初心者でもわかる!バリュー株投資の基本と実践法をわかりやすく解説
2025/05/08

「バリュー株投資に興味があるけれど、どこから始めればいいのか分からない」
そんな疑問にお答えするために、本記事ではバリュー株投資の基本から実践法までを、初心者でも理解しやすいように解説します。そもそもバリュー株投資とは何かといった基本から始め、具体的な分析方法についても説明します。
バリュー株投資は適切に行えば長期的なリターンが期待できる魅力的な投資方法です。本記事を読めば、具体的なステップを知ることができ、よりスムーズにバリュー株投資が始められます。
さあ、バリュー株投資の世界へと一緒に飛び込んでみましょう。
バリュー株投資とは?
バリュー株投資とは簡単に言えば市場価格が企業の本質的価値よりも低いと判断される株を見つけて投資し、その価格が上昇するのを待つ投資戦略です。
バリュー株の定義と特徴
バリュー株とは割安株とも呼ばれ、市場価格が企業の本質的価値よりも低いと考えられる株式のことです。これらの株は、さまざまな理由で市場から過小評価されていることが少なくありません。例えば、一時的な業績不振や市場全体の低迷、あるいは投資家の過剰な悲観論などが原因です。
バリュー株を見つけるための基本的な手法
バリュー株を見つけるためには、以下のような指標を用いることが一般的です。
- PER(株価収益率)PERは株価を1株あたりの利益で割ったもので、企業の利益に対して株価水準がどの程度かを示します。一般的に、PERが低いほど割安とされます。
- PBR(株価純資産倍率)PBRは株価を1株あたりの純資産で割ったもので、企業の純資産に対して株価水準がどの程度かを示します。一般的に、PBRが低いほど割安とされており、1倍以下であれば、株価が純資産よりも低く評価されていることになります。
- 配当利回り配当利回りは1株あたりの年間配当金を株価で割ったもので、株価に対する配当の割合を示します。一般的に、株価が割安だと配当利回りが高い傾向にあります。
これらの指標をうまく活用し、より魅力的なバリュー株の発掘を目指します。
バリュー株投資のメリットとデメリット
バリュー株投資には、多くの投資家が魅力を感じる理由がありますが、一方で注意すべき点も存在します。ここではバリュー株投資のメリットとデメリットを解説します。
メリット
- 中長期的なリターン
バリュー株はその企業の本来の価値が市場によって適切に評価されると、株価の上昇が見込めます。このため、適切なバリュー株に中長期で投資することでリターンの獲得が期待できます。特に、市場全体が回復し、企業業績が改善する局面ではバリュー株のリターンが大きくなる傾向にあります。
- 相対的にリスクが限定される傾向
バリュー株投資は割安と評価される株を選ぶため、グロース株(成長株)投資と比較して市場の下落局面における下値リスクが限定的とされています。理論的には、割安な株はすでに市場から過小評価され企業の資本価値に近いあるいは資本価値より安い価格となっており、さらなる下落余地が限られているためです。
- 配当利回りの魅力
バリュー株は一般的に配当利回りが高い企業が多く含まれます。このため、株価の上昇だけでなく、定期的な配当収入が期待できるのもバリュー株投資の魅力の一つでしょう。
デメリット
- 業績低迷リスク
バリュー株は市場から割安に評価されるだけの悪材料を抱えているケースもあり、それが業績低迷につながることも少なくありません。将来的に利益や配当が下がるのであれば、株価がさらに下落するリスクもあります。
- 銘柄選定の難しさ
バリュー株投資は割安株を見つけるために詳細な分析が必要です。企業の財務状況や業績、将来の成長性などを評価することが求められます。このため、初心者にとっては銘柄選定が難しく、適切な投資判断を下すのが困難な場合があります。
- 相対的にリターンが低い可能性
バリュー株投資はグロース株投資と比較して企業の成長性の重要度が下がります。バリュー株の中には既に成熟状態にあり、大幅な成長を期待するのが難しい企業も少なくありません。このため、期待されるリターンが相対的に低くなる可能性があります。
成功への3つのポイント
このように、メリットもデメリットもあるバリュー投資ですが、個人投資家がバリュー株投資で成功を目指すためには、主に3つのポイントがあると考えます。ここでは、それぞれのポイントについて具体的に解説します。
ポイント①:徹底的な分析
バリュー株投資の基礎は企業の本質的な価値を見極めるための詳細な分析にあります。ここでは、基本的な分析手法として「スクリーニング」、「ファンダメンタルズ分析」、「業界分析・競合他社分析」について解説します。
- スクリーニング スクリーニングは投資候補となる銘柄を効率的に絞り込むための初期段階の分析手法です。特定の条件や指標を設定し、その条件に合致する株式をリストアップすることで、投資対象を絞り込みます。証券会社のHP(基本的にログインが必要)の他、一般的な株式情報サイトなどでスクリーニングが可能な場合があります。バリュー株投資では、PBR、PER、配当利回りなどがスクリーニングの候補となります。 また、自己資本比率や営業利益率など財務諸表に関する指標もスクリーニングが可能な場合もあり、こうしたツールを利用することで分析をより効率的に行うことができるようになります。
- ファンダメンタルズ分析 ファンダメンタルズ分析は企業の財務状況や業績、経営状況を詳細に分析し、企業の本質的な価値を評価する手法です。バリュー株投資では、企業の本質的な価値が市場価格よりも高いと判断される場合に投資を行います。
収益性の評価 営業利益率や純利益率などを確認し、企業が効率的に利益を上げているかを確認します。 財務健全性の評価 自己資本比率や流動比率などを確認し、企業が健全な財務基盤を持っているかを評価します。 キャッシュフローの評価 営業キャッシュフローが安定しているかを確認し、企業が持続可能な事業運営を行っているかを確認します。 - 業界分析・競合他社分析 業界分析は企業が属する業界全体の動向や特性を分析し、企業の成長性や競争環境を評価する手法です。業界全体の成長性や市場規模、競争状況を把握することで、企業の将来の成長性を見極めます。
市場規模と成長率 業界全体の市場規模や成長率を確認し、業界の成長性を評価します。 市場シェア 主要な競合他社の市場シェアを把握し、企業の競争力を評価します。 業界のトレンド 業界内の最新トレンドや技術革新、規制の変化などを確認し、業界の将来性を見極めます。 競合他社の財務状況 競合他社の財務諸表を分析し、収益性や財務健全性を評価します。 競合他社の市場シェア 競合他社の市場シェアを確認し、企業の競争力を評価します。 競合他社の戦略 競合他社のビジネス戦略や製品ラインナップを把握し、企業の競争優位性を評価します。
これらの分析を実施することで、有望なバリュー株を選定します。スクリーニング、ファンダメンタル分析、業界分析・競合他社分析を組み合わせて、企業の本質的な価値を見極め、適切な投資判断を行いましょう。
ポイント②:中長期的な視点
バリュー株投資は短期的な市場の変動にとらわれず、企業の本質的な価値に焦点を当てることが重要です。
- 短期的な市場の動向に左右されない バリュー株投資では、短期的な市場の動向に一喜一憂せず、中長期的な視点を持つことが重要です。具体的には、短期的なニュースや価格変動に過剰反応せず、企業の本質的な価値に焦点を当てることが大切です。また、投資の目標を中長期的に設定し、企業の本質的な価値が市場によって適切に評価されるまでを見据えて投資を行うことが求められます。
- 企業の成長を見守る姿勢 企業の成長を見守るために、定期的に業績をチェックしましょう。具体的には、四半期ごとの決算が自分の想定通りに進捗しているかをチェックします。また、経営陣の戦略やビジョンを理解し、中長期的な成長を支える要因を把握することも大切です。
ポイント③:リスクを管理する
リスク管理はバリュー株投資で失敗しないために非常に重要です。分散投資や定期的なリバランスを行うことで、リスクを適切に管理します。
- 複数の銘柄に分散投資 バリュー株投資に限らず、株式投資で安定的な運用を行いたいなら、複数の銘柄に分散投資することが重要です。異なる業界やセクターに分散投資することで、特定の業界リスクを低減させることができます。また、投資先の数を適切に管理し、過度な集中投資を避けることも大切です。
- 定期的なリバランスや投資先の見直し 定期的にポートフォリオのリスク・リターンを調整するだけでなく、企業や企業を取り巻く環境に大きな変化があった場合は投資先の見直しも検討する必要があります。具体的には、ポートフォリオのリスク・リターンを定期的に確認し、保有バランスを調整します。また、決算説明など企業のアナウンスをチェックし、業績の進捗だけでなく、企業の将来的なビジョンに変更がないかを確認します。企業業績に大きな影響を与えるような市場環境の変化がないかを確認することも重要です。
これらのポイントを実践することで、バリュー株投資の成功に近づくことができるでしょう。徹底的な分析と中長期的な視点を持ちながら、分散投資などのリスク管理を行うことが重要です。
バリュー投資を始める際に知っておきたい注意点
バリュー株投資を始めるにあたって、特に投資初心者の方に知ってもらいたい注意点をご紹介します。バリュー株投資をスムーズにスタートするためにも、ぜひ知っておいてください。
まずは投資の基本を学ぼう
まずは、バリュー株投資に限らず投資の基本を理解することが重要です。投資の基本的な概念や指標をしっかりと押さえることで、より適切な判断を下すための基礎が築かれます。また、リスクとリターンの関係や分散投資の重要性についても理解しておきましょう。
小額から始めよう
大きな失敗を回避したいなら、最初から大きな金額を投資するのではなく、小額から始めることをおすすめします。これにより、損失額を抑えながら、投資の経験を積むことができます。例えば、証券会社によっては月々一定額を積み立てて投資することも可能です。こういったサービスを利用することも検討しましょう。
情報収集を怠らないように
バリュー株投資では、企業の財務状況や業績、業界の動向などの情報を常に収集し、分析することが重要です。信頼できる情報源や投資ツールを活用して、最新の情報を把握しましょう。
バリュー株ファンドの活用も検討
個別株の選定が難しいと感じたら、バリュー株ファンドを活用することも一つの方法です。バリュー株ファンドは、前述したバリュー株投資で成功するための3つのポイントをプロのファンドマネジャーが徹底的に行います。これにより、初心者でも手軽にバリュー株投資を始めることができるでしょう。バリュー株ファンドに投資をしながら、運用レポートなどにも目を通し、プロの視点を学ぶのも有効な始め方と考えます。
情報源と企業評価の見直し
投資で成功するためには信頼できる情報源を活用することが非常に重要です。ここでは、株式投資に役立つ情報源とバリュー株投資のポイントとなる企業評価の見直しについて解説します。
参考にすべき情報源とは
まず、基本となる情報源は自分が口座を開設している証券会社のHPと企業のHPです。投資情報は信頼性が何よりも重要ですから、ここからスタートするのがよいでしょう。
証券会社のHPなどでは各企業の概要を知るだけでなく、スクリーニングツールも活用できるサイトもあります。情報やツールの充実度は証券会社によって異なるため、口座の開設先を検討する際は、これらも比較することをおすすめします。
また、日経新聞などの各種新聞、Yahoo!ファイナンスや株探、みんかぶといった一般的な株式情報サイト、REUTERSやBloomberg、QUICK Money Worldといった金融情報ベンダーのサイトからも様々な情報が取得可能です。適宜活用しましょう。
そして、SNSについては情報の真偽を確かめた上で最新のトレンドをキャッチアップするなどに活用するとよいでしょう。企業の公式アカウントであれば、ブランディングやプロモーション活動の一例として参考にすることができます。
企業評価の見直し
バリュー株投資では、市場が企業の評価を見直すきっかけとなるイベントを見つけ出すことも重要です。以下にイベントの代表例を記載しますので、これらを参考に情報収集を行ってみてはいかがでしょうか。
- 決算発表 最も典型的な評価見直しのきっかけとして、決算発表における業績の改善が挙げられます。具体的には、売上高や利益などが市場予想を大きく上回るなどです。
- 経営戦略の変更 企業の経営戦略やビジョンの大きな変更も企業評価が見直されるきっかけとなる場合があります。例えば、新商品の投入や大規模なリストラ、M&A(合併・買収)などです。
- 技術革新 技術革新も企業評価を見直す重要な要因です。新技術の導入によって企業の生産性や競争力が向上することが考えられます。
このような情報が企業業績や株価に大きな影響を与える可能性があります。信頼できる情報源を活用して最新の情報を収集し、企業評価の見直しのきっかけを適切に捉えることで、バリュー株投資の成功にさらに一歩近づくことができるでしょう。
まとめ
バリュー株投資は割安と評価される株を見つけて投資し、その価値が市場によって適切に評価されるまで待つ投資戦略です。この記事では、バリュー株投資の基本からメリットとデメリット、成功のためのポイント、初心者向けの注意点、そして信頼できる情報源と企業評価の見直しについて詳しく解説しました。
バリュー株投資の成功には徹底的な分析、中長期的な視点、リスク管理が欠かせません。また、信頼できる情報源を活用し、企業評価の見直しのきっかけとなるイベントを適切に捉えることが重要です。
これらのポイントを実践し、最新の情報を常に収集することで、バリュー株投資の成功に近づくことができるでしょう。初心者の方も、この記事を参考にしていただければ、よりスムーズにバリュー株投資を始められるのではないかと思います。中長期的なリターンを目指し、バリュー株投資の魅力を最大限に引き出しましょう。
(執筆:1級ファイナンシャル・プランニング技能士 佐藤 啓)
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