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株式投資に役立つPBRの使い方とは?目安やPERとの違いをわかりやすく紹介

2024/12/12

知恵のハコ

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投資の世界でよく聞くPBRってなんか難しそうだなと思う方へ。本記事では、PBRの基本からその活用方法までを詳しく解説します。この記事を読むことで、PBRがどのように株式投資に役立つのか、そしてPERとの使い分け方について理解を深められるようになるため、ぜひご一読ください。

PBRとは?計算式は?

まず、PBR(Price Book-Value Ratio)とは何かについて説明します。PBRは日本語で「株価純資産倍率」と訳し、企業の株価がその純資産に対してどれだけの評価をされているかを示す指標です。計算式は以下の通りです。

PBR = 株価 / 1株当たり純資産

PBRが高ければ(低ければ)企業の純資産に対して株価がより高く(低く)なります。つまり、この指標を使うことで、企業の株価が過大評価されているのか、過小評価されているのかを判断する一助となります。PBRは投資に際して特に資産価値を重視する投資家にとって重要な指標と考えられます。

実際のPBRを調べる方法はあるの?

PBRを調べる方法は多岐にわたりますが、「Yahoo!ファイナンス」や「株探」、「みんかぶ」といった一般的な株式情報サイトから簡単に確認することができます。
また、企業の財務諸表を参照することで、自分で計算することも可能です。具体的な手順としては、まず調べたい企業のホームページ(HP)などから最新の財務諸表を取得します。財務諸表に記載されている純資産と発行済み株式数から1株当たり純資産を計算し、現在の株価を1株当たり純資産で割って算出します。

PBR1倍割れはどんな状況?目安はどのくらい?

企業の株価が割安か否かを判断する代表的な基準として、「PBR1倍割れ」というものがあります。PBRが1倍割れになるということは、企業の株式時価総額が純資産を下回っている状態を意味します。つまり、PBR1倍割れの企業の株式を買い占めてその企業を解散・清算すれば理論的には利益が出ることになるのです。

もちろん、上場企業の株式を買い占めることも解散・清算することも現実的ではないため、実際にはPBR1倍割れの企業は多くあります。しかし、市場が企業を低く評価していることを示す基準の一つとして、PBR1倍が意識されることは知っておいて損はないでしょう。PBR1倍を割ることは、投資家にとって買いのチャンスと捉えられることもありますが、同時に企業の将来性に対する懸念を反映している場合もあるため、注意が必要です。

PBRの評価と比較方法

PBRを調べることは簡単にできますが、株式投資で難しいのは「PBRを使って企業をどのように評価すればよいのか」ということではないでしょうか。ここでは2つの軸を使ってPBRを評価する方法をご紹介します。

①過去水準と比較する

一つ目は過去水準と比較する方法です。過去のPBRを掲載しているサイトは少ないですが、例えば前述した「みんかぶ」には掲載されているようです。また、過去の財務情報と株価から自分で計算することも可能です。
ここでは、日本株式市場全体の状況をみるために、TOPIXの過去20年間のPBRを確認してみましょう。

【TOPIXのPBRとTOPIXの推移】

TOPIXのPBRとTOPIXの推移

※期間:2004年11月末~2024年11月末(日次)

※上記は過去の情報であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

上のグラフから、例えばTOPIXが大きく下落したリーマンショック時の2008年後半から2012年の間ではPBRが1倍前後で推移しています。前述したとおり、PBR1倍というのは市場から意識されやすい水準であり、TOPIXの場合は下値目安としてそれが当てはまることが推測できます。
また、2023年以降TOPIXは大きく上昇していますが、PBRという切り口で見る限り過去20年間の平均程度までの上昇であり、大きな割高感がないことも確認できます。

②他社や業界平均と比較する

二つ目は他社や業界平均と比較する方法です。業界平均は日本取引所グループのHPに業種別のPBRが月次で掲載されているため活用すると良いでしょう。
例えば、同業他社や業界平均と比較してPBRが低い場合、そこには何らかの理由があると推測できます。もし、その理由が早期に解消されるようであれば投資チャンスと言えるでしょう。

バリュートラップとは

バリュートラップとは、PBRなどの株価指標から割安と判断した銘柄が、いつまでも割安なまま放置される状態をいいます。バリュートラップにかかる主な原因としては、経営に大きな問題がある、業界内での競争力が低下しているといった企業が直面している深刻な問題を見落していることが挙げられます。
バリュートラップを避けるためには、単に「PBRが低い」といったデータを把握するだけでは不十分です。企業の財務状況や業績、業界の動向などを総合的に分析し、その銘柄がなぜ割安に評価されているのか、そして割安解消のきっかけとなる材料を持っているのかまで見極めて投資することが重要です。

バリュートラップとは

PERとは?どう使い分けるの?

PER(Price Earnings Ratio)は、株価を1株当たりの純利益で割った指標で、企業の収益力から株価を評価する際に用いられます。一般的に株式投資においては、企業が現在保有している資産より、将来稼ぎだす利益の方が重要視される傾向にあるため、PBRよりPERの方が判断材料としてより適しているケースも多くあります。ただし、PERは利益の金額がゼロに近い、あるいはマイナス(損失)の場合、参考にならない値となってしまうなどのデメリットもあります。

このため、PBRとPERはそれぞれ異なる観点から企業を評価する指標であることを理解し、投資判断を行う際には両方の指標を活用しましょう。その上で、どちらを重要視するかを見極めれば、より適切な投資判断ができるのではないでしょうか。

やっぱり銘柄分析は大変だなと感じた方へ

いかがでしたでしょうか。PBRは企業の資産価値から株価を評価するための指標であり、上手く活用すれば株価の予測や銘柄選定の判断材料として役立ちます。PERと併せてそれぞれの特性を理解し、投資判断を行う際には両方を組み合わせて活用してみるのも良いかもしれません。 しかし、これらの分析には相応の時間と労力が必要であり、特に投資初心者にとっては負担が大きく感じられることもあると思います。銘柄分析が難しいと感じる方には、プロが運用する投資信託を活用することも選択肢の一つです。投資信託は、専門のファンドマネジャーが市場を分析し、投資先を選定するため、個人投資家が行う銘柄分析の負担をある程度軽減できます。

PBRやPERを駆使して企業を評価することは、確かに簡単ではありません。しかし、適切な指標を理解し、他の投資手法と組み合わせることで、より良い投資判断ができるようになると考えられます。投資信託の活用も含め、自分に合った投資スタイルを見つけ、資産運用を行うことが成功への一歩です。投資の世界での成功を目指すために、さまざまな手法を検討してみてください。

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※東証株価指数(TOPIX)の指数値および東証株価指数(TOPIX)にかかる標章または商標は、株式会社JPX総研または株式会社JPX総研の関連会社(以下「JPX」という。)の知的財産であり、指数の算出、指数値の公表、利用など東証株価指数(TOPIX)に関するすべての権利・ノウハウおよび東証株価指数(TOPIX)にかかる標章または商標に関するすべての権利はJPXが有しています。

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