Produced by
アセットマネジメントOne株式会社

わらしべ瓦版わらしべ瓦版

おカネの健康を考えるウェブマガジン

アセットマネジメントOne

ポートフォリオとは?リスクを抑えながら収益を狙う投資のコツを徹底解説

2023/04/07

ふやす

アセットマネジメントOneのfacebook

アセットマネジメントOneのfacebook

投資や資産運用の話で頻繁に出てくる「ポートフォリオ」という言葉。普段は耳にしないか、もしくは他の分野で聞いたということもあり、金融業界での意味を知っている方は少ないかもしれません。

しかし、金融業界においてポートフォリオは非常に重要な言葉であり、多くの投資家が目指す安定的な収益を獲得するために必要不可欠な概念です。

そこで本記事では、ポートフォリオの意味を説明した上で、どのように構築すべきかを具体的に解説したいと思います。「投資で失敗したくない」という思いはみんな一緒ですから、知っておいて損はないと思いますよ。

ポートフォリオとは?…3つの業界で異なる意味

ポートフォリオとは、折りカバンや書類入れなど、書類を運ぶためのケースのことを指しており、「複数のものをまとめて管理すること」というニュアンスが含まれています。このニュアンスから派生して、現在では3つの業界でポートフォリオという言葉が良く使われていますが、「何を」まとめて管理するかが各業界で異なるため、その意味は大きく異なっています。

・金融業界
金融業界の場合、「何を」には株式や債券、不動産などの投資商品が当てはまります。つまり、複数の投資商品を組み合わせた資産のことを包括してポートフォリオと呼んでいるのです。投資家は自分自身のポートフォリオを適切に構築することで、リスク管理を行いながら収益(リターン)を最大化することを目指します。
・教育業界
教育業界の場合、「何を」にはレポートや試験用紙、活動報告の写真や動画などの学習記録が当てはまり、パーソナルポートフォリオとも呼ばれています。これを作成することで、従来のテストだけでは測れない総合的な学習評価が可能となり、学校教育だけではなく自己啓発など、さまざまな教育分野で取り入れられています。また、進路選択や就職活動などで自己PRをする際にも活用され、自分の能力や成果をアピールするためのツールとして役立ちます。
・クリエイティブ業界
クリエイティブ業界の場合、「何を」には自分が作った作品やデザインなどが当てはまります。例えば、グラフィックデザイナーやイラストレーター、映像制作の仕事を目指す人は、自分が作った作品を集めてポートフォリオを作ることで、クライアントや雇用主に自分の能力をアピールし、評価してもらうことができます。

ポートフォリオの3つの意味

このようにポートフォリオには三者三様の意味があります。そして本記事では、この内の金融業界で使われるポートフォリオについて詳しく解説していきたいと思います。

ポートフォリオの基礎

前述したとおり、ポートフォリオとは複数の投資商品の組み合わせを指し、資産運用の世界では非常によく使われる言葉です。一体なぜよく使われるのかというと、資産運用においては投資商品一つ一つの値動き以上に、資産全体、つまりポートフォリオの値動きの方が大切だからです。

例えば、「株式に投資している」と聞くと、すぐに「危ない」や「大損するかも」というイメージを思い浮かべる方も多いと思います。しかし、実は株式の投資比率が資産全体の0.1%であり、「預金99.9%、株式0.1%のポートフォリオ」で運用していたらどうでしょう?イメージとは真逆で、非常に手堅い運用方法であり、このポートフォリオにとってより重要なのは株式の値動きより預金金利水準だと考えられます。

このように、資産運用においては「預金10%、債券20%、株式20%、不動産50%」といった、何にどれだけ投資しているかをポートフォリオとして管理し、マーケット環境や自分のライフステージに合わせてポートフォリオの中身を適宜変更することが非常に重要です。

こうした背景から、ポートフォリオは分散投資とも密接に関係しています。分散効果の高い投資商品を組み合わせれば、ある商品が大きく値下がりしても別の商品が異なる値動きをすることによって、結果的にポートフォリオの値動きを小さくすることが期待できます。つまり、効果的な分散投資を行ってポートフォリオを構築すれば、リスクを抑えつつ安定的なリターンを狙う運用が可能となるのです。

分散投資効果のイメージ

なお、ここではポートフォリオの中に預金を含めて説明しましたが、金融業界(資産運用業界)では顧客から預かった資産を理由なく現預金として放置することは厳しく制限されている場合もあり、一般的に見かけるポートフォリオは現預金を含まないケースが多いかもしれません。しかし、個人の資産運用で考える場合は、万が一の時のための現預金は非常に重要な役割を果たすため、現預金を含めたポートフォリオで考えるとよいでしょう。

ポートフォリオのメリット・デメリット

リスクを抑えながら安定的なリターンを目指すためにはポートフォリオの構築が非常に重要ですが、当然ながらその裏側にはデメリットも存在します。ここでは、ポートフォリオのメリットとデメリットについて解説します。

まず、一番のメリットとして挙げられるのが「自分に適したリスク・リターン特性にカスタマイズできる」です。

投資商品にはそれぞれ特有の値動きがあり、過去の値動きを分析すれば、どの程度の振れ幅(リスク)で、どの程度の上昇(リターン)だったかを把握することができます。一般的にはリスクが大きい投資商品ほどリターンも大きく、いわゆる「ローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターン」の原則が成り立ちます。

例えば、債券(固定利付債)はあらかじめ決まった利息や元本の受け取りが約束されている分、株式よりも値動きが小さく、その分期待できるリターンも小さいローリスク・ローリターンの傾向にあります。また、同じ株式でも業績が安定した大型株より、業績が不安定だけど大きく伸びる可能性もある小型株の方がハイリスク・ハイリターンの傾向にあります。

投資家はこれらの投資商品を組み合わせることで、自分に適したリスク・リターン特性を持つポートフォリオを構築することが可能です。資産運用においては予期せぬ大きな損失を避けることが非常に重要ですが、そのカギとなるのがポートフォリオを構築してリスクをコントロールすることと言えるでしょう。

各資産のリスク・リターンの特性

また、ポートフォリオを構築し、分散投資を行うことで、リスク低減効果が得られることも大きなメリットの一つです。例えば、2つの投資商品を等金額(50%ずつ)で組み合わせたポートフォリオを構築した場合、ポートフォリオのリターンは各投資商品のリターンの平均となる一方で、リスクは必ず平均以下になります。このリスク低減効果をいかに大きくするかが優良なポートフォリオを構築するポイントです。

ポートフォリオのリスク・リターン

一方で、これはリスクコントロールと表裏一体なのですが、ポートフォリオを構築してリスクを下げる分、期待リターンは下がってしまうことがデメリットと言えます。市場分析や銘柄分析を突き詰めて大きなリターンを狙うなら、分散投資は適していないケースが多いことには注意が必要でしょう。

また、複数の資産を組み合わせることで管理が複雑になることもデメリットと言えます。数銘柄であれば、それぞれの値動きやニュース等に目を行き届かせることは可能ですが、銘柄数が多くなるにつれて難しくなっていきます。管理がおろそかになることで、本来避けられた急落などに見舞われる可能性があることには留意する必要があります。

ポートフォリオが持つリスクコントロールと、リスク低減効果は資産運用をする上で大きな武器となります。安定的な資産運用を行うために、ポートフォリオの構築は必要不可欠と言っていい程重要ですので、デメリットも理解した上で積極的に構築するようにしてください。

ポートフォリオの具体的な作り方

ポートフォリオの一番のメリットとして、「自分に適したリスク・リターン特性にカスタマイズできる」ことを挙げましたが、そもそも、自分の投資目的(目標リターン)やリスク許容度を考えないことにはカスタマイズのしようがありません。これを考えた上で、自分に適したリスク・リターン特性となるようなポートフォリオを構築しましょう。

また、具体的な投資商品を選ぶ際は、それぞれの特徴を良く理解する必要があります。以下では、ポートフォリオの有力候補となる代表的な投資商品と特徴をご紹介します。

・株式
株式とは、資金を出資した人に対して発行する証券のことで、企業の所有権を表します。例えば、企業が利益を上げた場合には、株主に利益分配(配当)が行われることがあります。また、株式は市場で売買することが可能で、需要と供給によって価格が決まるため、株価の変動次第で大きな利益を得られる可能性もあれば、大きな損失を被る可能性もあります。つまり、株式は高いリターンが期待できる反面、リスクも高い投資商品と言えます。
・債券
債券とは、企業や国が発行する借入証券のことで、借り手(発行体)は定期的に利息を支払い、期限が来たら元本を返済することになります。債券で最も一般的な固定利付債の場合、債券所有者はあらかじめ受け取る利息と元本が決まっているため、安定した収益を得ることができます。しかし、債券は発行体が破たんすると利息や元本が受け取れない可能性があります。また、発行済みの債券を売買する場合は、世の中の金利や発行体の信用力の変化によって価格が変動するため、必ずしも収益が確定しているわけではないことに注意が必要です。
・不動産
不動産に投資することで、家賃収入や不動産価格の上昇によってリターンを得ることができます。家賃は急激には変化しないことから、不動産投資は比較的収益が安定しているとされています。しかし、家賃の低下や空室率の上昇、不動産価格の下落などのリスクもあり、大きな損失を被る場合もあることは知っておく必要があるでしょう。
・商品
商品(コモディティ)は、金や原油などの天然資源や、食料品や工業製品などの物資に投資することを指します。株式と同様、市場の需要と供給によって価格が決まるため、高いリターンが期待できる一方、天候不順や政治情勢などの外的要因によって価格が急激に変動することもあり、リスクも高いと言えるでしょう。また、商品によって値動きの性質が大きく異なり、例えば金などの貴金属は比較的価格が安定しているとされていますが、原油などのエネルギー商品は需給の影響を受けやすく、価格変動が大きい傾向にあります。

このように、各投資商品の特徴を理解した上で、実際に過去の値動きも確認しながらポートフォリオを構築するとよいでしょう。

しかし、上記説明を見て一般的な個人投資家には知識や必要資金などの面でかなりハードルが高いものもあると感じた方も多いと思います。そこで登場するのが「投資信託」です。

ポートフォリオと投資信託の関係

投資信託とは、多くの投資家が資金を出し合い、資産運用のプロであるファンドマネジャーが株式や債券などの投資商品(銘柄)を選んで運用し、その成果を分配する仕組みです。

投資信託の仕組み

多くの投資家から資金を集めるため、一人一人の投資金額は少額でも、投資信託を通じて様々な投資商品、特に個人投資家にはハードルが高いようなものにも投資することが可能です。また、ファンドマネジャーに運用を任せることで、自分で投資商品を選ぶ必要がないため、知識がない場合でも比較的安全に投資することができます。

投資信託は複数の投資商品が組み入れられていることから、一つの投資信託に投資するだけで実質的にはポートフォリオを構築したことになります。加えて、投資信託は少額から投資が可能なことから複数の投資信託も手軽に購入できます。つまり、投資家は投資信託を活用することでさらに多種多様なポートフォリオを構築することが可能となり、より自分の理想とするポートフォリオへ近付くことができるようになるのです。

ポートフォリオマネジメントってなに?

最後に、ポートフォリオマネジメントについて解説したいと思います。ポートフォリオマネジメントとは、より効果的な資産運用を行うために、ポートフォリオの適切な管理を行うことを指します。

より良いマネジメントを行うためには、自分の投資目的やリスク許容度を明確に定めることはもちろん、学習や実践を通じて投資スキルを磨く必要があります。その上で、ライフステージやマーケット状況を踏まえて、投資商品の組入比率や売買タイミングなどを適切に判断し、常に最適なポートフォリオになるよう努めなければなりません。

このため、証券会社や銀行などの金融機関や投資専門のファイナンシャル・プランナーなどのプロにアドバイスを求める、あるいはポートフォリオマネジメント自体をプロに任せることも選択肢の一つとなります。当然のことながら、その分コストがかかることには注意しましょう。

ポートフォリオとは複数の投資商品を組み合わせた資産のことであり、構築することは誰でも可能です。しかし、より安定的な収益を目指すためには相応の努力が必要であり、場合によってはコストをかけてプロの力を借りることも検討する必要があります。

本記事が、ポートフォリオの意味と重要性の理解に役立ち、皆さまがより良いポートフォリオを構築するための一助となれば幸いです。

(執筆:1級ファイナンシャル・プランニング技能士 佐藤 啓)

GPIFとは?“資本市場のクジラ”世界最大の機関投資家に迫る
■私たちの年金のポートフォリオを知ろう!

GPIFとは?“資本市場のクジラ”世界最大の機関投資家に迫る

【Facebook】
米国株市場のポイント「瞬解!3行まとめ」を毎営業日配信!お役立ちマネーコラムも
↓下のボタンからフォローをお願いします

わらしべ瓦版を
Facebookでフォローする

わらしべ瓦版をFacebookでフォローする