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今さら聞けない為替相場とは?通貨交換の仕組みをわかりやすく解説

2024/06/11

知恵のハコ

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近年、米ドルが円に対して上昇トレンドを築き、2024年4月29日にはバブル以来34年ぶりとなる160円台の高値をつけました。歴史的な円安を背景に、輸出産業の業績向上やインバウンド市場の活性化などが日本経済の追い風となる一方、消費者にとっては物価高による生活への悪影響をより直接感じているかもしれません。

世界には様々な通貨が存在するのと合わせ、通貨ごとにレートが存在します。そして、これらのレートは国内外の経済や政治の動向、景気、金利水準、市場の需要と供給、経済指標など、多くの要素によって影響を受け、24時間常に変動しています。
本記事では、私たちの通貨である「円」の為替相場にフォーカスし、基本的な仕組みや取引の実態について解説します。

為替と外国為替市場

為替とは

為替とは米ドルやユーロなどの通貨を連想すると思いますが、実は「現金輸送を伴わない決済サービスのこと」で、現金を直接送付するリスクを避けるための決済方法全般を指します。このため、銀行振り込みや小切手を使った決済も為替であり、これらを「国内為替」と言います。
一方、一般的に連想される為替は、正式には「外国為替」呼ばれ、異なる通貨間で行われる取引を指します。輸入企業の取引を例にとると、輸入商品の代金を米ドルで支払わなければならない場合、円を米ドルに交換する必要があります。その交換時のレートが「為替レート」です。

外国為替市場とは

外国為替は株式と違い、買い手と売り手が直接値段、数量などを決める相対取引(あいたいとりひき)が行われます。その取引を行う場所を総じて「外国為替市場」と呼びます。主な外国為替市場には、金融機関などの限定的な市場参加者が取引する「インターバンク市場(銀行間取引市場)」と、金融機関が輸出入業者や個人を相手に取引する「対顧客市場」があります。

外国為替市場の仕組み

外国為替市場の仕組み

※各種情報をもとにアセットマネジメントOne作成

※上記はイメージであり、すべてを説明したものではありません。

為替レートを決めるクロスレートと通貨表記の仕組みとは

クロスレート

日本で為替取引を行う場合、「米ドル/円」や「ユーロ/円」のように直接円と外国通貨のレートを使っているように見えますが、実は、その裏側では基軸通貨である米ドルを介してレートが算出されています。例えば、ユーロ/円レートは、米ドル/円レートとユーロ/米ドルレートを掛けて計算されます。この2通貨の取引レートを算出する際に用いる別の通貨との取引レートのことをクロスレートと呼びます。

いったいなぜこのような回りくどい計算をするのかというと、クロスレートを用いない場合、膨大な数の為替レートの管理が必要になり、為替市場が複雑になってしまうからです。仮に100通貨のペアを考えた時、全ての取引レートが必要だとすると、「100×99÷2=4,950」種類のレートを管理しなければなりません。しかし、クロスレートを用いれば、米ドルと米ドル以外の通貨ペアの取引レートがあればよいため、99種類の取引レートの管理で済むのです。

通貨表記

通貨ペアについては慣習として並び順が決まっており、「円/米ドル」や「円/ユーロ」とは表記しません。通貨ペアの左は基軸通貨、右は決済通貨と言われ、表記順序は、「ユーロ>英ポンド>豪ドル>ニュージーランドドル>米ドル>カナダドル>スイスフラン>新興国通貨>日本」の順です。この順序は権威性や歴史的背景を元に決定されています。ただし、日本円は例外で円の通貨単位が海外の通貨単位と異なる*ため、順序としては低く設定されています。

*米ドルやユーロなどの主要通貨は小数点以下の有効桁数が2桁(例:1ユーロ=1.12米ドル)ですが、円は0桁(整数)となります。

通貨ペアの並び順

通貨表記

各通貨には世界共通の通貨コードが決められており、為替取引においてはこちらが良く使われるため覚えておくとよいでしょう。例として「ユーロ」はEUR、「円」であればJPYと表記されます。

主な通貨コード

通貨名  通貨コード 通貨名 通貨コード
ユーロ EUR 英ポンド  GBP
豪ドル AUD ニュージーランドドル  NZD 
米ドル  USD カナダドル  CAD 
スイスフラン  CHF 円  JPY

通貨の取引割合や外国為替市場の主な取引時間帯とは

国際決済銀行(BIS)が2022年に公表したデータによると、世界の外国為替取引高は1日当たりの平均が7兆5,000億ドルで、その割合は米ドル(約44%)、ユーロ(約15%)に続き、日本円(約8%)となります。米ドルとユーロは通貨全体の約6割を占め取引量の多い通貨となります。

また、世界の外国為替市場は24時間取引が続く「眠らない市場」とも言われ、地域ごとで活発に取引される時間帯が異なり、補完し合っています。
日本時間の早朝5時、オセアニア市場より取引が始まります。その後、9時に日本市場が開けることで、日本円、オセアニア通貨(豪ドル、ニュージーランドドル等)の取引が多くなります。夕方、17時からは、欧州市場が開き、欧州通貨(ユーロ、英ポンド、スイスフラン等)の市場参加者が増え、最後に22時から米国市場が始まるといった1日のサイクルがあります。

中でも欧州市場と米国市場が重なる、22時~26時頃は市場参加者が増えるのと同時に、世界が注目する要人発言や経済指標もこの時間帯に集中するため、トレンドの発生やレートの振れ幅(ボラティリティ)も高くなる傾向があります。

外国為替市場の取引時間帯(日本時間)

外国為替市場の取引時間帯(日本時間)

※各種情報をもとにアセットマネジメントOne作成

※上記は標準時間。取引時間は目安です。

為替相場によって得する?損する?為替リスクとは

為替リスクとは、為替相場の変動により生じる差益・差損を指します。外国資産への投資は多くの場合、「為替相場」の変動による影響を受けるため、為替リスクについても理解をしておきましょう。

例えば、1米ドル=100円の時に、外貨預金を1米ドル分行ったとします。レートがその後、1米ドル=160円になった場合、外貨預金の1米ドルを日本円に換算すると160円となります。つまり、60円の為替差益が生じることになります。逆に、米ドル/円レートが下がった場合、円換算金額は100円を下回り、為替差損が生じます。

そのため、外国資産に投資を行った場合は投資した原資産の値動きに加え、為替相場の変動も最終的な評価額に影響を及ぼします。外国資産に投資する場合は、為替リスクの存在を認識しておき、原資産の値動きと併せて為替相場も確認しましょう。

また、為替リスクを回避できる方法の一つとして、「為替ヘッジ」があります。これはあらかじめ指定したレートで予約する取引(為替先物予約)を利用する方法です。為替ヘッジについては「為替ヘッジとは?投資信託を選ぶときは「あり」と「なし」のどっちがいい?」で解説しているため、ぜひご参考下さい。

為替手数料とは

外貨の両替や外貨預金、外貨建て金融商品の購入を行う際は「為替手数料」が発生します。為替手数料は、為替取引時に金融機関へ支払う手数料のことです。

手数料のイメージ

手数料のイメージ

※各種情報をもとにアセットマネジメントOne作成

上の図が為替取引時に手数料が発生するイメージです。
金融機関は外国為替取引をする際の基準となるレートである「仲値(なかね)」を決めています。その仲値を基準として、両替時の手数料を上乗せ、あるいは差し引いたレートで顧客と取引を行います。

  • 円から外貨への両替時(外貨の購入):金融機関は仲値に手数料を上乗せしたレート(TTS)で顧客に外貨を売ります。 TTS:Telegraphic Transfer Selling rate
  • 外貨から円への両替時(外貨の売却):金融機関は仲値から手数料を差し引いたレート(TTB)で顧客から外貨を買います。 TTB:Telegraphic Transfer Buying rate

またTTSとTTBの開きをスプレッドといい、スプレッドの比率が大きいほど取引コストが高いことを意味します。スプレッドの開きは金融機関や外貨の種類により異なるため、事前に確認することが重要です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。私たちが寝ている間にも外国為替市場は24時間動き続けています。
世界中の多様な通貨は米ドルを基準としたクロスレートの仕組みがあるからこそ、合理的に管理することができ、そのルールを知っていれば基軸通貨の役割も理解できます。
手数料や為替リスクなども含め、為替相場の知識を正確に理解することは海外旅行だけでなく投資にも大きく役立ちそうです。外国為替市場は非常に巨大なマーケットであるため、予測や分析が難しいですが、基本的な仕組みを理解することが大きな第一歩になるでしょう。
いまや、投資信託を通じて外国の資産に投資することが一般的となりつつある中、本記事が「為替」の理解を深め投資の成功に役立てられることを願っています。

為替介入とは?過去事例を振り返りながら分かりやすく解説

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