【初めての暗号資産】これだけは知っておきたい基礎知識を分かりやすく解説!
2026/04/23

暗号資産は2009年にビットコインが誕生して以来、同コインを中心に激しい値動きを繰り返してきました。名称も当初は仮想通貨と呼ばれており、「実態のわからないもの」「怪しいもの」というイメージをお持ちの方が大多数だったかと思います。一方で近年、米国を中心に機関投資家も個人投資家も「資産」として暗号資産を保有するようになっているのをご存知でしょうか。本記事では知っておきたい暗号資産の基礎知識と暗号資産市場をとりまく最新情報について解説します。
暗号資産とは
暗号資産とは、インターネット上でやりとりできるデジタル形式の財産的価値のことです。物理的な実体はなく、スマートフォンやパソコンを通じて送金や受け取りができます。ビットコインなど代表的な暗号資産の大きな特徴は、特定の国家や政府が発行・保証する通貨とは異なり、中央銀行が存在しない点です。代わりに、ブロックチェーン技術を活用し、ネットワーク上で取引データを安全かつ分散的に管理しています。この仕組みにより、第三者を介さずに個人同士が直接資産をやり取りできる「分散型(非中央集権型)」の取引が可能になっています。
なお、2020年5月1日に施行された改正資金決済法で、法令上の呼称が「仮想通貨」から「暗号資産」に変更されました。いまだに「仮想通貨」と呼ばれることも多いですが、「暗号資産」と本質的な違いはなく、同じものを指しています。
暗号資産が普及してきた背景には、資産を安全に管理できる“ウォレット”の存在が大きく貢献しています。ウォレットには財布という意味がありますが、現金のように暗号資産そのものが入っているわけではなく、暗号資産の送受信の際に必要な「公開鍵」と「秘密鍵」を安全に管理する役割を担っています。公開鍵から導出した識別子(文字列)は「アドレス」と呼ばれ、他のユーザーから暗号資産を受け取るために使用されます。銀行口座で例えると口座番号のような存在です。一方、秘密鍵は、送金などの署名に用いられます。銀行口座で例えると暗証番号のような存在のため、秘密鍵が漏洩すれば資産を簡単に盗まれてしまいます。
ウォレットには、運営事業者が管理を行う「カストディアルウォレット」と、利用者自身が管理する「ノンカストディアルウォレット」の2種類があります。
「カストディアルウォレット」は、暗号資産の所有を証明する秘密鍵を、暗号資産交換業者などの事業者が管理する方式です。利用者はIDやパスワードなどのログイン情報を使ってサービスにアクセスし、暗号資産の取引や送受信を行います。一方、「ノンカストディアルウォレット」では、交換業者の口座を介さず、利用者自身が秘密鍵を管理します。そのため、利用者が暗号資産を直接コントロールできる点が大きな特徴です。NFT(非代替性トークン)の保有・取引や、DeFi(分散型金融)サービスの利用といった機能は、主に「ノンカストディアルウォレット」で提供されています。
近年では、QRコードを使った簡単な送金機能や、複数のブロックチェーンや暗号資産をまとめて管理できる「マルチチェーン対応」など、ウォレットの利便性は大きく向上しています。
このように、暗号資産の管理方法によって、利用できる機能や使い方には違いがあります。自身の目的に応じて、適切なウォレットを選ぶことが重要といえるでしょう。操作性や使いやすさの進化も、暗号資産の普及を後押ししている要因の一つです。
なぜ暗号資産の価格は乱高下するのか
暗号資産の価格が大きく変動するのには、いくつかの要因があります。株式や債券などの伝統的な金融商品とは異なり、暗号資産特有の仕組みや市場環境が値動きの激しさを生み出しています。
バリュエーション評価指標がない
株式には株価評価の判断基準となるPERやPBRなどの指標がありますが、暗号資産にはこうした一般的な評価基準が存在しません。そのため、価格は需給バランスや市場心理に大きく左右されやすいと言えます。また、多くの株式市場では値幅制限やサーキットブレーカーなどの急激な価格変動を抑える制度が導入されていますが、暗号資産ではこのような仕組みがないことが一般的です。さらに24時間365日取引されていることも、価格変動が大きくなりやすい要因の一つと言えます。
投機目的の資金が多く流入している
暗号資産市場には、短期的な値動きを狙う投機的な資金も多く集まっています。これらの資金は、ニュース、規制の動向、価格トレンドなどに敏感に反応し、急激な売買を誘発しがちです。その結果、市場全体のボラティリティ(価格変動の大きさ)が高まりやすくなっていると言えます。
暗号資産の価格形成に影響する設計や仕組み
暗号資産は、単に需要と供給のバランスだけで価格が決定されるわけではありません。ビットコインやイーサリアムなどの代表的な暗号資産は、その設計や運用の仕組みに希少性を維持したり供給の増加を抑えるための工夫が盛り込まれています。ここでは、主要な暗号資産がどのような仕組みを持っているのか、具体的な例を挙げながら解説します。
代表的な暗号資産の仕組み
暗号資産には、それぞれ独自の仕組みで設計されています。例えば、代表的な暗号資産であるビットコインは発行上限が2,100万枚と決められており、供給量が制限されるよう設計されています。 一方、イーサリアムは発行上限が定められていないものの、「バーン(焼却)」の仕組みなどによって、状況によっては供給増加が抑えられたり、供給が減少する設計になっています。バーンとは、イーサリアムネットワークで取引(送金やスマートコントラクトの実行など)が発生した際に、ユーザーが支払う手数料(ガス代)の一部が自動的に焼却される仕組みです。また、イーサリアムの手数料はネットワークの利用が多いほど上昇するため、「利用が増える→手数料が高くなる→焼却量が増える(流通量が減少する)→価値が高まる方向に作用」という構造が成り立っています。
インセンティブ設計
暗号資産には、ネットワーク参加者が望ましい行動を取るように設計された報酬やペナルティの仕組み(インセンティブ設計)が組み込まれています。主要コインのインセンティブを比較すると、以下の通りです。
【ビットコイン】
| 報酬: | 複数のビットコイン取引データをまとめた箱のようなもの(ブロック)を生成すること(マイニング)で報酬が得られます。 |
|---|---|
| ペナルティ: | 没収のようなペナルティはありません。ただし、悪意あるブロックを作成しても承認されなければ作成までにかかった電気代などのコストは無駄になります。 |
【イーサリアム】
| 報酬: | 保有してネットワークに預けること(ステーキング)で報酬が得られます。 |
|---|---|
| ペナルティ: | バリデーターが取引の安全性をチェックしたり、ブロックを作りますが、不正をしたり、オフライン(停止)となると預けていたイーサリアムの一部が没収されます。 |
このように、各ネットワークの維持・安全性に貢献する行動を取るほど報酬が得られるため、参加者が自然とネットワークを支える方向に動くような意図で設計されています。
暗号資産市場の発展
暗号資産の時価総額
暗号資産全体の時価総額は2025年11月末時点で約3.2兆ドルに達しています。日本円にすると、約495兆円(1米ドル156.18円で計算)の規模になります。10年前と比べて、約515倍の規模(米ドル基準)になりました。
暗号資産の時価総額推移

出所:コインゲッコー社のデータをもとにアセットマネジメントOne作成
※期間:2015年11月30日~2025年11月30日(日次)
※暗号資産の時価総額は、コインゲッコー社において2025年11月末時点で把握可能な各銘柄の時価総額データを使用
※上記は過去の情報であり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。
ビットコインのボラティリティが低下傾向に
ビットコインは価格の乱高下が激しいというイメージを持たれがちです。実際、その水準は非常に高いものの、傾向としては近年徐々に低下してきています。下のグラフは、代表的なコモディティ(商品)とビットコインについて、過去3年間のボラティリティ推移を比較したものです。
代表的なコモディティとビットコインのボラティリティ推移(3年/年率)

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
※期間:2018年12月31日~2025年11月28日(日次)
※上記は過去の情報であり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。
ビットコインは取引量の増加によって、価格形成に十分な注文が常に集まるようになり、市場の成熟が進んでいます。加えて、後述する暗号資産ETFの上場承認を背景とした機関投資家の参入も、価格変動(ボラティリティ)を抑える要因の一つになっていると考えられます。
今後は、各国で規制整備が進むことで機関投資家など新たな市場参加者が増え、さらなる資金流入が期待されます。その結果、暗号資産の時価総額は今後も年々拡大していく可能性があるでしょう。暗号資産市場は成熟が進みつつある一方で、依然として成長余地の大きい市場だと考えられます。
暗号資産市場の重要ニュース
拡大する市場とともに、暗号資産を取り巻く環境も大きく変化してきました。特に、暗号資産が“投機対象”ではなく、“投資対象” や“決済手段”としての地位を築く上で重要な役割を果たした出来事を紹介します。
重要ニュース①:ビットコインETFの誕生
ビットコインETFの上場承認の経緯
ETFとはExchange Traded Fund(上場投資信託)の略で株式のように市場で売買できる投資信託のことです。そして、ビットコインETFとはビットコイン価格に連動して価格が変動するように設計されたETFのことです。実は、10年以上前の2013年に米国で初めてビットコイン現物ETFの上場申請が行われていましたが、米国証券取引委員会(SEC)はその申請を却下しました。しかし、2023年8月に不承認を無効とする裁判所の判決を受け、2024年1月、ついにビットコインの現物ETFの上場が承認となりました。
市場に与えたインパクト
ビットコインETFの誕生による影響は、大きく次の2点にまとめられます。
①機関投資家・公的機関が参入しやすくなった
ETFの上場承認により、暗号資産が「制度として認められた金融商品」として扱われるようになりました。その結果、ハーバード大学をはじめとする教育機関やミシガン州の公的年金基金など、これまで保有に慎重だった機関投資家や公的機関が暗号資産市場に参入するきっかけになりました。大口投資家の参入は、暗号資産市場の信頼性向上にもつながっています。
②個人投資家が購入しやすくなった
ETFが上場承認されたことで、ビットコインは株式や債券などの伝統的な資産と同様に証券口座から手軽に購入できるようになりました。その結果、暗号資産は多くの個人投資家にとっても、ETFを通じて保有できる身近な金融商品としてのイメージが形成されました。
また、ETFを通じて資金が流入することで、
✓ 取引量の増加
✓ 流動性の向上
✓ スプレッド(売買価格差)の縮小
✓ 価格変動の安定化
といった市場の成熟化につながる効果も期待されています。
他のコインのETFも続々上場
ビットコインを皮切りに、イーサリアムやリップルなどメジャーなコインのETFの上場が進んでいます。
上場した主要コインのETF

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
※2025年11月末時点
※上記は、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
重要ニュース②:ステーブルコインの誕生
ステーブルコインとは
各国でステーブルコインに関する法整備が急速に進み、法定通貨や金などの価値に連動させるように設計された暗号資産「ステーブルコイン」が誕生しました。ビットコイン のように1つのコイン名を指すように思われがちですが、実際には総称です。
ステーブルコインは、需給によって価格が大きく変動する一般的な暗号資産とは性質がまったく異なります。そのため、投資対象というよりも、決済手段としての利用に特化したコインと理解しておくとよいでしょう。ステーブルコインは価格の安定性を備えているため、日常の支払い、国際送金、EC決済など、従来の金融システムではコストや時間がかかっていた分野を効率化できる可能性があります。特に海外送金では、手数料の大幅な削減や送金スピードの向上が期待されており、企業だけでなく個人ユーザーにとっても利便性が飛躍的に高まると考えられます。今後は、銀行やフィンテック企業によるステーブルコインの活用が増え、社会全体での実用例も一層広がっていくでしょう。
ステーブルコインと各種暗号資産の分類

出所:各種資料をもとにアセットマネジメントOne作成
ステーブルコインと各種暗号資産の分類例として、ビットコイン以外のコインをアルトコインと総称します。ステーブルコインはアルトコインには属さず、ステーブルコインとして別枠に分類されるのが一般的です。ビットコインは「ビットコインか、それ以外か」という形で分類されるほど、暗号資産市場において特別なポジションを占めています。実際、ビットコインは暗号資産全体の時価総額の50%以上(2025年11月末時点)を占めており、その市場規模の大きさやアルトコインへの影響力、取引の中心性から、いわば基軸通貨的な役割を果たしていると言えるでしょう。
暗号資産市場の今後
日本においても暗号資産は今後、「資産」としてポートフォリオの一部に組み込まれていくだけでなく、「決済手段」としても生活に浸透していく期待が持たれています。すでに国内では、大手家電量販店や一部のハウスメーカーがビットコイン決済に対応しており、日常的なショッピングから高額商品の購入まで、暗号資産を利用できる環境が整い始めています。また、不動産の売買において、ブロックチェーン技術を活用したスマートコントラクトと呼ばれる契約の自動化や、暗号資産を決済に用いた事務の効率化が期待されています。これにより、将来的には、仲介業務の一部を省略できるなど、手続き全体の負担軽減につながると考えられます。このように、暗号資産市場では技術革新と規制整備が同時に進行し、「投機対象」「怪しい」といったイメージが薄れて、資産クラスの1つとして認識されつつあります。目まぐるしく進化する暗号資産の経済圏は、投資や決済、送金、さらには金融インフラのあり方そのものを変えつつあり、今後も国内外で高い注目を集め続けるでしょう。
※本記事はビットコインやイーサリアム等、暗号資産についての理解を深めることを目的としており、個別の暗号資産や商品への投資を推奨するものではありません。
(執筆:1級ファイナンシャル・プランニング技能士・ CFP® 飯塚 桜子)
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