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進化待ったなし!?物流業界の動向にフォーカス!

2020/12/11

知恵のハコ

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モノの流れを表す物流。モノを運ぶ手段は長い年月をかけて進化してきました。最初は人力で運んでいたものを馬や牛を使って運ぶようになり、やがて、船→鉄道→自動車→飛行機へと手段を変えてより多くのものを早く運べるようになりました。物流が進化したことにより世界経済は大きな発展を遂げました。今回は、そんな物流業界の過去から現在までの動向を紹介します。

20世紀の大発明!?世界経済を変えたコンテナという箱

物流業界で大発明といえば、「コンテナ」です。コンテナと聞くと「ただの箱でしょ?」と思う人がほとんどだと思います。ですが、コンテナという規格化された箱の発明により大量の物を安価かつ安全に輸送することが可能になりました。コンテナ発明以前の荷役は業者がサイズ・規格がバラバラな貨物を積み下ろしており非常に効率が悪く、多大な人件費と時間がかかることが問題となっていました。しかし、コンテナの発明により荷役コストは約40分の1まで削減され、船による海上輸送と鉄道やトラックによる陸上輸送との連携をスムーズにし、生産から消費をシームレスにつなぐ一貫輸送が可能となりました。こうして、貨物を安全、安価、そして効率的に輸送できるようになったことで、世界の製造業や小売業のサプライチェーンはグローバル展開していきました。その結果、世界の貿易量が飛躍的に増加し経済が大きく成長しました。このように、物流は経済を大きく成長させるポテンシャルを持っています。そんな物流業界に今、新たな進化が起ころうとしています。

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問題を抱えている現在の物流業界の動向

まずは現在の物流事情をみてみましょう。近年のネットショッピングなどEC(電子商取引)の増加に伴い、配送の小口化・多頻度化が進み、配送効率が年々悪化しているという問題が指摘されています。実際に2000年初頭には約50%あった配送トラックの積載率が2018年には約40%まで低下しています。さらに今年の新型コロナウイルスによる「巣ごもり消費」の拡大がこの傾向を強めたことは想像に難くありません。また、トラックドライバーの人員不足も深刻で、2018年の国土交通省の調査によると約70%の企業が「不足」または「やや不足」と回答しています。これらの状況を打破するために政府や企業はさまざまな対策を講じています。以下では政府と企業それぞれのアプローチを紹介します。

非効率な配送×辞任人員不足

  • 【政府のアプローチ】

    政府の物流に対する代表的な取り組みとして、2016年10月に施行された「物流総合効率化法」が挙げられます。この法律は物流業務の効率化と輸送網の集約を目指して、2以上の者が連携して、流通業務の総合化および効率化を図る事業で、環境負荷の低減および省力化に資する事業に対して支援を行うものです。具体的には以下のような事業に対して支援が行われるとされています。

    キーワード事業内容
    輸送網の集約 製品保管や流通加工、荷捌きなど流通業務における全ての機能を有した「輸送連携型倉庫」の設立
    輸配送の共同化 高い積載率を目指した一括納品を実現するための大型共同倉庫の設立
    モーダルシフト 鉄道や船舶など、複数の手段を用いた一度での大量輸送

    これらの事業を実施する際には、経費補助や特例となる税制度、立地規制に関する配慮などに関して、政府からの補助を受けることができます。

  • 【企業のアプローチ】

    企業側のアプローチとしては、ドローンを使った配達や自動運転技術を活用したトラック隊列走行、ラストワンマイルにおける配送ロボットによる無人配送などテクノロジーを駆使してさまざまな角度から課題解決を図っています。これらは物流手段をテクノロジーの力で進化させるものですが、物流の体制そのものを改革するサービスがいま注目を集めています。例えば、荷主とドライバーを繋げるマッチングサービス。従来の物流業界では、運送会社が別の運送会社に業務を依頼し、その運送会社がまた個人ドライバーに依頼をするという多重下請け構造になっており、かねてから問題視されていました。そこで登場したのがフリーランスドライバーと荷主を即時につなぐ配送マッチングプラットフォームです。このサービスにより荷主とドライバーが直接繋がるので下請け構造が生み出していた効率の悪さやマージンの中抜きなどといった課題が解消されることが期待されています。また、副業やギグワーク(単発雇用サービス)が拡大している現在の潮流ともマッチングしているサービスといえます。
    *ラストワンマイルとは、商品が最寄りの配送センターから顧客への配達地点まで移動する道のりのことをいいます。

    以前から物流業界では改革が起ころうとしていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大がそれを後押ししています。例えば、移動制限により乗車率の落ちた新幹線を利用した物流サービスが発表されました。このサービスは地域の魅力ある食材や地産品などをスピーディーに届けることを可能にします。今後のサービスの展開次第では、朝一で採れた地域の旬の食材を自宅で食べることができるようになるかもしれません。また、新型コロナウイルスにより非体面型のサービスに注目が集まっており、置き配サービスが広がっています。置き配とは、あらかじめ指定した場所に非対面で荷物などが届けられるサービスです。今は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐという観点で期待されていますが、置き配サービスが広がることで2020年4月時点には8.5%だった再配達率をさらに引き下げることが期待されます。

このように、政府と企業が物流の手段と体制を最適化することによって「非効率な配送」と「人手不足」という課題を解決しようとしています。

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経済の未来は物流の進化にかかっている!

過去には非効率で人手不足という問題点を抱えていた物流業界でしたが、コンテナの発明により急速に改善されました。その結果、経済活動も活発になり人々の生活は豊かになりました。そして現在、物流業界は再び問題に直面しています。EC需要の高まりにより今後さらに荷物量が増えるのは明らかです。そのため物流の効率化や物流人材の確保は喫緊の課題といえます。これらの問題は簡単には解決できませんが、そういうところにこそビジネスや投資チャンスが眠っているものです。この記事をきっかけに物流業界とその動向に興味を持っていただければ幸いです。

出所:国土交通省および各種資料をもとにアセットマネジメントOne作成

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