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存在感が増す「グローバルサウス」とは?投資魅力や日本政府の取り組み方針案を解説

2024/07/10

ふやす

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近年、グローバルサウスと呼ばれる新興国や途上国が国際社会で存在感を増す中、魅力的な投資対象としても注目が高まっています。本記事ではグローバルサウスの投資魅力からグローバルサウスが抱える課題、日本政府の取り組み方針案を解説します。

グローバルサウスとは?

グローバルサウスについて明確な定義はありませんが、アジアや、アフリカ・中南米など南半球の新興国や発展途上国の総称として用いられます。中国を含めるかどうかは議論が分かれますが、近年は中国を除いて使われることが多いようです。
グローバルサウスに含まれる国は100以上あると言われています。グローバルサウスの盟主を自任するインドが2023年1月にオンラインで開催した「グローバルサウスの声サミット」には125か国が参加しました。代表的な国として、インドやインドネシア、ブラジル、サウジアラビア、ナイジェリア、パキスタン、エジプトなどがあげられます。グローバルサウス諸国は、政治的・経済的・文化的に国ごとに大きく状況が異なりますが、豊富な天然資源や人口増加を背景に経済力を向上させ、国際社会での存在感を増しています。

グローバルサウスの投資魅力

将来にわたる高い経済成長

グローバルサウスが投資対象として魅力的な理由の一つに高い経済成長への期待があります。国際通貨基金(IMF)の推計によると、2024年以降の今後5年間における実質GDPの平均成長率は、G7が1.6%であるのに対して、新興国が4.1%とより高く見込まれています。特に、グローバルサウスの代表格であるインドは6.6%と高い経済成長率が見込まれています。

【2024~2028年の平均経済成長率(%)】

2024~2028年の平均経済成長率(%)

※経済成長率は予測値

出所:IMF「World Economic Outlook, January 2024」 のデータをもとにアセットマネジメントOneが作成

人口ボーナス期を迎えている国が多いこと

また、グローバルサウス諸国では人口が増大し、生産年齢人口(15~64歳)が従属人口(14歳以下と65歳以上の合計)の2倍以上となる「人口ボーナス期」を迎えている国が多いことも注目されています。多くの先進国では少子高齢化が進み、従属人口の比率が相対的に上昇する「人口オーナス期」を迎える中、インド、インドネシア、サウジアラビアなどの国では人口ボーナス期を迎えています。人口ボーナス期には豊富な労働力を背景に個人消費が活発になる一方、高齢者の割合が少なく社会保障費用が抑えられるため、経済成長が促進され、株式市場の発展も期待されます。

【各国の生産年齢人口/従属人口比率の推移】

各国の生産年齢人口/従属人口比率の推移

期間:2022年~2050年(年次)

※先進国はヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本。開発途上国はアフリカ、アジア(日本を除く)、ラテンアメリカ、カリブ海地域の全地域と、メラネシア、ミクロネシア、ポリネシア。

出所:国際連合のデータをもとにアセットマネジメントOneが作成

資金援助・技術支援、直接投資のさらなる活発化

さらに、ロシアによるウクライナ侵攻や米中対立などの国際社会の対立が深まっていることも、グローバルサウスへの投資魅力を高めています。米国や欧州などの民主主義陣営とロシアや中国などの権威主義陣営はグローバルサウス諸国を自らの陣営に取り込もうとする中、グローバルサウス諸国は中立の立場をとり、自国への経済的利益を最大化させようと行動しています。今後、両陣営からの資金援助・技術支援、直接投資がさらに活発化することで、グローバルサウス諸国の経済がより発展することが期待されます。

グローバルサウスが抱える問題

貧困問題

一方、グローバルサウス諸国は、多くの課題を抱えています。まず、課題の一つとして貧困問題があります。国連開発計画委員会(CDP)では、1人あたりの国民総所得(GNI)が1,088ドル以下であり、人的資源開発指数*1や、経済脆弱性*2を表す指標が一定を下回る国を後発発展途上国(LDC)と認定しています。インドなどの国は経済発展を遂げていますが、グローバルサウスの多くの国がLDCと認定されています。

*1 5歳以下の乳幼児死亡率、母体死亡率、発育阻害の蔓延度、中等教育就学率、成人識字率、中等教育におけるジェンダー平等度を指標化したもの

*2 GDPに占める農林水産業の割合、地理的制約、商品輸出の集中度、財およびサービス輸出の不安定性、低標高沿岸地帯に住む人口の割合、乾燥地に住む人口の割合、農産物の生産不安定性、自然災害における被害の大きさを指標化したもの

【LDC諸国(2023年12月現在)】

アフリカ
(33か国)
アンゴラ、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、中央アフリカ、チャド、コモロ、 コンゴ民主共和国、ジブチ、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、 レソト、リベリア、マダガスカル、マラウイ、マリ、モーリタニア、モザンビーク、 ニジェール、ルワンダ、サントメ・プリンシペ(2024年に卒業予定)、セネガル、 シエラレオネ、ソマリア、南スーダン、スーダン、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、ザンビア
アジア
(9か国)
アフガニスタン、バングラデシュ(2026年に卒業予定)、カンボジア、東ティモール、 イエメン、ラオス(2026年に卒業予定)、ミャンマー、ネパール(2026年に卒業予定)
大洋州
(3か国)
キリバス、ソロモン諸島(2027年に卒業予定)、ツバル
中南米
(1か国)
ハイチ

出所:外務省のHPをもとにアセットマネジメントOneが作成

環境問題

環境問題もグローバルサウスが抱える重要な課題です。人口の増加や工業化といった要因が組み合わさり、大気汚染、水質汚濁、森林や土壌の劣化、生物多様性の減少などの問題が生じています。持続可能な経済開発と環境保護の両立が求められますが、財政的な制約や技術的な課題から両立は難しいとされています。

これらの問題に加えて、インフラの未整備や教育の格差、人権問題などもグローバルサウス諸国が抱える課題とされており、今後、こういった課題に対処していく必要があるとみられます。

グローバルサウスに対する日本の取り組み方針案

日本政府は2024年6月にグローバルサウス諸国との新たな連携強化に向けた方針案を初めてまとめました。この方針案では、食料や資源、エネルギーなどの輸入に大きく依存する日本にとって、グローバルサウス諸国との連携は経済発展や強靭化に不可欠としています。
具体的な取り組みとして、企業関係者を同行させたトップ外交や政策対話の深化を通じて、グローバルサウス諸国との関係構築を進めるとしています。また、産官学が連携し、各国の実情に応じた産業や雇用の創出、技術移転、人材育成に取り組むとしています。さらに、政府開発援助(ODA)を拡充し、民間資金の流入を促すための新たな国際協力の仕組みを検討することも示されています。今後、これらの取り組みを通じて、日本がグローバルサウス諸国との連携を強化できるかが注目されます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。グローバルサウスは経済発展などを背景に投資対象としてますます注目が集まると考えられます。一方で問題点も多く抱えており、それらの解決も重要なポイントになります。本記事が皆さまの投資のヒント、そして問題認識のきっかけになれば幸いです。

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