Produced by
アセットマネジメントOne株式会社

わらしべ瓦版わらしべ瓦版

おカネの健康を考えるウェブマガジン

アセットマネジメントOne

ドバイってどんな国?~石油に頼らない経済発展と都市づくり~

2023/08/04

知恵のハコ

アセットマネジメントOneのfacebook

アセットマネジメントOneのfacebook

皆さんはドバイについてどのようなイメージをお持ちでしょうか。中東に位置していることから、潤沢なオイルマネーで経済発展を遂げている都市というイメージをお持ちの方も少なくないと思います。でも実は、ドバイが産出する石油は多くないため、逆に石油に頼らない街づくりを行ってきたことで、世界中から人々を惹きつける魅力ある大都市に成長しています。本記事では、そんな目覚しい経済成長を遂げ「中東のシンガポール」とも呼ばれるようになったドバイについて紹介していきます。

ドバイの基本情報

ドバイは正式名称をドバイ首長国と言います。アラブ首長国連邦(UAE)を構成する7つの首長国のひとつであり、国と言っても独立国家ではありません。ドバイは中東のアラビア半島の突き出した部分にあります。UAEについてはペルシャ湾の南側に位置し、サウジアラビアやオマーンに国境を接している国で、国土は約8万3,600平方キロメートルと北海道とほぼ同じ面積です。ドバイは3,885平方キロメートルで埼玉県と同程度の面積を有しています。しかしながら、ドバイはそのほとんどが砂漠であり、市街地エリアは更に小さく1/10程度しかないと言われています。
面積ではUAEの1/20以下ですが、人口についてはUAE全体で約1,000万人(2023年推計)に対して、ドバイは2021年時点で約350万人と、UAE全体の約1/3の人口がドバイに集中している状況です。また、2009年にドバイの人口が177万人であったことを考えると、この12年で倍増していることを示しています。この背景等については、後ほど確認していきたいと思います。
UAEの国旗は、聖戦によって流された血と犠牲を示す“赤”、豊かな国土を示す“緑”、清らかな生活を示す“白”、過去の抑圧や石油資源を示すという“黒”の4色旗です。 UAEを構成する各首長国にも独自の旗があり、ドバイはこの4色から赤と白が用いられています。

ドバイの基本情報

国名 ドバイ首長国(UAEの構成国)
面積 3,885平方キロメートル(埼玉県と同程度)
人口 約347万人(2021年)
首都 ドバイ市
言語 アラビア語、英語
宗教 イスラム教
通貨 ディルハム

ドバイの人口と経済発展

ドバイの人口はこの12年で倍増し、UAE全体の1/3を占める状況です。しかしながら、人口構成をみると、ドバイ統計センターの公表しているデータによれば、UAE国民が約28万人に対して外国人が約320万人居住しているとのことです。インド、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン等の近隣国から外国人が多く流入しており、これがドバイの人口増加を支えていると推測できます。ドバイの経済発展と共に外国企業がドバイに進出し、更に経済の活性化が進むに連れて海外の労働者が大量にドバイに流入するという状況ですが、こうした好循環はどのような背景から生じているのでしょうか。
冒頭でもご案内の通り、ドバイは中東にあることから、溢れるオイルマネーが経済発展を支えていると考えている人も少なくないかもしれません。ドバイは1960年代までは砂漠の貧しい漁村として、アラビア湾でとれる真珠を売りながら最低限の生活をしていました。その後1966年にドバイ沖で石油が発見されることになりますが、ドバイの石油埋蔵量は少なく、当時の首長は将来の枯渇を想定して、石油から得られた収益を元手に様々なインフラ整備を進めることにしました。特に、①空の交通、②海の交通、③自由貿易地域、を整備したことが、現在のドバイ発展の礎として大きな影響を与えたと言われています。
まず、空の交通というのは、1985年のエミレーツ航空の設立とその拠点となるドバイ国際空港の整備です。ドバイ国際空港は中東の玄関口というだけでなく、現在ではアジア、オセアニアとヨーロッパを繋ぐ世界最大規模のハブ空港として利用されています。国際空港評議会によれば、2022年の国際線の利用者数は約6,600万人と、現在まで9年連続で世界の空港利用者ランキング首位を維持しています。
また、ドバイは港湾についても積極的なインフラ整備を進めてきました。1970年代にはラシード港を整備、1980年代にはジュベル・アリ港を建設しています。ジュベル・アリ港は人工の港として世界最大級で、中東地域の貿易拠点として発展し、2020年時点ではコンテナ取扱量で世界11位を誇っています。

ドバイの人口と経済発展

こうした空と海の交通整備に加えて、自由貿易地域の設定により多数の外国企業を呼び込めたものと考えられています。自由貿易地域では、100%外国資本の企業を承認していることや、法人税・所得税・輸入・輸出に関する免税、資本や利益の本国送金の自由、外国人労働者の雇用自由、など多くのインセンティブがあったことから、外国企業誘致の拠点としてドバイの経済発展を牽引してきました。 2021年時点でドバイの国内総生産(GDP)における主な産業は「卸・小売・貿易・修理」が26.3%、「金融・保険」が11.8%「運輸・倉庫」9.6%、と続いており、「鉱業(石油・天然ガス等)」の比率は僅か2.3%に過ぎません。 石油があることに甘んじることなく、積極的なインフラ整備を通じてビジネス環境や観光資源等を整えてきた結果、世界中から企業や人材を惹きつける魅力ある場所になったものと考えられます。

ドバイの人口と経済発展2

ドバイの観光資源と魅力

前述の通り、現在では商業や観光業等もドバイ経済の主要な柱です。世界中から観光客を引き寄せるための豪華なホテル、リゾート、ショッピングモール、テーマパークなどの施設が充実しています。その代表的な建物が2010年に開業したブルジュ・ハリファで、828メートルの高さを誇り世界最高層の超高層ビルです。ブルジュ・ハリファは主にオフィス、ホテル、住居から構成されており、124階と148階には展望台も用意されています。展望台からは世界有数の超高層ビルが立ち並ぶ都市景観や砂漠の美しい風景など、ドバイの壮大な景色を一望することができるとのことです。また、ドバイは多くの人工島を造成しており、ヤシの木の形をした巨大なパーム・ジュメイラや、世界地図を模したザ・ワールドなどが有名です。特にパーム・ジュメイラは高級住宅地やリゾート、ショッピングエリアなどが整備されており人気の観光スポットになっています。
このように、ドバイは先進的な都市である一方で、アラブの伝統と文化も重要に扱われています。ドバイ博物館やジュメイラ・モスクなどの文化施設、歴史的建造物を保護しているバスタキヤ地区などでは、アラブの歴史や生活様式に触れることができます。また、ドバイを囲む砂漠自体も観光資源として活用されており、サファリツアーやバギーアドベンチャー、ラクダに乗ったキャメルトレッキングなど、気軽に体験できる砂漠の冒険も魅力の一つです。

ドバイの観光資源と魅力

日本からドバイまでは直行便で10~11時間程度と、決して近い場所とは言えませんが、現時点では既にコロナウィルスに関するワクチン接種証明や陰性証明等の提示は不要となり、また日本のパスポートを有していれば、到着時に自動で30日間の観光ビザを取得できることから特段の事前準備等は不要です。ドバイはイスラム教の国であり、お酒は戒律で禁止されていますが、一部のホテルやレストランではお酒の提供もあり、またホテルの室内などプライベートな空間では飲酒も可能です。外国人観光客の獲得やビジネスの拠点として国際的な競争力を高める目的から、イスラム教圏としては比較的寛容な政策を採っていることも、日本から訪問しやすいと言えるのではないでしょうか。
今回、ドバイについてご紹介させて頂いたのは、自身にとっても今後訪れてみたい先として魅力ある場所と感じていたからです。皆さんも次のご旅行は思い切ってドバイまで飛び、その先進来な街並みと異文化の融合を体験してみてはいかがでしょうか。

■各国の歴史や経済事情を知ろう!

【Facebook】
米国株市場のポイント「瞬解!3行まとめ」を毎営業日配信!お役立ちマネーコラムも
↓下のボタンからフォローをお願いします

わらしべ瓦版を
Facebookでフォローする

わらしべ瓦版をFacebookでフォローする