ケイマン諸島ってどんなところ?投資信託でよく見る「ケイマン籍」ってなに?
2021/01/08
皆さまはケイマン諸島をご存じですか?
世界地図を広げても点のようにしか見えないカリブ海西部に浮かぶ3つの小さな島からなるのがケイマン諸島です。現在はイギリス領であるこの島、実は投資信託ともなじみがあります。投資信託に投資経験があるなら、レポート等で「ケイマン籍外国投資信託を投資対象とする」といった記載を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんなケイマン諸島を「海外リゾート地」と「租税回避地」という2つの面からご紹介したいと思います。
観光と金融2つの顔を持つケイマン諸島
ケイマン諸島は、主力産業が観光業と金融サービス業。米国を中心とした多数の観光・商用目的の訪問客が訪れ、カリブ海地域において人気の高いリゾート地です。首都ジョージタウンは、客船が出入りする港湾の風景と、アメリカとの時差が少ないことから金融機関、会計士事務所、法律事務所も多数あり、ビジネスの活気と共存しています。また、絶滅危惧種のイグアナなど多様な野生生物が生息していることで有名です。
1503年にコロンブスの4回目の航海で発見され、ロバート・L・スティーブンソン著の海洋冒険小説「宝島」のモデルにもなったと言われています。島名は、先住民の言葉でクロコダイルという意味のケイマナスを語源とし、1961年まではジャマイカに属していましたが、ジャマイカがイギリスから独立した後にイギリス領となりました。
出所:国際連合統計部のデータを基にアセットマネジメントOne作成
海外リゾート地としての一面
リゾート地として、以下のようなたくさんの魅力がケイマン諸島にはあります。
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暖かい熱帯性気候で、平均気温は27℃
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スキューバダイビング、シュノーケリング等のビーチリゾートスポットや深海釣りツアーの人気拠点
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美しいサンゴ礁、絶滅危惧種のイグアナから赤足カツオドリなどの海鳥まで多様な野生生物が生息し、美しい自然に恵まれています。
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植物園などの観光スポットも多く、きれいなホテルやレストランも充実していることから、観光客の4割ほどがリピーターともいわれています。
租税回避地としての一面
そして、ケイマン諸島には金融サービス業である租税回避地としての一面もあります。
一定の課税の軽減や免除される国・地域のことを租税回避地(タックスヘイブン)といい、代表的な国としてはケイマン諸島のほかに、ヴァージン諸島といったカリブ海の島国や、ルクセンブルクなどが挙げられます。ケイマン諸島の税収入の大半は不動産登録税、輸入関税です。こうした背景から、租税回避を主な目的として、登記上はケイマン籍である企業やケイマン籍ファンドも多く、そのような企業・ファンドに投資信託が投資している場合、レポートなどに投資国として「ケイマン」が記載されることがあります。
しかし、この税制優遇制度は、国際社会から「不透明なお金の流れ」を助長しているという指摘を受け、OECD(経済協力開発機構)は2000年から調査を開始し、海外の金融機関を利用した脱税や租税回避を防ぐ目的で国際基準としてCRS(Common Reporting Standard:共通報告基準)を策定しました。CRSは、各国の税務当局が自国の金融機関から非居住者の口座情報を受理し、非居住者の居住する国の税務当局と情報を電子データ等で自動的に交換し合う仕組みで、2020年9月末時点で100以上の国・地域が参加し、4,200以上の二国間協定が締結されています。日本では2017年に施行、2018年から適用を開始し、ケイマン諸島とは2011年に”日・ケイマン租税協定“も発効しています。
さらに、2020年12月にイギリス政府は、英国海外領土の法人の実質所有者を開示することを義務付ける法案を発表したことで、ケイマン諸島はOECD発表のブラックリストから除外されました。
以上のように、租税回避地であっても、課税逃れができるわけではなく、最終投資家の拠点において必ず課税が発生するのです。
以前は租税回避地としてグレーな印象をお持ちであった方も、エメラルドグリーンに輝く海に囲まれたケイマン諸島に訪れてみたくなったのではないでしょうか。治安が良く、インフラも整備されているリゾートアイランドへ是非!
出所:ケイマン諸島観光局HPの情報、OECD、外務省、国税庁、などのデータを基にアセットマネジメントOne作成
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