投資もインターネットの時代!?データで見るみんなの活用状況
2021/11/12

2020年2月のいわゆるコロナ・ショックから1年9カ月(2021年11月時点)が経過しました。足もと日本では感染拡大に落ち着きが見られますが、自粛生活が強いられるなか、インターネットを利用したオンラインショッピングやテレワーク、動画配信サービスの視聴などが一段と促進されました。証券投資の分野でもデジタル化が進み、インターネットを利用した投資が急速に広まっています。人々の生活パターンが大きく変化する中で、こうした動きがデータにも表れています。そこで、本記事では投資におけるインターネットの利用状況などを確認し、その変化について考察してみたいと思います。
日本のインターネット利用者の割合は?
様々なデータを見ると、日本においてインターネットは既に企業活動や個人の社会生活に深く根付いていることがわかります。総務省の通信動向利用調査によれば、インターネット利用者の割合は2013年から2018年にかけておおむね80%台前半で横ばいとなっていましたが、2019年には大きく増加し90%に迫っています。通信インフラが高速・大容量化し、スマートフォンによる利用やデジタル化の進展などが利用者の増加の要因となったと考えられます。
※期間:2010年~2019年(年次)
出所:総務省の資料をもとにアセットマネジメントOne作成
電子商取引(EC)の市場規模は今後も拡大
経済産業省の電子商取引に関する市場調査によれば、日本の2020年のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は19.3兆円と前年比でおおむね横ばいとなりました。内訳をみると、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されたなか、政府から外出自粛などが求められ、ECの利用が推奨されたことを背景に、生活家電やAV機器、書籍や映像・音楽ソフトなど物販系分野の市場規模が大きく拡大しました。同年の物販系のEC化率は8.08%(前年比+1.32%)と、過去5年でみて大きな上昇率を示しています。旅行サービスなどが大きな割合を占めていたサービス系分野の市場規模が大きく縮小しましたが、物販系分野とオンラインゲームが大きな割合を占めるデジタル系分野の市場規模拡大がそれを相殺しました。EC市場は世界規模で拡大し、EC化率は2022年には20%を超えると予測されています。
※期間:2016年~2020年(年次)
出所:経済産業省の資料をもとにアセットマネジメントOne作成
インターネットを利用した投資も拡大傾向に
次に証券投資の分野でのインターネットの活用状況をみていきます。日本証券業協会のインターネットに関する調査によると、2021年3月時点でのインターネット取引の口座数は約3,347万口座と2020年3月時点の口座数(約2,958万口座)と比べ13.2%増加しています。この増加率は過去5年のなかで最大となりました。行動様式が変化するなかで個人投資家が利便性の高いインターネットを活用する状況が進んでいるとみられます。
※期間:2012年度~2021年度(年度)
出所:一般社団法人日本証券業協会の資料をもとにアセットマネジメントOne作成
取引口座が増加した背景には、手続きが簡便なことや手数料率が相対的に低いということが理由として考えられます。これらが投資の喚起につながったとみられ、2020年度の国内投資信託の募集の取扱高は3兆4,158億円と2019年度の1兆9,939億円と比較して71%の増加となりました。
※期間:2012年度~2020年度(年度)
出所:一般社団法人日本証券業協会の資料をもとにアセットマネジメントOne作成
投資について「自分で調べる人」が増加
投資信託協会のアンケート調査によると、投資信託に興味・関心を持ち、または購入するきっかけになったものとして、金融機関からの勧誘をあげる人の比率が低下する一方で、インターネットや投資信託の本をあげる人の比率が上昇しています。こういったことからもインターネットというツールが人々の投資の手段のなかで影響を強めていることがわかります。
※期間:2018年~2020年(年次)
出所:一般社団法人投資信託協会の資料をもとにアセットマネジメントOne作成
インターネット取引による2020年度の国内投資信託の募集の年代別取扱高では、50才代が23.1%、60才代が19.3%、70才以上が13.2%と50才代以上の合計が過半数を占める状況となっています。
資産形成層を中心にリスクを取って将来に備える傾向
新型コロナウイルスの感染拡大以降、インターネットを利用した投資信託などへの投資が進んでいることなどをいくつかのデータで示してきましたが、現状はオンラインを介したリモート取引増加という事象にとどまっているのではないかと思います。今後はDX(デジタルトランスフォーメーション)と言われるデジタルの技術が創出するビジネスモデルによる新サービスの普及に伴う投資の市場拡大が期待されます。特に若年層では、豊かな余暇や老後の生活資金を賄うために金融資産にも働いてもらいたいという資産運用ニーズが一段と高まる状況になっています。金融広報中央委員会の調査では、40才代以下の元本割れリスクの高い金融商品の保有に対する姿勢は相対的に強い状況にあることを示しています。
【元本割れの可能性があるが、収益性の高いとみられる金融商品の保有についての回答】
(単位:%) | |||||
20才代 | 30才代 | 40才代 | 50才代 | 60才代 | |
---|---|---|---|---|---|
積極的に保有したい | 15.0 | 13.9 | 16.1 | 9.9 | 8.1 |
一部保有したい | 34.1 | 35.4 | 33.4 | 28.1 | 28.9 |
まったく保有したくない | 50.9 | 50.7 | 50.5 | 62.0 | 63.0 |
※2020年調査
出所:金融広報中央委員会の資料をもとにアセットマネジメントOne作成
欧米などに比べ不十分であると言われる日本の金融リテラシーについては、その環境が今後整備される可能性もあります。ロボアドバイザーなど様々なツールでの情報入手への関心も高いことなどから、資産運用支援サービスの充実など官民から幅広い支援策の実現が待たれる状況です。こうした背景の中で、新しい資産運用の制度やツールを積極的に活用することが、これからの時代の新常識となるかもしれません。
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