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円安を投資チャンスに変える視点とは?為替相場の原理原則を知ろう!

2023/01/06

ふやす

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歴史的な円安になると、「この状況を利用して何とか投資チャンスを見つけられないだろうか?」と考える投資家の方は少なくないと思いますし、その考えは的を射たものと言えるでしょう。

なぜなら、為替水準が大きく変化すれば私たちを取り巻く環境も大きく変化し、環境が大きく変化すれば新たに注目されるモノや企業が生まれやすいからです。

そこで本記事では、「円安とはどのような現象で、どのような要因で起こるのか」といった為替相場の原理原則を解説した上で、円安を投資チャンスに変える視点をご案内します。本記事が投資チャンスを見つけ出すためのヒントにきっとなると思います。

円安とはどんな現象?

円安とはその名の通り「円が安くなること」ですが、ポイントは「何に対して円が安くなるのか?」ということです。皆さまもご存じの通り、円とは日本特有の通貨であるため、円安とはその他の外国通貨に対して円の価値が安くなることを指します。

一般的に、単に円安と呼ぶときは基軸通貨である米ドルに対して安くなることを指しますが、世界には様々な通貨が存在するため、米ドルと円の為替レート(為替相場)が変わらなくても、ユーロや英ポンドなどに対して円安になることもあります。

投資の世界では様々な国の資産を投資対象として戦略を立てることが基本です。一口に円安と言っても、「どの通貨に対して円安なのか」は重要なポイントになることも多いため、意識するとよいと思います。

また、例えば1米ドルが100円から110円へと為替レートが高くなったとき、円安なのか円高なのか混乱してしまうことも多いかと思います。基本的に為替レートは物の値段と同じように外国通貨の値段を表すものなので、米ドル円レートが100円から110円へと上昇したなら、「米ドルの値段が上がった→米ドル高→つまり円安」と考えると間違えを防ぐことができるでしょう。

円安とはどんな現象?

なぜ円安になるの?

円安を投資チャンスとして捉えるためには、初めになぜ円安になるかを把握する必要があります。円安になる理由は様々ですが、ここではその中でも特に大きな要因となり得る2つを挙げて解説したいと思います。

① 外国通貨との金利差

経済用語では“金利平価説”と言います。分かりやすさを重視して説明するなら、「外貨の金利が上がれば、外貨預金をするために円を売って外貨を買う人が出るから、その分円安になる」というロジックです。

もちろん、実際はこれほど単純ではないのですが、円の為替レートの変動は円と外国通貨との金利差の変化で多くが説明できることは事実です。なにを隠そう、2022年に入ってからの急激な円安の主な要因は、日本が政策金利を低水準に維持する方針の中、先進各国が相次いで引き上げ、そのペースを早めていったこと。そして、日本と先進各国の金利差が大きく広がったことであると考えられます。

② モノの値段の差

経済用語では“購買力平価説”と言います。こちらも分かりやすさを重視して説明すると、「日本のモノの値段が上がって外国で買う方が安くつくなら、買い先を日本から外国に切り替えるために、円を売って外貨を買う人が出るから、その分円安になる」というロジックです。

こちらも、値段の動きはモノによって違いますし、買う国を切り替えるのは高いハードルがあるため、理論通りにならないことは多々あります。しかし、日本や外国の物価の変化が為替レートに影響を与えることは確かです。

また、上記のロジックから為替レートそのものもが為替レートに影響を与えることもあります。例えば、日本ではモノの値段が変わらなくても、円安になると米ドルベースでは日本のモノが安く買えるようになり、米ドルを売って円を買う人が増えます。このため、円安が進めば進むほど、逆に円高圧力が働くようになるのです。

2021年末に115円台だった米ドル円レートは日米金利差を主な背景として2022年10月22日には150円台となりました。しかし、その後は円高が進み2022年末には131円台となっています。10月22日以降の円高の要因としては、日銀の為替介入や金融政策の変更、先進各国の政策金利引き上げペースの鈍化に加えて、米ドルベースで日本のモノが割安になったことも挙げられるでしょう。

なぜ円安になるの?

為替市場は株式市場以上に関係者が多い巨大なマーケットであるため、ありとあらゆるニュースが影響を及ぼします。しかし、それらニュースを紐解くと“金利”か“物価”に行きついていることが多く、この2つを押さえているだけで、マーケットへの理解力が格段に上がると考えられます。

円安になるとどんな影響があるの?

さて、だんだんと円安を投資チャンスに変えるための核心に近づいてきました。ここでは、円安になると私たち(日本)を取り巻く環境はどのように変わるのかを考えてみたいと思います。

日本のモノが外国に対し売れやすくなる

基本的には輸出品が売れやすくなると言い換えて問題ありません。モノの円価格を変えない場合、円で売ると外国人にとっては値下げと同じことになります。また、米ドル基準で売ると円換算の売上は上昇します。逆に、外国のモノ(輸入品)は円換算すると値上がりするため、日本では売れにくくなるでしょう。

円安になるとどんな影響があるの?

外国人観光客が増える

円安になると外国人にとっては日本での滞在費用やお土産代が安く済む(両替時に円を多くもらえる)わけですから、観光客が増える傾向にあります。逆に、日本人は海外旅行を控えるようになるため、やはり国内旅行客が増える要因となるでしょう。

財布の紐が締まる

日本は食料品、衣類、エネルギー資源など、生活必需品の多くを輸入に頼っているため、円安になると日本人の財布の紐は締まる傾向にあります。特に、食料品は実感がある方も多いと思いますが、パンや食用油など必ず消費するものは仕方ないとして、ワインなどのお酒は値段が上がっているのを見て「少し控えようかな」と考えてしまうこともあり得るでしょう。

以上、主な環境の変化を挙げてみました。そして、この環境の変化にこそ投資チャンスが眠っていると考えられます。なぜなら、「今まで見向きもされなかったものが注目されるようになる」や「今までデメリットだと思われていたものがメリットと捉えられるようになる」など、投資チャンスとなり得る変化は、環境そのものが変化した時にこそ起こりやすいからです。

円安で売れるモノは?儲かる企業は?

ここまでくれば、後は前述した環境の変化が有利に働くモノや企業を考えるだけで投資チャンスが見えてきます。

例えば、輸出企業は代表例ですが、その中でも日本国内の工場比率が高く、原材料も日本産の比率が高い企業はより円安メリットを享受できるでしょう。

また、外国人観光客に着目するのであれば、ドラッグストアや旅館・ホテルなどは真っ先に思い浮かびますが、もう一歩踏み込んで彼らが日本のどの地域に良く行くのか、あるいはどんなイベントを好むのかを調べてみると新たな投資チャンスを発見できるかもしれません。

そして、日本人の財布の紐が締まるという一見ネガティブな変化にも投資チャンスは眠っています。省エネ家電が多少割高でも売れるようになるだろうというのは、2022年12月に入って電気代の値上がりを痛感していれば納得できると思います。また、家計の足しにするために、家庭菜園などが流行るかもしれません。

このように、表面的なトピックは誰でもすぐに思い浮かぶため、気付いた時にはすでに注目のピークを過ぎてしまっていることも多いのですが、自分なりの視点で掘り下げたトピックであれば、比較的注目度も低く、皆に先んじて投資チャンスをつかむ可能性も高まるでしょう。

円安で売れるモノは?儲かる企業は?

為替相場の見通しは?

今まで円安を投資チャンスに変えるための視点を解説しましたが、そうなると次に気になるのは、今後の為替相場の見通しではないでしょうか?

前述した通り、為替市場は株式市場以上に関係者が多い巨大なマーケットであるため、先行きを見通すのは非常に困難ですが、これも前述した通り、金利と物価が重要なポイントになることは確かです。このため、まずは日本と各国の金融・財政政策に注目し、それぞれの国がどのような方針を示しているのかを知ることが第一歩になると考えます。

例えば、2022年12月20日に日銀は、金融政策決定会合において従来±0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を±0.5%程度に拡大したことを発表しました。これがマーケットでは事実上の利上げと受け止められ、日本(円)の長期金利の急上昇と、急激な円高を引き起こしました。今後についても、他の先進各国が利上げペースを鈍化させる中で、日銀が本格的な利上げに舵を切るのであれば、引き続き円高が大きく進行する可能性は高く、やはり為替相場を見通す上で、各国の政策方針が非常に重要であることがうかがえます。

このように、為替相場の原理原則を知ることは、投資チャンスを見つけ出すだけでなく、自分なりの相場観を持つための大きな助けとなります。円安で家計が厳しくなった方も多いと思われますが、変化にはチャンスが眠っています。そして、努力すればそれを見つける可能性が高まることを知っていただけたら幸いです。

(執筆:1級ファイナンシャル・プランニング技能士 佐藤 啓)

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