ダボス会議とは?テーマやメンバーについて分かりやすく解説
2024/03/14
「ダボス会議」という言葉をご存じでしょうか?毎年冬になると、経済ニュースなどで見かける機会も増えますが、実際に何が行われている会議なのかまでご存じの方は少ないのではないでしょうか。
そこで、今回はこの言葉を初めて聞く方にも理解できるよう、ダボス会議について分かりやすく解説します。「誰がどんなことを話し合うのか」、「なぜ世界中の投資家が注目するのか」などを丁寧に説明しますので、ぜひご一読ください。
ダボス会議とは
ダボス会議とは、スイスの美しいスキーリゾート地「ダボス・クロスタース」で毎年行われる世界経済フォーラム(WEF)の年次総会のことを指します。世界経済フォーラムとは、地域、産業の課題を経済、政治、学究、その他の社会におけるリーダーたちが連携することで改善に取り組むことを目的とした国際機関のことで、スイスのコロニーに本部があります。中でも年1回スイスのダボスで開催される年次総会は、選ばれた知識人やジャーナリスト、多国籍企業経営者や国際的な政治指導者など、各国の要人が一堂に会し、各種会合を行うイベントとして世界から注目されています。
ダボス会議は例年、年明けに開催されます。直近5年では、コロナ禍の2021年のみ夏の開催で、それ以外は1月中旬から下旬に開催されました。2024年のスケジュールを例に挙げると、1月9日にメディアブリーフィング、14日に記者会見が行われ、会議は1月15日に開幕、19日の閉幕まで合計5日間に渡って開催されました。
ダボス会議のテーマと参加者
WEFが取り扱う議題は幅広く、経済や技術、雇用といった事業活動に関わる問題のほか、環境や健康、さらには国際協力や社会平等にまで及びます。
直近5年のテーマ | |
2020年 | ステークホルダーがつくる、持続可能で結束した世界 |
2021年 | 信頼回復に向かう重要な年 |
2022年 | 信頼を取り戻すために一致協力を |
2023年 | 分断された世界における協力の姿 |
2024年 | 信頼の再構築へ |
2024年のダボス会議では「信頼の再構築へ」をテーマに、主に次の4つのテーマ別プログラムが実施されました。各プログラムでは様々なゲストが招かれ、それぞれのプログラムテーマについての講演やパネルディスカッションが行われました。
- ① 分断された世界における安全保障と協力の実現
- ② 新しい時代の成長と仕事の創出
- ③ 経済と社会をけん引するAI
- ④ 気候、自然、エネルギーの長期戦略
ダボス会議は世界情勢の改善に取り組む国際機関として、官民両セクターを通じて各ステークホルダーの有意義なつながりを促進するための重要なプラットフォームであることから、国家や国際機関のトップだけでなく、大企業のCEOや資産家までが参加するものとなっています。例えば、2024年は日本から新藤経済再生担当大臣や河野太郎デジタル大臣、サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏、商船三井社長の橋本剛氏、ソニーグループ会長の吉田憲一郎氏、元JAXA宇宙飛行士の野口聡一氏などが参加しました。
出所:世界経済フォーラムHPをもとにアセットマネジメントOne作成
世界の投資家が注目する理由
ダボス会議では、前述した世界的に話題となっているテーマが取り上げられるだけでなく、中央銀行などのトップが参加して、世界経済見通しや地政学的リスクの影響などについても議論されることから、世界の投資家が注目しています。
2024年の世界経済の見通しについては概ね楽観的な見方が示され、一部の市場関係者からはインフレ鎮圧に向けた高金利な経済環境にマーケットは持ちこたえたという発言がありました。また、テクノロジーの発展による生産性の向上が見込まれる等、経済成長の好材料についての話もありました。
一方で、世界経済には依然として多くの不確実性やリスクが存在していることが議題に上がりました。政治面では2024年11月の米国大統領選挙の動向が注目を集めています。気候面では、自然災害の影響で、経済活動や社会生活に大きな悪影響を及ぼす恐れが指摘されています。地政学面では、紛争による原材料やエネルギーの価格上昇、需要と供給の不均衡などによって世界的に高止まりしていたインフレが更に拡大するリスクが懸念され、その影響で金融政策の正常化のペースや方向性についての不透明感が高まることについての見方が示されました。また、公衆衛生面ではコロナウイルスのように深刻な脅威となる未知の病原体への対策が議論されました。未知の病原体は「疾病X」と名称付けられており、次のパンデミックに備えた研究体制の構築計画が進められているとのことです。
まとめ
以上のように、WEFでは毎年年初に年次総会であるダボス会議が開かれ、世界各国の様々な業界の要人が集まり、世界的にも時代的にもホットな話題が議論されます。2024年のダボス会議では、世界経済のインフレ脱却と株式市場の上昇トレンドが継続するという期待感が伝えられたものの、同時に、世界経済や株式市場には政治的、地政学的に多くの不確実性やリスクが潜んでいることも挙げられました。
投資を行う上では、マーケットに大きな影響を与えるイベントに着目しながら、各国の政治経済動向に注意を払うことが大切です。資産運用を行う上で必要な判断材料はあらゆるところに散らばっており、何を基準に取捨選択したらよいか迷われている方も少なくないと思います。そんな中、年に1度ではありますが、各国の政治や経済を担う代表者がホットな話題とその年の経済見通しを議論するわけですから、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。本記事がダボス会議の重要性を理解する一助となれば幸いです。
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