投資家大注目の「フェムテック」とは?市場規模と商品・サービスを解説
2023/04/27
「フェムテック」という言葉をご存知でしょうか。近年、女性特有の課題解決に向けた取り組みは社会的なトレンドになっており、ニュースなどで取り上げられることも増え、急速に注目が集まっています。そこで、本記事では「フェムテック」の概要や市場規模、具体的な商品・サービス等を説明したいと思います。投資アイデアの一つとしても有効ですので是非ご参考にしていただければと思います。
フェムテックとは?
フェムテックは、Femtech=Female +Technologyを掛け合わせた造語で、女性が抱える健康問題やライフステージの課題を技術で解決する製品・サービスのことを指します。「テック」というとAI(人工知能)やアプリなどのコンピュータ技術を想像しがちですが、現在はそういった技術が使われていなくても女性の健康を支えるものは「フェムテック」と呼ばれており、技術的な側面より、「女性のための」といった側面が強い言葉で使われることが多いようです。
フェムテックという言葉は数年前に誕生した新しい言葉ですが、経営コンサルティングサービス会社のGlobal Market Insightsによると、世界のフェムテック市場規模は2022 年に300億ドルを超え、また、矢野経済研究所によると、日本でも600億円程度の市場規模があるとされています。
また、日本におけるフェムテックによる経済効果は2025 年までに約2兆円に迫ると見られています。経済産業省の「働き方、暮らし方の変化のあり方が将来の日本経済に与える効果と課題に関する調査 報告書」(2020、作成:日立コンサルティング)によると、フェムテックにより女性が活躍できるようになる経済効果は、2025年時点で約2兆円/年(月経分野:約2,400億円/年、妊娠・不妊分野:約3,000~5,000億円/年、更年期分野:約1.3兆円/年)と試算されています。
フェムテックはなぜ今注目される?
これまで人に話すこともタブーとして扱われてきた女性の身体の課題が、新しいビジネスチャンスの領域として投資家および起業家に注目されている背景は何でしょうか?いくつかの理由はあるようですが、主なものとしてはテクノロジーの進歩、ジェンダー平等の意識向上、政府のフェムテック支援などが挙げられます。
月経や不妊、更年期の体調の変化など女性の健康は年代ごとに様々な悩みがつきません。女性の社会進出が進み、日本政府が「女性が働き続けられる社会」を目指しているように、女性の心身の健康は以前に増して重要視されるようになりました。 特に日本では、出生率の低下や少子高齢化が大きな課題です。そのために女性が働きやすく、生きやすくなるためにテクノロジーの活用は必然となり、経済産業省も「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」を設け2021年度から補助事業を開始するなど、本格的に支援を始めています。
また SDGs で掲げられている目標5「ジェンダー平等を実現」、目標3「全ての人に健康と福祉を」という点でもフェムテックは重要な役割を期待されています。
フェムテックの商品・サービス例
では具体的にフェムテックの商品・サービスを見ていきましょう。
■月経、不妊・妊娠
- ・月経カップ・吸水ショーツ
- 従来の生理用品のかぶれや漏れ、取り替えなどの悩みを解消し再利用可能。特に吸水ショーツは従来5000円以上すること等が理由で欧米に比べ日本では普及が進んでいませんでしたが、GUやユニクロが参入し手ごろな価格で販売されたことで話題になりました。
- ・ルナルナ
- 20 年以上のサービス実績があり、月経管理や妊活のサポート、ピルの服薬支援、スポーツをする人向けに試合・合宿の管理ができるアプリ。
- ・産婦人科オンライン
- スマホから直接産婦人科、助産師に相談できるサービス。
■産後ケア、育児
- ・Piam
- 仕事と家庭の両立を目指す女性の復職支援アプリ。
- ・じょさんしONLINE
- 妊娠・出産・育児をサポートするオンライン講座や個人相談サービス。
■更年期
- ・エクエル
- 大豆から生み出される成分「エクオール」が、ゆらぎ期を迎えた女性の健康と美容をサポートする成分として、注目されるサプリ。
- ・よりそる
- 更年期障害の症状を共有するアプリ。体調の記録だけではなくカウンセリングも対応。
- ・TRULY for Business
- LINEで学べるヘルスケアリテラシー向上のeラーニングや気軽に専門家へチャット相談ができるサービス。女性医師が監修。
■婦人科疾患
- ・リングエコー
- ベッドにうつぶせになるだけで検査が終わる乳がん検診用装置。
- ・ドゥイブス・サーチ
- “痛くない・見られない・精度が高い・放射線被ばくゼロ”の無痛MRI乳がん検診。
フェムテックとダイバーシティ経営
フェムテックについては、商品開発に取り組む企業の他、フェムテック開発元をサポートしようとする企業、また女性が働きやすい環境作りや健康経営の一環として、フェムテックを取り入れる企業も増えています。以下、いくつかの事例をご紹介します。
■ポーラ
健康経営の一環として、卵子凍結の保管初期費用や不妊治療費の一部補助、吸収ショーツやピル処方、生理関連の商品購入などの費用の一部補助、更年期の相談やオンラインカウンセリングサービス利用時の補助(性別問わず)などを実施。D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進する法人向けサービス「Cradle」の導入によって、従業員とその家族を対象としたヘルスケアサポートも開始。
■小田急電鉄
経営方針・戦略としてD&Iを掲げている小田急電鉄では、フェムテックを活用して女性が安心して働ける環境づくりに取り組む。従業員の9割を男性が占めていることから、女性が特有の問題を気軽に相談して情報を得られるようにと、不妊治療や流産の相談窓口となる「ファミワン」や、「産婦人科オンライン」を導入。また、駅や運転などの現場の監督者向けには、妊活や不妊に関する理解を深め職場運営に役立てられるよう、セミナーも実施。
■丸紅
フェムテック領域でのビジネス創出を目指してプロジェクトチームを立ち上げ、社内における実証・リテラシー向上のためのセミナー等を実施。
このように、様々な形でフェムテックに取り組んでいる企業が増えており、私たちの生活にも着実に浸透してきています。
女性が抱える問題を取り除き、女性の生産性を向上させることは人口減少国である日本が持続的な成長を達成するための大きな課題と言えます。だからこそ、多くの投資家が注目し、こうした取り組みに対して資金が集まるのだと思います。皆さまも日本の重要課題、そして投資アイデアの一つとして注目してみてはいかがでしょうか。
※本記事における商品・サービスや企業はあくまで一例として紹介するものであり、これらおよびこれらの株式の売買を推奨するものではありません。
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