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カタリストの重要性とは?バリュー株・グロース株で変わる考え方と投資判断事例をご紹介!

2025/06/13

ふやす

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「カタリスト」という言葉を耳にしたことはありますか?

株式市場において、カタリストは株価の変動を引き起こす要因や出来事を指します。この「カタリスト」を理解することで、市場の動向をより深く把握し、投資判断を向上させることが可能になります。それでは、どのような要因が株価を動かし、それをどのように活用すればよいのでしょうか。

本記事では、カタリストの基本概念から、投資手法によるカタリストの意味の違い、さらには具体的な投資判断の事例について解説します。カタリストを理解することで、投資の視野がより広がります。また、当社ファンドにおける投資判断事例もご紹介しますので、ファンドマネジャーの視点を感じることができるでしょう。

カタリストとは?ファンダメンタルズとの違いは?

カタリストと似た投資用語の一つに「ファンダメンタルズ」があります。どちらも株価に影響を与える要素であるため、混同する人も少なくありません。詳しい説明に入る前に、まずはそれぞれの意味を簡潔に確認しましょう。

ファンダメンタルズとは

ファンダメンタルズとは、「投資判断の基盤となる基礎的な情報」を指します。具体的には、企業の業績や財務状況、経営陣の質、経済指標などが含まれ、これらを用いて分析する手法は「ファンダメンタルズ分析」と呼ばれます。ファンダメンタルズは企業の将来の中長期的な成長性や価値を評価するための重要な情報源です。

カタリストとは

一方、カタリストとは、「何かの変化を促すきっかけや兆し」を意味します。投資の世界では、株価に変化を与えるきっかけとなる出来事や要因を指します。カタリストになり得るものの具体例として、企業の決算発表や社長の交代、政府の経済対策などのニュースや経済イベントなどが挙げられます。カタリストは、投資家の心理や市場の動向に大きな影響を及ぼすため、これらの要因を見極めることが重要です。

 ファンダメンタルズカタリスト
意味 投資判断の基盤となる基礎的な情報 株価の変化を促すきっかけや兆し
対比例1
【企業業績】
企業業績が安定して成長する収益性や財務基盤を持っている場合、その企業の株価は中長期的に堅調な推移が期待される。
【決算発表】
企業が市場予想を大きく上回る決算、あるいはポジティブな業績予想を発表した場合、そのニュースが市場に大きなインパクトを与え、株価が急上昇することがある。
対比例2
【経営陣の質】
中長期的には経営陣の質やその経営方針が企業の成功に大きく影響する。経験豊富で実績のある経営陣がいる企業は、安定した成長が期待される。
【社長の交代】
大企業の社長が突然交代すると発表された場合、投資家は新社長の影響を予測しようとするため株価に大きな影響を与えることがある。
対比例3
【製品品質】
高品質な製品を提供し続ける企業は、顧客の信頼を得て、中長期的な成功を収める可能性が高い。
【新製品の発表】
企業が革新的な新製品を発表した場合、そのニュースが市場に大きなインパクトを与え、株価が急上昇することがある。

カタリストとファンダメンタルズの役割

このように、カタリストはその銘柄に実際に投資するかどうか、あるいはいつ投資するかの判断に。
ファンダメンタルズはそもそも投資するに値するかの判断に深く関わります。

一般的には、まずファンダメンタルズ分析によって投資銘柄候補を選定しますが、いくらファンダメンタルズが良好な銘柄だったとしても、それはすでに公開されている情報からの判断になるため、実際に株価が上昇するかは分かりません。そこで、実際に投資するかどうかの判断はその銘柄の株価上昇のきっかけとなるイベント、すなわちカタリストを想定し、そのイベントが将来起こり得る可能性が高いか、起こるとしたらどのくらい近い将来に起こるかといった判断をもとに投資を行うのです。

バリュー株投資やグロース株投資におけるカタリストの考え方

カタリストは、投資手法によってその意味が異なります。バリュー投資(割安株投資)では、割安解消のきっかけとなり株価を回復させる要素としての意味を持ちます。一方、グロース株投資(成長株投資)では企業成長を重視するため、将来の利益増加を促すきっかけとしての意味を持ちます。以下の比較表でまとめましたので、確認してみましょう。

投資手法 バリュー株投資グロース株投資
意味  割安な株価が適正な価値に戻るための要因 企業の成長加速期待による株価切り上げの要因
傾向 比較的短期のイベントや変化 中長期的な成長戦略や市場動向
対比例
  • 新しい経営陣の登用
  • コスト削減やリストラによる業績改善
  • 資産売却や事業再編
  • 市場シェアの拡大による発展性の示唆
  • 技術革新や研究開発の進展による成長期待の向上
  • グローバル展開や新市場参入による販路拡大

バリュー株投資におけるカタリスト

バリュー株投資におけるカタリストは、「割安と判断されている株価が適正な価値に戻るきっかけ」として機能します。バリュー株は市場で過小評価されている企業の株を指しますが、これらの株が本来の価値を反映するためには何らかの変化が必要です。たとえば、新しい経営陣の登用が株価の回復と適正価値への戻りのきっかけとなり得ます。

また、バリュー株投資を行う上で、カタリストを見極めることは「割安の罠」とも呼ばれる「バリュートラップ」を回避する手段として役に立つでしょう。

バリュートラップとは、具体的にはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)などの株価指標から割安と判断される銘柄に投資したものの、いつまで経っても株価が割安なまま低迷したり、さらなる値下がりに陥る状況を意味し、割安株と判断して投資した銘柄がそのまま放置される現象を指します。
主な原因としては、経営に大きな問題があることや、業界内での競争力が低下しているといった企業が直面している深刻な問題を見落としていることが挙げられます。(PERやPBRは、「初心者でもわかる!バリュー株投資の基本と実践法をわかりやすく解説」で解説していますのでぜひご参照ください。)

単に「PBRが低い」、「配当利回りが高い」といったデータを把握するだけでなく、企業の業績や市場の動向を踏まえた「的確なファンダメンタルズ分析」に加え、「株価変動のきっかけとなるカタリスト」を見極めることが、バリュートラップの回避につながります。

バリュー株投資におけるカタリスト

グロース株投資におけるカタリスト

一方、グロース株投資では、「企業の成長加速期待により株価水準が切り上がるきっかけ」としてカタリストが機能します。グロース株投資は企業の成長性に注目した投資手法であり、例えば技術革新や研究開発の進展による商品価値の向上、グローバル展開や新市場への参入による販路拡大などが、企業の成長加速期待を高め、株価水準が切り上がるきっかけとなり得ます。

またカタリストに加え、潜在的な企業成長力となる「成長ドライバー」を知っておくことで、より成長企業への投資の見極めに効果を発揮するでしょう。

成長ドライバーとは、中長期的に企業の成長を支える根本的な要因や要素です。ファンダメンタルズのような投資判断の基盤となる基礎的な情報を軸に、さらに成長ドライバーが影響を与える企業価値や成長ポテンシャルを投資判断に取り入れることで、よりカタリストによる株価上昇の可能性を高めることができます。

【カタリストと成長ドライバーの関係(イメージ)】

カタリストと成長ドライバーの関係(イメージ)

カタリストによる具体的な投資判断の事例

ここでは、カタリストによる具体的な投資の一例として、アセットマネジメントOneが運用するファンドにおける判断事例にもふれながら、日本の半導体業界のケースをご紹介します。まずは半導体の需給サイクルについて簡単に確認しておきましょう。

【半導体市場年表】

年 出来事
2017年
  • 半導体業界は好調、特にメモリーチップの需要の増加。
  • 生産能力を大幅に増強し、供給量増加、売上げ増加。
2018年
  • メモリーチップの需給が大幅に緩み、半導体市況は徐々に低迷。
  • 米中貿易摩擦などの世界経済の不透明感から市場は悪化。
2019年
  • 貿易摩擦のリスク、英のEU離脱問題といった世界情勢の変化から市場成長率の鈍化。
  • 年後半には在庫調整の進展から下げ止まりを見せる。
2020年
  • 新型コロナウイルスの影響で、リモートワークやオンライン学習の巣ごもり需要が追い風となり、半導体需要の急回復と市場成長の加速。
2021年
  • 経済活動の再開から自動車・産業用等の幅広い半導体需要の拡大。
  • 半導体価格の上昇、売上増加。

【国内半導体株指数*の推移】

国内半導体株指数の推移

*Bloomberg Japan Semiconductor Select Top 25 Total Return Index

※期間:2015年4月末~2025年4月末(日次)

※上記は過去の情報であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

2017年から生産能力を大幅に増加させた半導体市場は、2018年には需給が大幅に緩み徐々に低迷。貿易摩擦などによる世界経済の不透明感も影響し市場は悪化をたどるものの、在庫等の調整から下げ止まる展開を見せました。

前述のファンドではファンドマネジャーが個別企業の開示情報や業界データを丹念に分析する中で、低迷していた半導体サイクルが2020年半ば頃から好転する可能性が高いと考えました。そこで、「半導体サイクルの好転」をカタリストの一つとして、業績の下方耐性に強みを持つ半導体関連銘柄に2019年の初め頃から投資を開始しました。

その後はそうした見通しに加え、新型コロナウイルスの影響を受けた急速なリモート化の進展による半導体需要の急拡大が追い風となり、投資銘柄を含む半導体業界全体が大幅な上昇局面へと転じました。このように、技術革新が進む中で半導体は中長期的に需要が増加すると想定されますが、この成長サイクルの中、どのタイミングで投資するかの見極めにカタリストは大きく役立ちました。

カタリストを活用し戦略的アプローチを!

このようにカタリストは、投資にさらなる深みをもたらす根拠として活用できます。カタリストを理解し、上手に活用することで投資家はより良い選択をすることができるでしょう。今後の投資活動においてカタリストの重要性を忘れず、戦略的なアプローチを心掛けてみてはいかがでしょうか。

※投資判断の記載はあくまでもご参考であり、投資を推奨するものではありません。また、将来の投資成果等を示唆・保証するものではありません。

※「Bloomberg®」およびBloomberg Japan Semiconductor Select Top 25 Total Return Indexは、Bloomberg Finance L.P.および、同インデックスの管理者であるBloomberg Index Services Limited(以下「BISL」)をはじめとする関連会社(以下、総称して「ブルームバーグ」)のサービスマークであり、アセットマネジメントOneによる特定の目的での使用のために使用許諾されています。ブルームバーグはアセットマネジメントOneとは提携しておらず、また、アセットマネジメントOneの商品を承認、支持、レビュー、推奨するものではありません。ブルームバーグは、アセットマネジメントOneの商品に関連するいかなるデータもしくは情報の適時性、正確性、または完全性についても保証しません。

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