異国情緒と活気にあふれるトルコ
2019/11/06
イスタンブールの朝は、街に響くアザーンと呼ばれる祈祷の音で始まります。
スピーカーから大音量で流れるこの声で目が覚めた旅人は、このとき異国の地に来たことを実感するでしょう。
東西文明の十字路として発展してきたトルコ。いにしえから多くの人が激しく行き交ってきたこの地では、さまざまな民族や宗教などが影響しあって、多彩な文化が育まれてきました。かのナポレオンは「もし世界がひとつの国であったなら、その首都はイスタンブールである」と言ったそうです。今も昔も人々を魅了してやまないトルコには、毎年多くの観光客が訪れ、2018年の外国人訪問者数では世界で6位となりました。
出所:日本政府観光局のデータをもとにアセットマネジメントOne作成
トルコの見どころ
日本の約2倍の国土を持つトルコは、黒海やエーゲ海に接する南側は温暖な地中海気候、東側は寒暖が激しく乾燥した内陸性気候で、地域によってそれぞれ表情が異なります。トルコは長距離バスが国中を網羅していて、サービスも充実しています。
ブルーモスク(スルタンアフメットモスク) |
ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群 |
ワン湖 |
セマー(メヴラーナ旋回舞踊) |
世界3大料理のひとつ
フランス料理、中華料理と並んで世界3大料理のひとつに数えられるトルコ料理。日本人にはそこまで馴染みのないトルコ料理が、なぜ世界3大料理なのか不思議に思う方もいるでしょう。
トルコ料理は、かつて巨大だったオスマン帝国時代にさまざまな国から集まった料理人たちが、宮廷でその腕を競い合い、各地の食材や食文化が融合したことで洗練されていきました。つまり、フランス料理や中華料理と同様、宮廷料理だったことに始まっています。
トルコはとても食材が豊か。そして、食料自給率が100%を超える国でもあるのです。
急成長を遂げた経済
トルコの経済をみてみましょう。
2016年のGDP総額ランキングでは世界17位、日本と比較すると約1/6弱です。
【2016年のGDP総額ランキング】 |
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(単位:10億ドル) |
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順位 | 国名 | 実質GDP総額 |
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1 | 米国 | 18,707.15 |
2 | 中国 | 11,221.84 |
3 | 日本 | 4,926.67 |
4 | ドイツ | 3,496.61 |
5 | 英国 | 2,669.11 |
6 | フランス | 2,466.15 |
7 | インド | 2,289.75 |
8 | イタリア | 1,869.97 |
9 | ブラジル | 1,795.60 |
10 | カナダ | 1,530.27 |
11 | 韓国 | 1,414.80 |
12 | ロシア | 1,282.66 |
13 | オーストラリア | 1,267.85 |
14 | スペイン | 1,238.01 |
15 | メキシコ | 1,077.83 |
16 | インドネシア | 932.066 |
17 | トルコ | 863.39 |
18 | オランダ | 783.852 |
19 | スイス | 670.247 |
20 | サウジアラビア | 644.936 |
出所:「International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, April 2019」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成
第一次世界大戦後にオスマン帝国が崩壊し、1923年に成立したトルコ共和国は、ケマル・アタテュルクが初代大統領として就任し、さまざまな近代化政策が進められてきました。現在流通している通貨の名称が「トルコリラ」と呼ばれるようになったのもこのときからです。近年はEU加盟交渉を行ってきましたが、現在は情勢の変化により交渉を停止しています。
トルコは以前からたびたび財政不安に直面してきましたが、2001年の通貨危機後、当時大統領だったセゼル大統領のもとIMFの支援を受け行われた構造改革で財政が健全化され、2002年以降は驚くほど堅調な経済成長を遂げてきました。またトルコにはほかの国と異なる特徴があります。約8,200万人の人口を有するトルコにおける平均年齢は約32歳という若い人口構成であり、所得水準が向上してきたことで個人消費が拡大しています。
2023年には建国100年を迎え、「ビジョン2023」という長期経済計画が進行しています。今後も情勢によって揺れることが予想されるものの、若くて豊富な労働力や、各地をつなぐ要衝としての地理的な優位性などが強みとなっています。
※2018年以降は予測です
出所:「International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, April 2019」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成
ヘーゼルナッツは世界一位の生産量
トルコにはどんな産業があるのでしょうか?
旅行先としての人気が高く、観光業は最も主要な産業ですが、そのほかについてはあまり知られていないのではないでしょうか。
トルコは古くから農業国で、かつては基幹産業でした。1960年代以降の経済発展に伴って、現在では自動車製造をはじめとする工業が中心となりましたが、現在も農業は主要な産業に変わりはなく、国民の約1/3が農業に従事しています。ヘーゼルナッツやいちじくは世界第1位の生産量を占めているほか、パスタの主要生産国でもあり、日本が輸入しているパスタはイタリア産に次いで第2位となっています。 |
現在最も力を入れているのが自動車産業です。生産する車両のほとんどが欧州を主とする輸出向けとなっています。近年では多くの外資系企業がトルコに進出し、輸出販売の生産の拠点ともなっています。経済成長に伴う内需の拡大とともに、今後も成長が期待される産業といえます。 |
日本とトルコの絆
直行便で約12時間かかる距離に位置するにもかかわらず、親日国として知られるトルコ。
1890年にトルコの使節団が軍艦エルトゥールル号で来日し、約3か月間の滞在のあとの帰還の際、和歌山県沖で沈没し、日本人が乗組員の救助にあたったことが友好の原点となったことは有名です。
初代大統領だったケマル・アタテュルクは、日本の明治維新をモデルにして近代化を進めたと言われていて、建国の翌年(1924年)には日本と国交を樹立しました。
2013年には、日本の建築技術の貢献により、アジアとヨーロッパをつなぐボスポラス海峡横断鉄道トンネルが開通しました。それまで海峡を渡るには、渋滞する橋を1-2時間かけて渡るかフェリーで海上を渡るしかなく、慢性的な渋滞とそれに伴う大気汚染が深刻化していたのが、わずか4分で横断できるようになりました。「トルコ国民150年の夢」と呼ばれた長年のトンネル構想の実現は、日本とトルコの絆をさらに深いものとしました。
2019年は「日本におけるトルコ年」と両国で宣言され、友好と文化交流を目的として日本でさまざまな文化事業が開催されてきました。 今後もさらに交流を深めていくことで、両国の発展につなげていけることを筆者は願っています。
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トルコが誇るB級グルメ「サバサンド(バルック・エクメーイ)」。焼きたてのサバを野菜と一緒にパンに挟み、塩とたっぷりのレモン汁で味付けします。
トルコ版ピザ「ピデ」。特に東部で食べられています。細長い舟形のピデはロカンタ(大衆食堂)でも食べられます。
トルコの蒸留酒「ラク」。無色透明ですが水を入れると乳白色に白濁する強いお酒です。トルコ料理とよく合います。
日本でも有名な伸び~るアイス「ドンドルマ」。材料に使うラン科の球根のデンプンで伸びるそうです。
トルコが誇るB級グルメ「サバサンド(バルック・エクメーイ)」。焼きたてのサバを野菜と一緒にパンに挟み、塩とたっぷりのレモン汁で味付けします。
トルコ版ピザ「ピデ」。特に東部で食べられています。細長い舟形のピデはロカンタ(大衆食堂)でも食べられます。
トルコの蒸留酒「ラク」。無色透明ですが水を入れると乳白色に白濁する強いお酒です。トルコ料理とよく合います。
日本でも有名な伸び~るアイス「ドンドルマ」。材料に使うラン科の球根のデンプンで伸びるそうです。
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