「カントリーリスクとは?」をゼロから解説…意外と知らない投資の基礎知識
2022/01/26

世界の国々からは様々なニュースが飛び込んできます。昨年(2021年)はミャンマーでの国軍によるクーデターのニュースに衝撃を受けた方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。また、地球温暖化の影響からか大規模な自然災害のニュースもたくさん流れてきます。こうした出来事は投資の世界にも影響をおよぼします。本記事では、このような国・地域の様々なリスクがマーケットに影響を与える「カントリーリスク」について解説していきます。
カントリーリスクとは?
カントリーリスクとは、投資する国・地域の政治、経済、社会情勢などの変化に起因するリスクのことを言います。
<カントリーリスクの例>
政治リスク:革命、政権交代による制度・規制や政策の変更など
経済リスク:急激なインフレ、通貨の急落、国債の債務不履行など
社会情勢リスク:テロ行為、紛争、内乱、経済制裁など
自然災害リスク:地震、台風、洪水など
一般的に政治情勢や経済基盤の不安定さから、新興国のカントリーリスクは先進国と比べて高いとされています。新興国への投資は高い経済成長や高金利が期待される反面、こうしたリスクが伴うことは知っておくべきでしょう。
なお、各国のカントリーリスクについては日本政府100%出資の日本貿易保険(NEXI)が作成する「カントリーリスクマップ」が参考になります。こちらはOECDカントリーリスク専門家会合において決定される評価を元にカントリーリスクに応じてランク分けし、作成されたものです。ただし、あくまで投資におけるカントリーリスクではなく、海外取引におけるものであることには留意してください。
<近年表面化したカントリーリスクの例>
2019年:香港 中国本土への容疑者移送を可能とする「逃亡犯条例」改正案への反発による大規模デモ
2021年:トルコ 政治・政情不安によるトルコリラの下落
2021年:ミャンマー 国軍によるクーデター
その他、中国とアメリカの経済摩擦では両国と貿易関係が深い国々までも影響を受けています。また、コロナ禍では半導体不足やエネルギー価格高騰などの影響を強く受けやすい国々などのリスクが表面化しました。直近では、ロシアがウクライナを侵攻する可能性など、世界には様々なカントリーリスクが潜んでいます。
日本のカントリーリスク
政治、経済においては欧州諸国なみに安定している日本ですが、地震、津波、台風、洪水などの自然災害のリスクは高い地域となります。東日本大震災では原発の事故によるリスクも世界的に意識されました。また、世界に先駆けた少子高齢化社会であることや、中国や朝鮮半島など周辺諸国との関係も注視されています。
円建ての資産のみに投資すれば為替リスクを避けることはできますが、一方で日本のカントリーリスクを大きく負うことになります。こうした点を踏まえた上で、外貨建て資産への投資も検討するとよいでしょう。
投資信託におけるカントリーリスク
運用会社が、カントリーリスクの重要度が特に高いと判断した投資信託については、目論見書やマンスリーレポート等の「投資リスク」のページに基準価額の変動要因としてカントリーリスクが記載されています。
<カントリーリスクの表記例(当社投資信託の目論見書より抜粋)>↓
前述したとおり、新興国は相対的にカントリーリスクが高いため、基本的に新興国に投資する投資信託の場合はカントリーリスクが記載されています。原則としてカントリーリスクのない投資信託は存在しませんが、記載されている場合は特に注意する必要があると覚えておきましょう。
投資において、「どの国・地域に投資するか」はリターンを大きく左右すると同時に、投資資産のリスク特性も決定する非常に重要な判断といえます。このため、カントリーリスクについても理解した上で投資判断を行うことが大切です。投資信託は複数の国・地域に投資する商品も多く、少額から様々な国・地域への分散投資が可能です。カントリーリスクの分散を行うためのツールとして、投資信託を活用してみてはいかがでしょうか。
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