスファンドとは?その運用方法を徹底解説!

2019/12/11

ふやす

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皆さまは投資信託(以下、ファンド)には、ファンドごとに運用方針が設定されていることをご存知でしょうか。

ファンドを選ぶ際に非常に重要なポイントの一つとして、運用方針の違いがあげられます。運用方針とは、ファンドがどのような指針で運用されるのかを定めたものをさします。代表的なものを一つあげると、「積極的にリターンの獲得を目指すアクティブ運用」というものがあります。これは、投資のプロであるファンドマネジャーが投資対象の銘柄について、企業訪問などの調査や、過去のデータ分析などを行い、より高い収益率が見込まれる銘柄を選出し、市場平均を上回るリターンの獲得を目指す運用手法です。アクティブ運用を運用方針とするファンドはアクティブファンドと呼ばれています。

これに対して、もう一つ代表的なファンドの運用方針をあげると、「市場平均に連動したリターン獲得を目指すパッシブ運用」というものがあります。代表的なものにはインデックスファンドがあります。

今回はこのインデックスファンドとはどのようなものなのか、ご紹介します。

インデックスファンドとは

インデックスファンドとは、ベンチマーク(目標とする指数)の値動きに連動するように組入銘柄を構成し、運用する手法を用いたファンドをさします。

指数とは、マーケットにおいて株式や債券などの個々の価格データを集計し、市場全体の動向が分かるよう数値化したものです。代表的な指数として「日経平均株価」や「東証株価指数(TOPIX)」があげられます。インデックスファンドは市場全体や市場を代表するような指数と連動するように投資を行うため、市場全体のパフォーマンスが良好な時は追随してプラスのリターンを獲得でき、振るわないときはマイナスのリターンとなります。

一方で、多くの銘柄に分散投資を行うことから実質的にリスクを低減させる効果もあります。またインデックスファンドはアクティブファンドのようにファンドマネジャーが個別銘柄の調査を行うなどの追加的なコストがかからないため、アクティブファンドに比べてコスト(手数料等)を安く抑えられるといったメリットもあります。

インデックスファンドとは(イメージ)

次にインデックスファンドの運用手法についてご紹介します。

インデックスファンドの運用手法

インデックスファンドの運用手法には代表的なものとして、完全法、層化抽出法、最適化法があります。

  • 完全法
    ベンチマークと同等の銘柄の比率をファンド内で再現する方法です。
    例として、ベンチマークが2,000銘柄で構成されている場合、ファンドも同等の2,000銘柄を保有します。ベンチマークのうちの各企業の構成比率がA社=3%、B社=2%…となっていたら、ファンド内の銘柄の保有比率もベンチマークと同じになるようにします。つまり、運用残高100億円のインデックスファンドであれば、A社の株を3億円分保有する必要があります。

    このような運用手法からベンチマークとの価格連動性は高く理想的な手法ですが、一方で全銘柄を購入する相応の資金が必要であり、売買頻度も多くなりがちで、結果的に運用コストが高くなってしまうデメリットがあげられます。

  • 層化抽出法
    層化抽出法は、数多くある銘柄群をある基準に基づいていくつかのグループ分け(層化)を行い、各グループから銘柄を選定する方法です。株式ならば、時価総額の大小に基づいた企業規模や業種など株価変動に大きく影響すると思われる要因を基準にグループ分けを行い、同様にベンチマークを構成する各銘柄グループの比率と等しくなるよう個別銘柄を選定します。そのため、全銘柄を購入することなくベンチマークに近い値動きを再現することができます。

    層化抽出法のメリットの一つとして銘柄の流動性が高いことがあげられます。流動性とは市場での取引量をさし、流動性が高いほど市場で銘柄の売買が容易になります。ファンドの組入銘柄を売買する際、完全法の場合はベンチマークとの連動性を崩さないよう基本的に構成銘柄の全てを売買する必要があります。そのため、流動性の低い銘柄を保有している場合、売買が困難になってしまうことがあります。

    つまり、層化抽出法の場合は一部の銘柄を売買して構成内容を調整するため、完全法と比較して売買が容易であり、取引銘柄数が少ない分、売買コストも低く抑えられます。ただし、ベンチマークとの連動性は完全法と比較して劣後します。

  • 最適化法
    最適化法は、統計学などを用いた計量モデルによって最適化計算を行い、ベンチマークとの連動を目指す手法です。ここでの最適化とは、与えられたいくつかの条件の中でファンドがベンチマークと連動するよう銘柄の比率を決定することをさします。

    最適化法も層化抽出法と同じく、ベンチマークに組み入れられている全銘柄を購入することなくファンドを構成することが可能である一方、構成銘柄数が少ないため、時間の経過とともに連動性が低下し、リバランス(銘柄の比率調整)が必要になります。

完全法
ベンチマーク
銘柄 A株 B株 ・・ Z株
組入
比率
9% 7% ・・ 8%
銘柄、組み入れ比率ともに一致するよう選択
ファンド
銘柄 A株 B株 ・・ Z株
組入
比率
9% 7% ・・ 8%
層化抽出法
ベンチマーク
業種
(比率)
鉱業
(30%)
サービス業
(20%)
不動産業
(10%)
規模
銘柄 A株、
B株
H株、
I株
・・ O株、
P株
・・ Y株、
Z株
グループの比率が同一になるよう 銘柄を選択
ファンド
業種
(比率)
鉱業
(30%)
サービス業
(20%)
金融・保険業
(10%)
規模
銘柄 A株 I株 ・・ O株 ・・ Z株
最適化法
ベンチマーク
銘柄 A株 B株 C株 ・・ Y株 Z株
組入
比率
・・
最適化した銘柄比率を選択
ファンド
銘柄 A株 C株 ・・   Z株
組入
比率
・・

銘柄、組み入れ比率ともに一致するよう選択

グループの比率が同一になるよう 銘柄を選択

最適化した銘柄比率を選択

ベンチマークとファンドの値動きに対するかい離度合いは、トラッキングエラーという指標を用いて表すことができます。トラッキングエラーの数値が小さいほど、ベンチマークと近い値動きを再現できていることを示し、精度の高いインデックスファンドといえます。インデックスファンドはそのパフォーマンスではなく、トラッキングエラーの水準で評価されることが一般的です。

運用会社は上記で紹介した手法等を用いてトラッキングエラーを小さく抑えるよう運用を行っています。以下では、その業務内容についてご紹介します。

イメージ

トラッキングエラーを抑えるために運用会社は何をしているのか

  • 銘柄のモニタリング(監視)
    インデックスファンドを構成する銘柄のモニタリングを日々行っています。内容は、株式であれば、企業が新株を発行し投資家に資金を募る公募増資や、企業が発行した株式の総数を表す発行済株式数の増減などがあげられます。

    例えば、株式分割(資本金を変えずに株式を1株から2株などに分割し、発行済株式総数を増やすこと)などが行われた場合、対象銘柄の株数が増加するためベンチマークとの連動を目標とした比率が変化してしまう場合があります。そのため、組入銘柄の資本金や発行済株数などの変化を日々確認し、調整が必要な場合は迅速に対応できるようモニタリングを行っています。ファンドによっては2,000銘柄以上のモニタリングを必要とするものもあります。

  • トラッキングエラーの要因分析
    インデックスファンドのファンドマネジャーは、トラッキングエラーが何によって生じているのかを特定する要因分析などを定期的に行っています。この分析は、高度な統計学や数理モデルを用いて行います。そして、連動性を高めることのできる銘柄の最適な構成比率を算出し、調整を行っています。その調整はファンドマネジャーの腕の見せ所です。

  • 先物取引の活用
    ベンチマークとのかい離を抑えるひとつの手段として先物取引を活用することがあります。先物取引とは将来の銘柄等の価格を現時点で確定し売買する取引をさします。先物取引はわずかな証拠金の差し入れで現物資産への投資に近い効果を得られることが特徴の一つです。このため、資金の都合上、現物資産を購入することが一時的に困難な時に、先物取引を活用して現物の代わりに先物を購入し、後に購入した先物を売って現物を購入するなどの工夫も適宜行います。

まとめ

今回はインデックスファンドとは何か、どのように運用されているのかについてご紹介しました。ファンドを購入する際は最初にご説明したとおり、どのような運用方針をとるファンドなのかを理解しておくことは非常に重要です。本記事を通してインデックスファンドに対する皆さまの理解がさらに深まれば幸いです。

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