選挙と日経平均株価の関係は?投資家必見の動向分析!
2025/10/01

「選挙」は私たちの生活に深く関わる重要なイベントであり、日経平均株価を含む株式市場にも大きな影響を与えることは広く知られています。特に、衆議院や参議院の国政選挙では、政権の行方によっては政策が変わる可能性があるため、それが市場心理や投資家の行動に直接的な影響を及ぼします。 このため、選挙の結果は私たちの生活にも資産形成にも大きな影響を与えるといえるでしょう。
本記事では、選挙によって市場がどのように変化するのかを探ります。過去のデータや市場心理を基に、投資家が知っておくべき重要なポイントを分析し、選挙後の株価動向を理解するためのヒントをお届けします。ぜひ最後までお付き合いください。
選挙の種類について
選挙は私たちの生活に直接つながっています。だからこそ、どんな選挙があるのかを知っておくことが大切です。まずは、日本の主な選挙について解説していきます。選挙の仕組みや行われる時期を知れば、それが市場にどう影響するのか、イメージしやすくなるでしょう。
特に、衆議院と参議院は日本の国会を構成する重要な機関であり、それぞれ異なる役割と選挙制度を持っています。衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙がどのように行われるかなどを理解することは、政治動向や経済情勢を把握するうえで非常に有益で、効果的な投資戦略を立てる手助けとなるでしょう。
衆議院議員総選挙(国政選挙)
概要 | 衆議院は、日本の国会では下院で、国の法律を制定するための主要な機関であり、国民の意見を反映する役割がある。「衆議院の優越」という制度が設けられており、これは衆議院で可決された法案が参議院で否決された場合でも、衆議院が再度3分の2以上の賛成を得ることで、その法案が成立するという制度。このため、衆議院は参議院に比べて強い権限を持つ。 |
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選挙概要 | 全国の選挙区から選出され衆議院議員の全員を選ぶための選挙。 |
任期 | 任期:4年 解散:内閣の判断により解散されることがあり、解散後は速やかに選挙を実施。 |
参議院議員通常選挙(国政選挙)
概要 | 参議院は日本の国会では上院。衆議院とともに立法機関を構成しており、衆議院の決定を審議し法律の制定に関与することで、より慎重な議論を促す役割がある。参議院は、法律の制定や予算の承認に関与し、衆議院の決定に対する審議機関としての役割も果たす。 |
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選挙概要 | 全国から参議院議員の半数を選ぶための選挙(一部選挙区が重なる区域あり)。 |
任期 | 任期:6年 改選周期:3年ごとに半数が改選されるため、通常は3年ごとに選挙を実施。 |
一般の選挙(地方選挙)
概要 | 地方選挙は、都道府県や市町村の議会議員、知事などを選出するための選挙。地方自治法に基づいて行われ、各自治体の条例により選挙の実施日や方法が定められている。 |
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任期 | 任期:地方議会議員は通常4年、知事は4年または6年(都道府県によって異なる)。 改選周期:各自治体によって異なるが、一般的には任期満了に伴い4年ごとに実施。 |
特別の選挙(国政/地方選挙)
概要 | 議員が急遽辞職した場合や死亡した場合などに行われる選挙。 再選挙:選挙のやり直しや当選人の不足を補う選挙。 補欠選挙:議員の不足を補う選挙。 増員選挙:議員の数を増やす選挙。 |
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任期 | 任期は選挙ごとに、任期期間が異なる。 再選挙:通常の任期満了まで在任。 補欠選挙:前任者の残任期間のみ在任。 増員選挙:選挙区の定数増加に伴う議席の性質に応じて異なり、通常は他の議員と同じ残任期間のみ在任。 選挙周期:議員の辞職や死亡などに伴い、必要に応じて行われる。 |
選挙と日経平均株価の関係性
選挙は、政策の変化により政治的な不確実性が解消され、経済が好転するきっかけとなることがあります。経済成長への期待感が高まれば株価の上昇要因となります。そのため、選挙という重要なイベントが相場を動かすことは十分に考えられます。
また、「選挙は買い」というアノマリーをご存じでしょうか?ある法則から見て説明ができない事象のことをアノマリーと言います。様々なアノマリーの存在はあるようですが、その中の1つとして選挙にまつわるアノマリーもあるようです。
米大統領選挙前年の米国株は、高確率で上昇しているというアノマリーの一説もあり、選挙という節目は日本に限らず世界的にも影響がありそうです。こちらの記事(投資のアノマリ―を資産運用に活用しよう!その検証結果は?)でも解説をしておりますので、気になる方はぜひご覧ください。
衆議院議員総選挙期日前の株価動向
ここからは選挙時の過去データを用いて選挙前後の日経平均株価の影響を考察していきます。まずは衆議院解散後から総選挙期日まで日経平均株価との関係性を調べてみます。
衆議院は任期中に全議員が地位を失う「解散」が存在します。実は、現行憲法下で衆議院が任期を終えたのは三木武夫内閣だった1976年のみで、それ以外は政権が途中で解散され総選挙が行われました。
解散されると、その後の総選挙期日まではおおよそ1ヵ月ほどの期間が設けられます。この期間は国民の次期政策に対する期待が高まる重要な時期でもあり、選挙に対する関心が一層高まります。
過去17回、55年分のデータを用いて衆議院解散日から総選挙期日までの日経平均株価の騰落率を確認したところ、15回の株価上昇が見られ、約88%の割合にもなりました。解散後から総選挙期日までの期間は経済政策への期待感が特に強いことから、株価が上昇しやすい傾向があるようです。
【衆議院の解散日から総選挙期日までの日経平均株価騰落率】
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
期間:1971年1月5日~2025年9月5日(日次)
※上記は過去の情報であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
投資判断は慎重に
前述のように、衆議院解散後は一見上昇回数の割合が高いデータは得られたものの、それに身を任せて株式を買っていれば良いかと言うとそうではありません。特に、与党が過半数の確保が難しいと予想される場合など、政策に不透明感がある場合には、市場がネガティブに反応する可能性が高まります。
例えば、2024年の衆議院議員総選挙では、自民党と公明党の与党陣営が過半数を割り込むことが選挙前から予想され、今後の政治情勢や政策の運営の安定性への懸念から、円高ドル安の進行と相まって市場が一時的にネガティブに反応しました。不確実性が高まる局面では、投資家がリスク回避行動をとるため、株式市場が短期的にも反応しやすくなるといわれています。
このような例外的な動きについての理解は、投資を考えるうえで非常に重要となります。
衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙の選挙期日後の株価動向
選挙の影響はすぐに株価へ織込まれるため直接的な株価へのインパクトは比較的短い期間に限られると考えられます。ここでは、衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙において、選挙後の日経平均株価にどのような変化が見られるかを、選挙期日からx日後の日経平均株価の騰落率として比較しました。
衆議院議員総選挙では、特に選挙翌日に上昇回数の割合が低くなりました。解散後から選挙期日までの期待感は、一旦の落ち着きを見せるためかもしれません。一方で、参議院議員通常選挙では選挙直後の数日間に上昇回数の割合が高い日が複数見受けられました。
今回の比較結果では、衆議院議員総選挙と参議院議員通常選挙での選挙後の傾向は明確な理由は定かではありませんが異なるような結果であるように見受けられます。
【衆議院議員総選挙期日からx日後の日経経平均株価騰落率】
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
期間:1971年1月5日~2025年9月5日(日次)
※上記は過去の情報であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
【参議院議員通常選挙期日からx日後の日経経平均株価騰落率】
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
期間:1971年1月5日~2025年9月5日(日次)
※上記は過去の情報であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。
選挙時の投資ヒント
次期政策方針に裏付けされた投資
短期的な変動に一喜一憂して振り回されないよう、選挙後の政権の政策を慎重に把握することは、好転するセクターや銘柄を見つけ出すための第一歩にもつながるでしょう。
例えばデフレ脱却や賃上げ政策が実行に移される場合、日本株にとっての好機要因で、政策の恩恵を受ける銘柄の選定は投資へプラスに働くことが期待されます。注目すべきセクターや銘柄を見極めることは長期的な資産形成においてもリターンを最大化するための重要な要素の一つです。
日本に限らず米国でも同様なことが言えそうです。記憶に新しいトランプ2.0発足時には、AIや暗号資産に対する規制緩和を指示しており、スタートアップ企業やテクノロジー企業は新たなビジネスモデルやサービスを展開しやすくなると期待されました。その公約通り、2025年7月には人工知能(AI)の開発強化を推進する「AI行動計画(アクションプラン)」が公表されました。早い段階から長期的な方向感を感じ取ることで恩恵を受けやすいセクターの見極めや先を見据えたより良い投資判断を行うことにつながります。
エントリータイミング、手仕舞いの見極め
衆議院の解散後から総選挙期日までは、上昇回数の割合は高かったものの、市場の不確実性は高く、リスクが大きい状況でもあります。選挙に対する市場の反応は敏感であるため、一旦落ち着いて様子を見るという行動も視野に入れておくと良いでしょう。
また、新しく発表される政策の動向に常にアンテナを張り、必要に応じて利益確定や損切りといった状況に応じた手仕舞いを行うことも非常に重要です。リスクを適切に管理しつつ、市場の変化に柔軟に対応することで、選挙を投資機会として最大限に活かすことができるでしょう。
選挙直後にどのような政策が取られるのか、また掲げられた内容が実行されるスピード感にも投資家は大いに注目します。選挙後の政策や市場の反応だけでなく、為替動向やその他の外部要因を総合的に分析し、適切なタイミングを見極めることが求められます。
市場の状況を常に把握し、変化に柔軟に対応することは投資の成果を上げる鍵となりそうです。
リスクヘッジへの考慮
政策が具体化するまでの市場の不透明感がある期間は、リスク回避のためのヘッジ戦略も有効です。投資信託を活用して分散効果を高めたり、必要に応じて一時的に現金比率を高める手法も選択肢として検討する価値があります。これにより、急激な市場変動に対する防御策を講じることができます。
おわりに
本記事では、選挙が市場に与える影響や、過去のデータを基にした投資判断のヒントについて解説しました。政治や経済の情勢に応じて柔軟に最新の情報を取り入れ、市場の動向を的確に捉えることでより良い投資判断が可能となるでしょう。
次期政策により裏付けされた投資判断は、賢い投資家としての一歩を踏み出すための鍵でもあります。ぜひ次回の選挙では、本記事を参考にしていただけますと幸いです。
選挙と株式市場の動向をしっかりと把握し、資産形成の一助となることを心より願っています。
【指数の著作権等】
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