台湾と日本の深すぎる関係…歴史と経済の繋がりを紐解く
2023/03/10
「台湾」と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?筆者は、小籠包などの美味しい台湾グルメや、ノスタルジックな雰囲気を味わえる街「九份(ジョウフン)」などを連想しました。もしかすると、「親日」というイメージが浮かんだ方も多いかもしれません。今回は、そんな台湾の基本情報や歴史、経済から日本との関係を解説します。そして、今後の台湾経済を占うコロナ禍の台湾旅行の現状などもお伝えしていきます。
台湾の基本情報
台湾 基本情報 | |
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人口 | 2,326万人(2022年12月末) |
面積 | 36,191平方キロメートル |
言語 | 中国語、台湾語、客家語 等 |
宗教 | 仏教、道教、キリスト教 |
主要産業 | 電子製品、化学品、鉄鋼金属、機械 |
GDP | 7,727億米ドル(2021年) |
※外務省HP、(公財)日本台湾交流協会HPよりアセットマネジメントOne作成
台湾は東アジアに位置する島で、北は亜熱帯地域、南は熱帯地域に属しています。年間を通して日本よりも温暖な気候で、夏が長く冬が短いのが特徴です。面積は約3万6千平方キロメートルと九州よりやや小さいくらいですが、人口は約2,326万人と、九州の1.8倍もの人が暮らしています。
公用語は中国語ですが、日常会話では台湾語(閩南(ミンナン)語)や客家(ハッカ)語などが使用されています。因みに台湾語は中国語と似ているのかというとそうではなく、発音や単語、文法などは全く異なる言語です。学校教育は公用語である中国語でなされるため、今の若い人は台湾語が話せない人も多いようです。
台湾と日本の関係
日本と台湾が深く関わることとなったのは1895年、日清戦争がきっかけでした。この戦争で清国に勝利した日本は、下関条約の締結により台湾を割譲され、統治することになります。台湾における交通・金融などの主要インフラは日本統治下で形成され、後の発展の礎となりました。また、高齢の方々で日本語を話すことのできる人が多いのも、この間の教育が日本語により行われていた名残です。
50年続いた日本統治時代でしたが、第二次世界大戦での敗戦により終わりを迎えます。その後は1952年の日華平和条約により国交を回復したものの、1972年の日中国交正常化を機に日台間の外交関係は解消され、現在に至ります。とはいえ、断交後も日本と台湾は民間レベルでの積極的な交流を継続しており、友好的な関係を築いています。
さらに、日本と台湾は貿易相手としても互いに欠かせない存在です。2021年の統計によると、日本の貿易相手国・地域の中で台湾は輸出で3位、輸入で4位でした。一方台湾から見ても、日本は輸入相手国として2位、輸出相手国として4位にランクインしています。
台湾の経済
台湾の経済規模は名目GDPにして7,727億米ドル(2021年)となっていますが、台湾経済を語る上で欠かせない要素が「半導体」そして「中国」です。
台湾は半導体受託製造分野で世界シェアの60%以上を占める半導体大国です。代表的な企業として、米Apple製品の半導体製造を受託しているTSMC(台湾積体電路製造、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)が挙げられます。リモートワークやオンライン授業が普及し、パソコンをはじめとする情報通信機器の需要が急激に高まる中、台湾は世界経済における存在感がより一層増しています。それを象徴するように、世界経済がコロナの影響で減速する中、台湾の実質GDP成長率は2020年で3.4%、2021年で6.5%と驚異的な伸びを記録しました。
2022年前半まで好調を維持していた台湾経済ですが、足下はやや減速傾向にあります。その要因としては、巣ごもり特需の反動による電子機器の在庫調整局面が続いていることの他に、主要輸出先である中国の景気減速が挙げられます。
台湾にとって中国は、輸入額・輸出額ともに1位の主要貿易相手国であり、台湾経済の成長と中国は切っても切れない関係にあります。こうした状況から脱却するため、政府は経済発展の著しいASEAN10カ国、南アジア6カ国、オーストラリア、ニュージーランドの計18カ国との関係強化を図る「新南向政策」に取り組んできました。しかし、その道のりは依然として遠く、コロナ禍においては上海の都市封鎖により受注減・減益となった台湾企業が全体の8割を占めるなど、中国の経済に大きく左右される構造は未だ変わっていません。台湾経済の今後を占うには、中国経済についても注視していく必要がありそうです。
半導体需要の高まりや中国の経済成長という追い風を受け、経済成長を続けてきた台湾。現在は半導体をはじめ通信、バイオメディカル、IoTなどを対台投資の有望分野と位置付け、外国企業の誘致にも積極的です。また、日本国内においてもTSMCが熊本に新工場を建設中であり、日本国内の半導体及び周辺産業の活性化に繋がる事例として注目されています。このように台湾は、今後の日本経済においても鍵となる存在と言えそうです。
台湾旅行の今 4月開始の観光施策にも期待!
半導体産業と同様、台湾の経済を支えてきたのが観光産業です。他の多くの国と同様、一時は新型コロナウイルスの影響により入国が制限されていた台湾ですが、現在の状況はどうなっているのでしょうか?
現在、台湾への入国時には発熱などの症状がない限り入国時の検査は不要で、ワクチン接種証明書・陰性証明書等の提出も必要ありません。また、入国後一定期間内で外出する際に義務付けられていた定期的な抗原検査も、現在は症状がある人のみ実施するルールに変更されており、海外観光客にとってかなり自由度の高い状況と言えるでしょう。さらに屋内のマスク着用義務については、医療機関・公共交通機関など指定の場所や混雑している場所などを除き着用が免除されています。
このように緩和が進む台湾では、一時は月間約2,500人程度まで落ち込んだ訪台客数が、2022年10月には約93,000人まで回復しています。実際、筆者が今年1月に台北に旅行した際も観光地にはかなり人が戻っている印象を受けました。特に台北市内各所にある夜市は、どこも旅行客や現地の人々で賑わっており、目的の屋台まで行くのになかなか身動きが取れないほど混雑していました。それでもピーク時よりは少ないのでしょうが、コロナ禍以前に初めて訪れた際と同じエネルギッシュな雰囲気を楽しみながら、美味しいグルメを堪能することができました。
一方、注意が必要なのは日本帰国時の対応です。現時点で日本への入国にはコロナワクチン接種証明書や、PCR検査による陰性証明書のいずれかが必要であり、多くの場合帰りの飛行機のチェックイン時に提示しなければなりません。最新のコロナ関連情報は、外務省、日本台湾交流協会等のHPなどで公表されていますので、最新情報を事前に調べておきましょう。
最後に、台湾旅行を後押しする施策についてご紹介します。台湾交通部の発表によると、訪台客の呼び込み強化に当たり、日本を含む主力市場を対象に、個人旅行客に5,000台湾元(約2万2,000円)の消費金を給付する施策を策定中とのこと。4月中旬ごろの実施を目指しており、50万人分を電子マネーで提供するか、宿泊費の割引に利用できるそうです。先着ではなく抽選とのことなので最初からあてにできるわけではありませんが、当たったら超ラッキー!くらいの気持ちで行ってみるのも良いかもしれません。
※台湾旅行関連の情報は2023年2月24日時点調べ。出所:外務省HP/(公財)日本台湾交流協会HP
おわりに
「親日」のイメージで知られ日本からの旅行先としても人気の高い台湾ですが、経済・貿易など様々な分野において重要なパートナーであることがお判りいただけたかと思います。コロナによる規制緩和で今後は日台間の往来も回復し、観光産業面でも再び互いの存在感が増していくことでしょう。4月からはお得に旅行できるチャンスもありますので、これを機にぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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