eスポーツ市場への投資魅力とは?将来性や関連企業をわかりやすく解説
2024/06/06

近年、エンターテインメント業界に変化が起きています。それは、コンピュータとインターネットを駆使した新時代のスポーツ競技、eスポーツです。この分野は、ただの娯楽産業を超えて、さまざまな側面から社会に大きな影響を与えています。本記事では、eスポーツの魅力から市場の将来性や関連企業までをわかりやすく解説します。
eスポーツ業界とは?その魅力は?
そもそもeスポーツとは、エレクトロニック・スポーツの略で、ビデオゲームを用いた競技活動全般を指しており、コンピュータゲームのプレイをスポーツとして捉え、組織的に運営されています。プロフェッショナルな選手が所属するチーム同士が試合で対戦し、個人またはチーム単位で競技の技術と戦略を駆使します。多くのプレイヤーがタイトルで競っており、拡大し続けるファン層は若年層に限らず、その様子は各種メディアで世界中に中継されるほど注目されています。例えば、日本人プレイヤー梅原大吾選手は『ストリートファイター』シリーズなどの格闘ゲームで世界的に知られたプロのeスポーツ選手です。
eスポーツイベントは世界の有名都市で開催され、会場では数万人の観客が実際に集まり、さらにオンライン配信を通じて世界中のファンがリアルタイムで試合を楽しむことができます。これらのイベントは、プロ選手が参加する白熱したトーナメントはもちろん、ファンとの交流を深める特別セッションや、エンターテインメント性を備えたショーケースが披露される場ともなっています。
eスポーツにはどんな種目がある?
一口にビデオゲームと言ってもさまざまなジャンルがあり、それぞれ異なるスキルや戦略が求められます。以下では、eスポーツの主な種目についての簡単にご説明します。
FPS(ファーストパーソン・シューター)
シューティングゲームの一種で、プレイヤーは一人称視点でゲームをプレイします。主人公と視界を共有する一体感、没入感が魅力です。反射神経や精密な操作がゲームの勝敗を左右します。
※画像はゲーム画面のイメージです。
TPS(サードパーソン・シューター)
こちらもシューティングゲームの一種で、プレイヤーは三人称視点でキャラクターを操作します。有名なタイトルとしてはスプラトゥーンなどが挙げられます。FPSと比べて全体的な動作や周辺の状況を把握しやすく、戦略性の高い動きが求められます。
格闘対戦ゲーム
キャラクターを操り、対戦相手を倒すゲームで、ストリートファイターなどが有名です。技の正確な入力や状況判断が重要とされます。
カードバトルゲーム
デジタルカードを使って戦略的に対戦するゲームで、リアルカードゲームと比べて豪華な映像・音楽が楽しめます。インターネットを通じて試合が可能なので、リアルでは不可能な効果やランダム性を持ったカードを実装可能な点などが魅力です。計画性や先読みが鍵となる他、日々変化するプレイ環境への対応も重要となります。
RTS(リアルタイムストラテジー)
リアルタイムに進行する戦略ゲームで、プレイヤー双方が同時に兵士などのキャラクターに指示を与えながら戦い、敵の本拠地の破壊・制圧を目指します。資源管理や軍隊の配置など多くの要素を考慮しなければならない他、とっさの判断力や素早い操作も求められます。
※画像はゲーム画面のイメージです。
MOBA(マルチプレイオンラインバトルアリーナ)
RTSから派生したゲームで、敵本拠地の破壊・制圧を目指すことは同じですが、複数人のプレイヤーがチームを組んで対戦するところに違いがあります。メンバーの配置や攻撃と防御の割り振りなどの戦略はもちろん、チームワークも非常に重要になります。
このように、eスポーツには様々なジャンルがあり、それぞれが独自の魅力を持っています。eスポーツが世界中で支持されるのは、豊富な種目とそれぞれの見どころが背景にあると言えるでしょう。
※上記の商品名は一例として挙げており、これらの商品を推奨するものではありません。
eスポーツ業界の市場規模と収益構造
eスポーツは、デジタルエンターテインメントの爆発的な成長を背景に、市場が急拡大しています。日本のeスポーツの市場規模は2022年時点で約125億円を誇り、この数字は今後も増加が見込まれ、2025年には200億円を超えると予想されています。
※上記は過去の情報を基づく試算であり、将来の結果を保証するものではありません。
出所:角川アスキー総合研究所「日本eスポーツ白書2023」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成
急速に成長しているeスポーツ業界は、多岐にわたる収益源から成り立っています。
下の円グラフのとおり、2022年の日本eスポーツ市場の約125億円のうち、スポンサーシップからの収益が約41.9%を占めており、これには企業がeスポーツチームやイベントへの資金提供を行うことが含まれます。これは企業がeスポーツチームやイベントに対してブランド露出や広告のために投資していることを示しています。
次に大きな割合を占めているのがイベント運営で、全体の31.0%です。eスポーツイベントは、オンラインだけでなくオフラインの大会やフェスティバルなどが世界中で開催されており、これらのイベントからも多大な収益が生まれています。
三番目はeスポーツのトーナメントをテレビチャンネルやインターネットストリーミングサービスで配信することを許可する放映権で、これによる収益は全体の12.7%を占めています。
他にもアイテム課金や賞金が7.0%、ストリーミングが4.6%と続きます。
※上記は過去の情報であり、将来の結果を示唆・保証するものではありません。
出所:角川アスキー総合研究所「日本eスポーツ白書2023」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成
全体として、eスポーツ業界は多様な収益源に支えられており、業界の成長に伴い、これら各セグメントの市場規模がさらに拡大する可能性が高いと考えられます。特に、スポンサーシップとイベント運営の強固な基盤は、継続的な市場成長を裏付ける重要な要素であり、今後も注目される項目と言えるでしょう。
eスポーツ業界の将来性は?
eスポーツ業界は、最新のテクノロジーを駆使する革命的なエンターテインメント産業として、将来性が非常に期待されています。技術の進歩によりゲーマーと視聴者の体験価値が大きく向上することで、市場は成長し新たな投資のチャンスを創出しています。
また、スマートフォンやタブレットの普及により、多くの人がeスポーツを視聴したり、競技者として参加したりすることが容易になりました。その結果、ファン層が増加しており、新しい市場が開拓されています。
さらに、ストリーミング技術とソーシャルメディアの活用が、世界規模でのeスポーツコミュニティの育成に貢献しています。個々のゲーマーが自分のプレイを生中継し、ファンと直接やりとりすることが、視聴者の競技への愛着を深めることにも役立っています。
最近話題となっているeスポーツの技術では、フルトラッキングシステムが挙げられます。これを使用してプレイヤーの骨格の動きを正確にリアルタイムでトラッキングすることにより、バーチャルキャラクターを使ったAR(拡張現実:現実世界に仮想世界を重ね合わせて表示する技術)対戦が可能になりました。これにより、AR空間上でVTuber(Virtual YouTuber: アバターを使って活動しているYouTuber)同士の対戦だけでなく、VTuberと実際の人間との対戦も実現できます。今後、このシステムを活用した新しい配信やイベントコンテンツが配信者とファンの交流機会として提供されることが見込まれます。
これら多くの要素が合わさり、eスポーツ産業の将来性は投資家からも大きく期待されています。新しい技術の進化、市場の成長がこれからもeスポーツをエンターテインメントとして際立たせていくでしょう。
eスポーツに関わる業界と関連企業
eスポーツ業界における企業の主要な事業分野は3つあります。ゲーム制作会社、配信会社、イベント運営会社です。順番に関連企業と併せてご紹介します。
ゲーム制作会社
名前の通り、ゲームを制作する会社で、 eスポーツのゲームとして採用されることで大きく売り上げを伸ばすことが期待され、制作会社自らがトーナメントを開催することもあります。
Epic Games(エピックゲームズ)
「フォートナイト」の開発で知られるエピックゲームズは、革新的なビジネスモデルと優れたゲームデザインにより、短期間で世界中にファンを獲得しました。フォートナイトは、趣味で楽しむプレイヤーからプロ競技者まで幅広い層に愛されており、エピックゲームズはこのゲームを中心にした大型eスポーツイベント「フォートナイト・ワールドカップ」を開催しています。
Valve Corporation(バルブコーポレーション)
バルブコーポレーションは、「Dota2」や「カウンターストライク: グローバルオフェンシブ(CS:GO)」などの人気ゲームを提供する米国の企業です。これらのゲームはeスポーツの世界で中心的な役割を果たしており、「The International」というDota2の大会では莫大な賞金がかけられ、CS:GOについても世界中で大きなトーナメントが開催されています。
配信会社
大きく分けて配信会社のなかにも2種あり、eスポーツの大会をオンラインで配信、またはeスポーツプレイヤーのファンに向けたゲーム配信を行うプラットフォームを運営している企業です。
Twitch(ツイッチ)
ツイッチはゲームのライブストリーミングサービスを提供しており、プロの大会だけでなく個人が自分のプレイを配信する場としても使用されています。このサービスは、ファンとのつながりを強化する上でeスポーツ業界にとって重要な役割を担っています。
DouYu(ドウユウ)
中国最大のライブストリーミングプラットフォームで、日本ではMildom(ミルダム)がゲーム配信を中心としたライブストリーミングサービスとして有名です。日本のニコニコ動画に影響を受け、コメントが画面上に流れることが特徴的な機能となっています。
イベント運営会社
eスポーツのイベントを主催する企業です。
ESL FACEIT GROUP(イーエスエルフェイスイットグループ)
ESL(エレクトロニック・スポーツ・リーグ)は、世界的な大会やトーナメントを企画、運営する企業で、eスポーツの大規模なイベントを成功させるにあたり中心的な役割を担っています。国際的な競技シーンでさまざまなトーナメントを主催し、その規模と影響力で広く認知されています。
CyberE(サイバーイー)
親会社サイバーエージェントグループのイベント制作会社で、国内最大級のeスポーツイベント「RAGE」の制作・運営をしている企業です。海外大会のイベント制作から、インフルエンサーマーケティングなど幅広く運営しています。
※上記の企業名や商品名は一例として挙げており、これらの企業や商品への投資を推奨するものではありません。
おわりに
eスポーツ市場は、ビデオゲームをプレイすることがスポーツとして扱われるようになったことで、新しいビジネスモデルやサプライチェーンが誕生し、今後も大きく成長することが期待されています。そんなeスポーツの魅力に触れながら、投資機会として捉えてみるのも面白いのではないでしょうか。
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