COPとは?気候変動への世界的な取り組みを分かりやすく解説
2022/11/10
気候変動が環境問題として注目を集めています。
そして、それに伴って「COP」という言葉が徐々に浸透してきました。音だけならコップ?飲み物を飲むものに聞こえますね。あるいは「COP27」というように数字とセットで聞いたなあ、とうっすら記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。いずれにしても、その意味まで知っている方はそう多くないでしょう。 そこで本記事では、気候変動という環境問題を語るうえで欠かすことのできない、この「COP」について分かりやすく解説したいと思います。
「COP」とは?
COPとは、国連気候変動枠組条約締約国会議の通称で、「Conference of the Parties(締約国会議)」の略です。COPは気候変動に関する国際連合枠組条約(国連気候変動枠組条約)の最高意思決定機関であり、世界各国の政府が気候変動に立ち向かう戦略を協定するため、1995年以来開催されてきました。コロナ禍の2020年を除き毎年開催されており、各会議を区別するために回数を後ろに付けて呼ばれることも少なくありません。例えば、今年2022年は11月6日からエジプトのシャルム・エル・シェイクで開催されていますが、今回で27回目となるため「COP27」と呼ばれています。ちなみに、日本でもかつて京都で開かれましたが、この時は3回目だったため「COP3」となります。
【直近10年のCOPの概要】
開催年 | 名称 | 開催国 | 開催都市 |
---|---|---|---|
2012 | COP18 | カタール | ドーハ |
2013 | COP19 | ポーランド | ワルシャワ |
2014 | COP20 | ペルー | リマ |
2015 | COP21 | フランス | パリ |
2016 | COP22 | モロッコ | マラケシュ |
2017 | COP23 | ドイツ | ボン |
2018 | COP24 | ポーランド | カトヴィツェ |
2019 | COP25 | スペイン | マドリード |
2020(※) | - | - | - |
2021 | COP26 | イギリス | グラスゴー |
2022 | COP27 | エジプト | シャルム・エル・シェイク |
※2020年は新型コロナウイルスの影響でCOP26が延期
COPの目的は?
COPの目的はごく簡単に言うと、世界のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量の削減です。参加者は各国・地域の政府当局者、NGOや民間企業など多岐にわたります。会期中は様々な議論がなされたり、展示などが行われます。また、会期中の一部の日では、「ファイナンス」や「生物多様性」といったテーマが設定されているときもあり、GHG排出量の削減という目的に向けてあらゆるアプローチが行われます。
これまでCOPであった出来事で代表的なことをいくつか説明すると、先ほど出てきた京都でのCOP3(1997年)では、「京都議定書」が採択され、GHG排出量の削減について国際的な数値目標が初めて定められました。これは2020年までの枠組みとして採択されていたわけですが、その後パリで開かれたCOP21(2015年)では、京都議定書に続く2020年以降の枠組みとして「パリ協定」が採択されています。パリ協定では、「世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」ことが目的とされました。 2021年はイギリスのグラスゴーでCOP26が開催されましたが、この際は「グラスゴー気候合意」が採択され、世界の気温上昇を1.5℃に抑制する努力を追及する決意が反映されたほか、石炭火力発電の段階的削減を目指していくことが確認され、また様々な気候変動に関するコミットメントが発表されました。
COP27のポイントは?
今年のCOP27では、議長国のエジプトがいくつかターゲットを掲げています。
簡単に記すと(正確性よりもわかりやすさを重視して記載しています)、
- GHGの排出削減目標の達成に向けた行動を開始する
- 気候変動の影響が大きい国々の要望に応える「気候変動への適応」のアジェンダを策定する
- 気候変動の影響が大きい人々の要望に応える「損失と損害」に対する支援を具体化する
- 途上国に対する気候変動対応資金の供給を強化する
- 脱炭素社会への移行に伴い生じる負の影響へ配慮する
こういったことが書かれており、また最後のほうには、「エネルギー危機等の逆風の中でも、気候変動への取り組みを後退させない」というような記載もあります。
これらの記述から、例えば”気候変動の影響が大きい国々“という言葉に見られるように、途上国の支援強化を念頭に置いた記載が多くの目標に盛り込まれていることが分かります。このため、先進国と途上国間ではどのような議論があるかということは一つのポイントとなりそうです。
COP会期中の様々なサブイベント
COP27にあわせて、サイドイベント(関連したテーマで行われるイベント)も様々なものが開催されており、その一つにWorld Climate Summit(世界気候サミット)というイベントがあります。“ The Investment COP(投資家のCOP)”とも呼ばれるこのイベントでは、機関投資家や運用会社等が気候変動について議論します。テーマは、「気候変動の解決について投資という観点ではどのような貢献ができるのか」などです。気候変動問題に対応するための取り組みや今後どういった対応が行われようとしているのかなどの議論から、投資と気候変動がどのように関わっていくのかを見通すヒントになり得ると考えられます。
こちらについては、当社アセットマネジメントOneの職員も11月14日に登壇し、気候変動についてパネルディスカッションで議論しました。
なお、職員が当社の取り組み等について紹介しているムービーも公開されています。
このように、会期中は本体のCOP27のみならず、その外でもイベントが開催され、気候変動について各所で議論が繰り広げられることとなります。それくらい規模が大きく注目度も高いイベントと言えるでしょう。
気候変動はこの星に住む限り避けて通れないテーマであり、投資テーマとしても重要です。今後、ニュースなどでより多く話題として取り上げられることも想定されます。本記事が皆さまの理解の一助になればと思います。
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