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未来の経済大国!? 成長を続けるインドに注目

2019/11/15

知恵のハコ

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インドというと、どのようなイメージをお持ちでしょうか。多くの人口、スパイスが効いたカレー、そしてヒンドゥー教などに代表される独特の文化。そうした文化・風土から、インドは世界中の旅行者やバックパッカーを魅了し続けており、皆さまのなかにもインドに対して「『自分探しの旅』の舞台」、「訪れると人生観が変わる場所」といったイメージをお持ちの方もいるかと思います。
しかし、経済発展が続くインドは、今や世界中の投資家やビジネスマンを魅了する国としても知られつつあります。今回は、そんなインドについてご紹介いたします。

インドの基本情報

インドは南アジアに位置する国で、その面積は日本の約8.7倍、人口は日本の約11倍と、非常に規模の大きな国です。首都であるニューデリーを含むデリー大都市圏は、東京の7割程度の人口を擁する大都市となっています。
多くの人口を擁するインドは、その社会構成も多様です。多民族国家であるほか、宗教もヒンドゥー教をはじめ、多様な信仰が共存しています。また言語も、連邦公用語はヒンディー語ですが、その他憲法で公認されている各州の言語が21もあります(加えて、英語がインドの準公用語に指定されていることも有名です)。こうした状況から、インドには「15マイル毎に方言が変わり、25マイル毎にカレーの味が変わる。100マイル行けば言葉が変わる」ということわざもあります。

<インドの基本情報>

面積約328.7万平方キロメートル
人口 総人口 約13.5億人*1
うち、首都
(デリー大都市圏)
約2,587万人*2
民族インド・アーリヤ族、ドラビダ族、モンゴロイド族 など
宗教 ヒンドゥー教徒(79.8%)、イスラム教徒(14.2%)、キリスト教徒(2.3%)、シク教徒(1.7%)、仏教徒(0.7%)、ジャイナ教徒(0.4%)  など
※カッコ内はインド国内における教徒数の割合を表します。

*1:2019年のIMF予測値  *2:2015年時点
出所:外務省、IMF(国際通貨基金)「World Economic Outlook Database,April 2019」、総務省統計局、国際連合「World Urbanization Prospects:The 2018 Revision」、東京都のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

インド(イメージ)

インドの文化・歴史

上記のような状況から、インドには多様な文化・風俗が共存しています。
インドは、あのお釈迦様ことガウタマ=シッダールタが菩提樹の下で悟りを開いた地であり、仏教発祥の地として知られているほか、13-19世紀には強大な勢力を誇ったイスラム王朝が君臨していた歴史的背景も持っています。
また、最も広く信仰されているヒンドゥー教は、インドの文化・風俗に多大な影響を与えています。ヒンドゥー教は、古代インドで信仰されていた「バラモン教」から、思想やカースト制度と呼ばれる身分・社会制度を引き継ぎ、他のインド土着の信仰などを吸収しながら形成されてきた多神教です。牛を神聖視していることや、ガンジス川に代表される河川での沐浴など、独特な行動様式も特徴的です。ヒンドゥー教は、他の宗教や文化に多大な影響を与えており、「輪廻」や「解脱」といった概念は仏教にも一部取り入れられているほか、いま世界中で流行している健康法の一種である「ヨガ」も、もとはヒンドゥー教における修行法がその起源となっています。

ヨガ(イメージ)

食事では、多様なスパイスやハーブを用いた「カレー」が有名です。こうしたカレーを、インド北部ではナンやチャパティといったパンの一種とともに、インド南部では米飯とともに食します。また具材や味付けにも北部と南部で違いがあり、北部では牛乳や生クリームなどの乳製品や、クミン・カルダモン・ターメリック・ガラムマサラなどのスパイスが良く使われ、油分豊富で濃厚な味わいとなります。一方南部では、ココナッツミルクやタマリンド(酸味のあるフルーツ)、マスタードシード・レッドペッパー(赤唐辛子)、カレーリーフといったスパイスがよく使われ、北部と比べると水分多めで辛みが強いことが特徴です。こうした違いは、インドの北部と南部の気候の違い、あるいは中央アジアの文化などが影響していると考えられます。

インドの料理(イメージ)

その他、インドは映画が盛んな国としても有名です。インドは世界一映画の製作本数が多い国(2016年のUNESCO調査)として知られるほど、映画が国民的娯楽として定着しており、アメリカのハリウッドになぞらえて、インドのボンベイで撮影された映画は「ボリウッド」産の映画と呼ばれます。日本においても、「ムトゥ 踊るマハラジャ」や、「バーフバリ」三部作といった映画が話題となっており、皆さんも一度は、”映画の中でいきなり歌って踊りだす”、インド映画を目にしたことがあるのではないでしょうか。筆者は映画観賞が好きなのですが、インド映画はわかりやすいシンプルなストーリー展開や随所に映るインドの風土、何より圧倒的に盛り上がるダンス・ミュージックシーンなどの魅力があり、アメリカや日本の映画とはまた違った良さがとても面白いと思っています。

インドの経済について

こうした独特の文化・風土が知られているインドですが、近年では急速に経済発展を遂げており、世界中のビジネスマンや投資家から注目されていることも見逃せません。
IMF(国際通貨基金)によれば、インドは今後6%以上の高い経済成長率を維持すると予想されています。こうした状況から、インドの名目GDPは2050年までに米国の名目GDPを抜き、世界第二位になるとの予想も出ています。

※出所:PwC 「2050年の世界」(2017年2月)をもとにアセットマネジメントOne作成

各国の経済成長率(実質GDP成長率)

※ASEAN5:インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム
※2019年以降は予測値。ただし、2018年以前も一部予測値のデータを含む場合がある。
※インドのGDP成長率は会計年度(4月~翌年3月)ベース。
出所:IMF「World Economic Outlook Database, October 2019」、「World Economic Outlook Update, 2019.7」、 データストリームのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

こうしたインドの高い経済成長の要因は3つあると考えられます。

①人口と今後の消費拡大
インドは13億人を超える巨大な人口を抱えていますが、この人口は現在も増え続けており、2027年前後には中国を抜き世界一の人口をもつ国家となる見通しです。

各国の推計人口の推移

※期間:1950年~2050年(5年刻み)。ただし、2020年以降は国際連合予測。
出所:国際連合「World Population Prospects: The 2019 Revision」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

また、インドは人口の規模だけでなく、人口構成の“若さ“も注目されています。生産年齢人口をみると、インドは人口ボーナス期に入っており、賃金の上昇や生活水準の向上によって今後の個人消費の活発化が予想されています。

*総人口に占める生産年齢人口(15~64歳の人口)が増え続け、経済成長が促進される状態のこと。

生産年齢人口比率(15~64歳の人口)予測(総人口比)

※期間:2020年〜2050年(5年毎)
出所:国際連合「World Population Prospects: The 2019 Revision」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

インドの個人消費額の推移

出所:TATA アセット マネジメント リミテッドのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

②インフラ整備
一方、インドの現状は、上記のような急速な経済発展に伴う人の移動や物資流通の増加に、陸上輸送能力が追い付いていない状況です。
ゆえに、インド政府(後述するモディ政権)は民間資本を積極的に取り入れた道路整備や鉄道網の近代化に取り組んでおり、こうしたインフラ開発そのものによる経済需要の喚起と、インフラが整備されたことによるさらなるビジネスの発展の加速が期待されています。

<主なインフラ整備計画の内容>

2024年までにインフラ整備に100兆インドルピーを投入

物流網の整備を促進

ダイヤモンド四角形プロジェクト(高速鉄道計画)

2022年までにすべての家庭に住宅を供給

総距離83,677kmの道路建設

2022年までにインド初の新幹線を開通
(ムンバイ~アーメダバード)

など

インフラ整備

③モディ政権による改革の進展
2014年に就任したモディ首相は、「モディノミクス」と呼ばれる経済改革を進めており、これまで高額紙幣の廃止(汚職の防止)や、GST(物品・サービス税)の導入(複雑な税制度の一本化)、土地収用法の改正(土地開発にかかる手続きをスムーズにしインフラ投資の加速を促す)などの政策を実行し、インド経済をサポートしてきました。
2019年5月に行われた総選挙では、こうした取り組みが評価された結果、モディ首相が再選・政権が継続する結果となり、今後の改革の継続が期待されます。

インドの足もとの状況と今後の期待

足もと(2019年10月末現在)では、米中の貿易摩擦を巡る対立などから世界経済の先行き不透明感が続いており、インドも影響を受けています。しかし、こうした状況への対処として、インド準備銀行(中央銀行)は、2019年に入り足もとまでで5会合連続で利下げをおこない、またインド政府も大規模な法人減税を発表し、各国企業による中国からの生産拠点シフトの受け皿としてのインドの立ち位置をアピールするなど、経済を重視した対応を続けています。
こうした足もとの取組や、前述の将来に向けた様々な施策が実を結び、やがてインドが現在の中国のような経済大国としての発展を遂げることが、期待されています。

国旗(イメージ)

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