
2025年の国内株式市場振り返り
2025年の国内株式市場は、年間を通じて株価が上昇するという結果となり、概ね想定通りの着地でした。しかし、その過程においては、予想外の展開が多く見られました。
年初時点では、増益が期待される企業ファンダメンタルズや過去最大規模が見込まれる自社株買いを背景に、良好な需給環境が市場を支えると予測していました。しかし実際には、企業業績の伸びが予想を下回る結果となりました。特に、米国の関税政策が国内企業の成長を抑制した点は想定外でした。
一方で、需給環境は予測通り良好に推移しました。さらに予想以上に市場を押し上げた要因として、AI産業の急速な成長が挙げられます。AI関連企業の業績拡大が市場に織り込まれ、投資家の関心も高まりました。また、国内ではインフレの定着が市場にプラスの影響を与えました。インフレにより物価が上昇することで、利益率が一定でも利益額が増加し、結果として株価が上昇するという「インフレサイクル」が形成されつつあります。この動きは特に海外投資家の注目を集め、日本株への関心が顕著に高まりました。当社への問い合わせ件数が増加したことも、その傾向を裏付けています。
2026年の国内株式市場見通し
2026年の国内株式市場については、引き続き上昇基調を維持する展開を予想しています。株価を占う上で重要な要素である「企業ファンダメンタルズ」と「需給環境」については、以下の通りです。
まず企業ファンダメンタルズに関しては、2025年に重石となった米国の関税政策によるネガティブな影響が剥落することが期待されます。その結果、二桁増益が実現する可能性が高いと考えています。需給面については、旺盛な自社株買いの継続が見込まれるほか、これまで売りの主体であった企業や金融機関による政策保有株の売却が最終局面を迎えつつあります。新たな売り要因として日本銀行によるETF売却が懸念されるものの、現時点で示されているペースでは市場への影響は限定的と考えています。これらの背景を踏まえると、2026年も良好なファンダメンタルズと需給バランスが市場を支え、堅調な推移が期待されます。
ただし、リスク要因として以下の点に注意が必要と考えています。AIの急速な台頭による米国雇用市場への悪影響、AI投資バブルの形成と崩壊リスク、さらにはAI関連投資を支えるクレジットリスクの顕在化などです。仮にこれらのリスクが市場に影響を与える局面があったとしても、長期投資家の参入が下支えとなり、下落が長期化する可能性は限定的と考えています。

酒井 義隆
「未来はこれまでの延長線上にあり、未来に咲く花のタネは既にまかれた」と考えており、2025年に活躍した主力テーマには引き続き注目しています。ただし、一部の銘柄だけでなくサブテーマや新たな関連テーマ、大型株だけでなく中小型株にも波及してさらに大きな流れになっていくとみています。
AIではビックテック各社が手掛ける新しい半導体関連、AIエージェント、ロボットや自動運転などのフィジカルAI、電力・エネルギーも重要性が増すでしょう。防衛では施設強靭化で建設や海外案件、エンタメでは海外投資の成果が期待されます。脱中国依存を強める動きでは、資源や素材技術にフォーカスしています。高市政権の政策も注目です。リフレーション政策(デフレから脱却し、適度なインフレを目指す政策)ではインフレ定着で銀行、不動産、そして具体策が本格化する17の戦略分野、日米関税合意による米国投資で恩恵を受ける企業に加え、米国の中間選挙に向けたトランプ政権の経済重視への動きで恩恵を受ける企業も出てくるでしょう。インドや東南アジアなど新興国関連も注目です。米国の利下げにより新興国も利下げ局面にあり経済活動は活発化していくと考えています。
株式市場は現実経済を映す鏡と捉えており、今後も人や投資が集まっていく分野に注目していきます。

関口 智信
2026年の国内株式市場は堅調な展開を想定しています。背景としては、堅調な企業業績の推移を想定しているためです。
企業業績面でみると25年上半期の米関税策のマイナス影響の反動が製造業を中心にプラスに働くとみています。このような想定をする中、①インフレ環境の継続、②政策面での後押し、③AIへの高水準な投資の継続、などのテーマに注目しています。
①ではインフレの定着により、企業が値上げをしやすい環境が続くこと、利上げが進み銀行を中心に金融関連の業績も堅調な推移が期待されることなどをみています。②の政策面では、高市政権での財政拡張的な政策や海外の地政学的リスクも背景に企業の国内設備投資が促進され、国内の景気・企業業績にプラスに働くと考えます。③のAI分野では生成AIの基盤モデル(ChatGPTやGeminiなど)の勝者が見えず高水準の投資競争が続くとみており、データセンター周辺のインフラ関連企業に投資妙味があると考えます。一方、一部の企業でキャッシュフローを大幅に超える投資により信用リスクが台頭する可能性がある点には留意が必要です。

安西 慎吾
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