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トランプ2.0で株価やドル円相場はどうなるか?主要な経済政策と金融市場への影響を解説

2025/02/07

ふやす

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2025年1月20日にトランプ大統領の就任式が行われ、第二次政権が正式に発足しました。市場ではトランプ大統領の発言に注目が集まっており、米国第一主義を掲げるトランプ大統領の政策が、米国経済や金融市場にどのような影響を与えるのか関心が高いのではないでしょうか。

そこで本記事では、トランプ大統領の主要な政策を「減税と規制緩和」、「関税引き上げと移民政策」、「エネルギー政策」の3つに分けたうえで経済的な影響を整理し、金融市場に対する影響を考察します。世界情勢を知る上でも、投資判断をする上でもお役に立てると思うので、ぜひご参考ください。

減税と規制緩和

まず、トランプ大統領は目玉政策の一つとして、減税と規制緩和を掲げています。減税については、2017年に成立したトランプ減税(減税・雇用法)の延長・恒久化や法人税の引き下げなど、広範な減税策を掲げています。超党派の「責任ある連邦予算委員会(CRPB)」の試算によると、減税総額は 2026~35年度の10年間で10.4兆米ドルに達するとされています。

一方、連邦債務上限が法律で定められているため、債務上限の引き上げや適用停止のためのスキームを構築しない限り、さらなる財政赤字の拡大は難しい状況です。また、トランプ大統領が新設した政府効率化省(DOGE)による財政支出削減が期待されていますが、大半が社会保障やヘルスケア、国防、退役軍人手当などの義務的歳出であるため、大幅な歳出削減による財源確保は難しいとみられます。財務長官に任命されたスコット・ベッセント氏が財政規律を重視していることからも、減税政策は当初の計画から縮小される可能性がありますが、これらの減税政策は経済活動を促進するとみられます。

規制緩和については、特定の業界における規制の撤廃や緩和が挙げられ、すでにトランプ大統領はAIや仮想通貨に対する規制緩和を指示する大統領令を発表しています。また、今後、バーゼル規制などの金融規制の緩和なども期待されています。これらの規制緩和はイノベーションを加速させることが期待され、経済成長を促進するとみられます。

減税と規制緩和

関税引き上げと移民政策

また、トランプ大統領の政策として、関税政策や移民政策も注目されています。トランプ大統領は、昨年の米大統領選にて、全ての国・地域からの輸入品に対する一律関税や最高60%の対中関税を公約していました。選挙後は、10%の対中追加関税やメキシコとカナダからの輸入品への25%の関税賦課の方針を表明しています。

なお、関税政策については、単なる脅しなのか、実際に導入されるのか、どの程度の期間導入されるのかは不透明ですが、これらの関税が短期的にインフレをもたらし、長期にわたって維持される場合、経済活動を抑制させる可能性があることに留意が必要です。

不法移民対策については、トランプ大統領は不法移民の取り締まりを目的とした、移民や国境管理に関する大統領令に次々署名し、すでに一部では不法移民の強制送還を開始しています。不法移民の取り締まり強化は、労働市場における供給を減少させるため、賃金上昇要因となり、インフレ要因になるとみられます。

エネルギー政策

エネルギー政策については、トランプ大統領は就任演説で「国家エネルギー緊急事態」を宣言し、化石燃料の開発を進める姿勢を示しました。また、バイデン政権下でのグリーン・ニューディール政策(バイデン政権の気候変動政策)や電気自動車(EV)の義務化は撤回する方針を示しました。さらに、就任演説後、トランプ大統領はパリ協定からの離脱を定めた大統領令に署名しています。こうしたエネルギー政策は、エネルギー価格を引き下げ、インフレを抑制することが期待されます。

≪トランプ大統領の主な政策と経済的影響≫

項目経済的影響
減税と規制緩和 経済活動促進
インフレ要因
関税引き上げと移民政策 経済活動抑制
インフレ要因
エネルギー政策 経済活動促進
インフレ抑制要因

金融市場への影響

トランプ大統領の掲げる政策は不確実性が高く、その影響については議論がありますが、現時点で考えられる方向性としては次のような金融市場への影響が考えられます。

まず減税と規制緩和は、経済成長を促進する可能性が高いとみられます。そのため、米国株式の上昇、金利の上昇、米ドル高につながりやすいでしょう。一方関税引き上げや移民政策は、インフレ要因となり、これが米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースを減速させる懸念があります。そのため、株価には抑制的な影響を与えつつ、金利の上昇や米ドル高の要因となるとみられます。そしてエネルギー政策については、エネルギー価格の引き下げがインフレ抑制につながること、またエネルギーの輸出増加で貿易赤字が縮小することが期待されるため、米国株式の上昇、金利の低下、米ドルの低下要因として作用するとみられます。

これらの要因を総合的にみると、トランプ大統領が掲げる政策にスポットを当てた場合、米国株式市場は全体として堅調な展開が予想される一方、金利と米ドルは高止まりしやすいと考えられます。

まとめ

トランプ大統領の発言は大きく振れることがあり、足元でもコロンビアや中国に対する関税などを巡って、金融市場が大きく翻弄されています。トランプ大統領の掲げる政策や発言は不確実性が高く、明確でない部分も多いですが、今後もその動向や発言が注目される日々が続くとみられます。

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