米大統領選挙と株価の関係~2024年はアノマリーが当てはまるか?~
2024/04/12
2024年は米大統領選挙の年です。米大統領選挙というと、決まって株価のニュースで賑わいますが、そもそも両者に関係はあるのでしょうか。
本記事では、米大統領選挙と株価上昇のアノマリー(理論的には説明のつかない経験則のこと)について解説した上で、2024年の米大統領選挙についても展望します。世界的なイベントを前にしっかり予習しておきましょう。
米大統領選挙とは
まず、米大統領選挙とはどういうものなのかおさらいしましょう。そもそも、なぜ米大統領選挙は4年に1回行われるのでしょうか。
それは、アメリカ合衆国憲法に基づき大統領の任期は4年と定められているためです。その目的としては、この間の大統領の政策を評価し、必要に応じて選びなおす、あるいは続投させるなど、政治的な変化と継続性を国民に判断させる機会を提供することにあります。
その歴史は、1789年のジョージ・ワシントン大統領から始まり現職のジョー・バイデン大統領まで46代の大統領が就任し、次の選挙では47代目の大統領が選ばれます。
ほとんどの大統領が4年以上の任期を全うしていますが、1841年就任のウィリアム・ハリソン大統領は、病気のためわずか1ヶ月で退任しています。また、1963年に暗殺されたジョン・F・ケネディ大統領も2年10ヶ月という短い任期でした。さらにリチャード・ニクソン大統領は、ウォーターゲート事件の弾劾裁判を求める勢いに抗えず2期目で自ら辞任しました。歴代の大統領で辞任したのはニクソン大統領だけとなっています。
【直近10代の米国大統領】
大統領 | 政党 | 期間 | 年数 | 中途退任理由 | |
---|---|---|---|---|---|
37代 | リチャード・ニクソン | 共和党 | 1969年-1974年 | 5年7か月 | ウォーターゲート事件により辞任 |
38代 | ジェラルド・フォード | 共和党 | 1974年-1977年 | 2年5か月 | ニクソン大統領の辞任により 副大統領から昇格 |
39代 | ジミー・カーター | 民主党 | 1977年-1981年 | 4年 | |
40代 | ロナルド・レーガン | 共和党 | 1981年-1989年 | 8年 | |
41代 | ジョージ・ブッシュ(父) | 共和党 | 1989年-1993年 | 4年 | |
42代 | ビル・クリントン | 民主党 | 1993年-2001年 | 8年 | |
43代 | ジョージ・ブッシュ(子) | 共和党 | 2001年-2009年 | 8年 | |
44代 | バラク・オバマ | 民主党 | 2009年-2017年 | 8年 | |
45代 | ドナルド・トランプ | 共和党 | 2017年-2021年 | 4年 | |
46代 | ジョー・バイデン | 民主党 | 2021年-現在 | 現職 |
※青色セルは民主党
※各種データをもとにアセットマネジメントOne作成
米大統領選挙と株価の関係
各種報道やレポート等をみると、米大統領選挙の年は株式市場が堅調になる、というものが散見されます。冒頭お伝えした「アノマリー」と言われる所以も、過去の実績からのものです。 大統領選ごとに候補者も変わるでしょうし、同時に掲げる政策も変わっているはずなのに、何故そう言われているのでしょうか。
主に考えられる3つのポイントをまとめてみました。
① 政策の方向性が明確になること
米大統領選挙は、各候補者が経済政策などを提示し、選挙戦中にはそれらを演説や政策提案で積極的にアピールします。これにより、投資家や企業は将来の政策の方向性が明確になるため、投資行動がしやすくなると考えられます。選挙期間中は政治的な不確実性が高まり市場環境にはネガティブに働くこともありますが、それらも選挙の結果が出ることで解消され、その結果政権への安定感が生まれ、総じて株式市場に対するプラス要因になると思われます。
② 経済政策の変化の可能性
新しい大統領が選出されると、経済政策が変化する期待が高まります。大統領選の結果、税制改革や規制、貿易政策などが現状の課題を解決する方向へと変化することで、市場の先行きに明るい兆しが見えてくるのかもしれません。
③ 投資家の期待と市場の安定
米大統領選挙は国内外の投資家にとって重要なイベントです。その結果は世界全体に影響を与えると言っても過言ではないでしょう。大統領選挙の結果、それまで候補者が掲げてきた政策が実行される期待、そして信頼感が投資家心理を押し上げるためと考えられます。
こうした観点を鑑みるに、「大統領選の年は株価が堅調に推移する」というアノマリーは、先行きが見通しやすくなることによる投資家の安心感、いわゆる投資家心理の改善が背景にあるためと言えるのかもしれませんね。
2024年はバイデン大統領VSトランプ氏が濃厚
2024年は米大統領選挙、投票日は11月4日です。民主、共和各党の大統領候補者は、民主党が8月の全国大会で、共和党は7月の全国大会で正式指名されますが、既に始まっている州ごとの予備選挙の結果では、民主党がバイデン大統領、共和党がトランプ氏でほぼ確実と言えそうです。
2024年の米大統領選挙の行方は?
最近の世論調査をみると、トランプ氏の方が優勢、というものもありますが、トランプ氏、バイデン大統領の間に大きな差がついているということではなさそうです。
最も大統領選の投票日はまだ半年以上先のことなので、この先に何が起こるかは分かりませんし、何かが起これば形成がガラッと変わることもあるかもしれません。
一般的に現職大統領が優位、ということからするとバイデン大統領に勝機があるのかもしれません。コロナ禍後の米国を好景気に導いたことなどが評価ポイントとなる一方、高齢であることが懸念材料とされています。
勢いのあるトランプ氏。一部の熱狂的な支持者が再選に向けての道のりをサポートすると思われます。さらに「もしトラ(もしトランプ氏が大統領になったら)」などと、当選した後の政治動向をコメントする動きもあります。一方、多くの訴訟を抱えていることや、強硬路線の政策がもたらす各国との外交問題などの懸念もあります。
世界を動かす重要イベント
米大統領選挙は、政治的、経済的、外交的に米国の将来を決定づける大きな要因となり得ます。それは世界全体をも大きく動かす原動力となりかねない、非常に重要なイベントです。
過去の大統領選の時に株価が堅調に推移したと言っても、将来も同じようになるとは限りません。
投資家の皆さまに置かれましては、これからの選挙活動や候補者の言動に注目し、米国の、そして世界の今後をしっかり見極めることが大切なのではないでしょうか。
所詮米国の大統領選。日本人には関係ないこと、などと言わず、4年に一度の世界的な大イベントを大いに注目し、今後のマーケットの行方をこの目で確かめてまいりましょう!
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