通信制大学は学費が安い?費用の内訳や一覧、節約方法を解説
2024/06/25

皆さまは「通信制大学」と聞いてどのようなイメージを浮かべるでしょうか?
通信制大学とはそもそもどのようなもので、具体的にどのような仕組みで学ぶかを知らない方も少なくないと思います。社会人になって通信制大学に通うメリットはあるのでしょうか。
そこで、本記事では現役通信制大学生である筆者が通信制大学の制度の概要、学費の内訳、さらに費用を抑える方法など、通信制大学の学生だからこそ分かる、費用の面で役立つ情報をご紹介します。
通信制大学とは
通信制大学とはその名のとおり、自宅学習を中心に学ぶ教育機関です。四年制大学を卒業されていない方にとっては、通信制大学を卒業することで「学士号」の学位が得られるというメリットがあります。一方、四年制の大学を卒業された方にとっては通信制大学に編入が可能で、新たな専門分野を学ぶほか、業務の内容をさらに掘り下げる学びを得ることができます。学部によっては資格の取得も可能となり、キャリアアップや、転職の時に職業選択の幅が増え、自分の願う仕事に挑戦しやすくなるなどのメリットがあるでしょう。
それでは、通信制大学はどのような形で学習が進められていくのでしょうか。
多くの通信制大学は大きく分けて、以下の三つの学習形態からなります。
- 1. テキストを使った自習、レポートの作成、そして科目試験の受験
- 2. スクーリング(実際に学校に出向き、先生と直接会うことで行われる対面授業)
- 3. インターネットを通じたオンライン授業
この三つを組み合わせ、授業を履修し所定の単位を取得していきます。その中でも中心的な学習は1番目のテキスト・レポート・試験です。この点が一般の大学と通信制大学の大きな違いとなります。それでは具体的にどのような違いがあるのでしょうか?次の項目で説明していきます。
通学制大学と通信制大学の違い
① 時間の使い方
通学制大学と通信制大学の大きな違いは、時間の使い方です。通学制大学はキャンパスに通って授業を受けますが、通信制大学は前述した通り、主にテキストや参考文献を読み、レポートを提出して科目試験を受けるという流れになります。このような学習スタイルは仕事をしながら、また家事をしながらでも自分の時間で学習を進めることができるというメリットがあります。一方で、強い意志を持っていないと学びを進められないという側面もあります。
② 入学試験
もう一つの違いは入学の容易さです。日本の大学は入学するのが難しい傾向があります。しかし、通信制の大学は高校卒業と同等の資格を持っていれば、小論文などが入学試験の代わりとなる大学もあります。書類選考によって合否が判断されますので、入学が比較的容易になります。一方で一部の大学では、授業の内容や卒業論文は通学制と同等か、場合によってはそれよりも難しいこともありますので、入学の前に卒業要件なども確認するとよいでしょう。なお、最終学歴がすでに短大卒や大学卒の方は編入という形で入学でき、所定の単位が免除されます。
③ 場所
通学制大学ではキャンパスに通っての授業ですので、どうしても大学に通学できる範囲内に住む必要があります。しかし、通信制大学では日本全国、また中には海外からも学びを続けている人もいます。時間や場所に縛られずに学びを継続できるのは通信制大学の強みといえるでしょう。ただし、多くの通信制大学ではスクーリングが義務付けられていますので、その期間にはキャンパスに通う必要があります。
④ 学費
最後のポイントはやはり学費でしょう。特に有名私立大学の通信制大学は、通学制大学と比べて学費が安くなります。では、気になる学費は具体的にどのようになっているのでしょうか?そのことを詳しくお伝えします。
通信制大学の学費の内訳と一覧
通信制大学では最終学歴や在籍年数などによって卒業までにかかる費用が変わってきますが、大きくは以下のような費用がかかります。
- - 入学諸費
- - 教育費等
- - レポートの郵送料
- - その他(スクーリング受講料、テキスト代など)
その他に、キャンパスまでの交通費や遠方の方はスクーリング期間中の滞在費、大学までの交通費が別途かかります。しかし、実際は学びたい分野や大学ごとに学費が変わってきます。下記には、2024年度における日本の通信制大学の学費一覧をまとめました。
出所:公益財団法人私立大学通信教育協会「入学時の学費一覧(2024年度)」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成
初年度の入学費用と1年間の教育費等の合計を見ると、最も学費が高いのは早稲田大学の904,000円ですが、おおむね10万円から30万円程度の学費が必要です。もちろん、人それぞれ学びたい分野がありますので、大学や学部によって学費は変わってくると思いますが、文部科学省が公表する「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によると、私立大学の初年度学生納付金は1,357,080円となっていることから、通信制大学の授業料がかなり安いことがわかるかと思います。
授業料(円) | 入学料(円) | 施設設備費(円) | 合計(円) | |
私立大学 | 930,943 | 245,951 | 180,186 | 1,357,080 |
私立短期大学 | 723,368 | 237,615 | 166,603 | 1,127,586 |
私立高等専門学校 | 627,065 | 246,753 | 105,195 | 979,013 |
出所:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について 初年度学生納付金の調査結果概要」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成
学費を節約する方法
通信制大学の学費が比較的安いということはわかりましたが、それでもまとまったお金が用意できない場合や、もっと節約したいというときにはどのような方法があるのでしょうか。
① 最短卒業
短期間にできるだけ沢山のレポートを提出し、科目試験に合格し、所定の単位を取得することで最短卒業を目指すなら、その分在学期間が短くなりますので学費は安くなります。学習の時間を確保できるなら、最短卒業はもっとも効果的な節約といえるでしょう。(そのためには余暇の時間などを犠牲にする必要がありますが。)
ただし、いくら単位をたくさん取得しても、あらかじめ決められた最低の年数を短くすることはできないので注意が必要です。
② 奨学金
所得の状況など様々な条件はありますが、通信制大学でも大学の奨学金制度や日本学生支援機構の貸与型奨学金を受けることができます。あきらめる前に調べて、必要ならば一度相談をしてみましょう。
③ 分割支払い
大学によっては学費を分割して納入することができますので、まとまった出費を避けたいという方は利用する価値があるでしょう。
④ 図書館や古本屋、オークションサイトの利用
大学で学ぶには沢山の参考文献が必要です。特に専門書は高額になりますので、すべてを買いそろえるとかなりの出費になる場合があります。そこで利用したいのが図書館です。期間は限られますが、無料で利用できるのは助かります。また、オークションサイトなどで安く文献を入手できることもあります。
その他、直接学費を安くできるわけではありませんが、通信制大学に入学すると学生証が発行され、それによって学割を使うことができますので、美術館や博物館に割引価格で入れます。また、コンピュータやソフトウェアを購入する際も学割価格で購入することができます。さらに、試験やスクーリングに出席する時の交通費に対して学割が発行されます。
加えて、条件を満たせば「所得税の勤労学生控除」が適用され、これにともなって住民税などの税金も軽減される場合があります。
通信制大学を選ぶ際に学費以外で考慮したいこと
① コスパよりも何が学びたいか
通信制大学を選ぶときは、授業料の安さだけを重視して選ぶと、失敗してしまうかもしれません。何よりも大切なのは「自分が何を学びたいか」です。そのためにはまず、自分が何を学びたいかを先に選び、その後に大学を選ぶといいでしょう。大学によっては、テレビで解説員として出演している先生から直接講義を受けられるチャンスもあります。レポートであっても対面スクーリングであっても、質の高い教育を受けられるのは通信制大学の魅力の一つです。自分の興味のある大学のホームページなどで詳細を確認してみましょう。
② 大学のサポート体制
通信制大学での学びは長期間に及びます。ですから、大学のサポート体制なども考慮する必要があります。しかし、なかなか大学の様子はわからないものです。もし通信制大学選びで個々の疑問や不安がある場合、公益財団法人私立大学通信教育協会が定期的に開催している複数の通信制大学が参加する説明会への参加をおすすめします。これらのイベントでは、様々な大学の代表者が個別の相談を受け付けており、情報を直接得ることができます。会場では実際の大学のスタッフが派遣され、個人相談会なども行っています。事前に疑問や不安に思うことをリストアップして直接聞くことができるので、日程を合わせて参加してみてはいかがでしょうか?
③ 学習会
年齢やバックグラウンドが違っても、同じ通信制大学で学ぶ学友は勉強を続けるうえで大きな励みになります。大学公認の学習会や、仲のいい友だち同士での学習会などが活発に行われている場合もあります。最初は勇気がいるかもしれませんが、そのような学習会に一度訪れてみると、単位の取り方や履修計画の立て方、時には人生相談など様々な相談に乗ってくれます。普段の仕事で持つことのできない交友関係を作ることができるのも、通信制大学の大きな魅力の一つかもしれません。
最後に
生涯学習という言葉があるように、いつからでも、いつまでも学び続けることができます。そしてそれを叶える一つの選択肢が通信制大学なのです。これを機会にまずは通信制大学でどんなことが学べるのか調べてみてはいかがでしょうか。学びたいことと費用のバランスを考慮し、ご自身のキャリアアップにつながる、人生の深みが増すと感じたなら、新しい学びの第一歩を踏み出すのも面白いと思いますよ。
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