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子育てにはいくらかかる?出産・育児を支える補助制度について解説

2023/08/18

かかる

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子どもを産み、育てるには相応のお金がかかるもの。筆者の周りでも、「将来子どもは欲しいけど、お金のことを考えると躊躇してしまう」「2人目を考えているけど、今の収入で育てていけるのか不安」といった声を聞くことがあります。この記事では、出産・育児には大体いくらお金がかかるのか、そしてそれらに備える手段として、どのような補助制度があるかを解説します。

出産・育児には総額いくらかかる?

出産・育児に関するお金の悩みを解決する第一歩として、何にいくらかかるのか「知る」ことが大事です。ここでは、子どもが生まれてから大学卒業までに必要な費用について整理していきましょう。

まずは出産に必要なお金です。妊娠~出産までに必要な費用としては、妊娠期間中の検査費用、出産費用、ベビー用品等の準備にかかる費用などが挙げられますが、一般的に最も金額が大きくなるのが出産費用(入院・出産~退院までの諸費用)です。
厚生労働省が令和3年に実施した調査によると、令和2年度における出産費用の全国平均額は、全施設(公的施設+私的施設)で46.7万円、公的施設での費用は45.2万円でした。

●出産費用の平均金額(令和2年度)

地域全施設の出産費用公的病院の出産費用
全国 46.7万円 45.2万円
東京都 55.3万円
茨城県 51.5万円
神奈川県 49.9万円
・・・
沖縄県 35.3万円
佐賀県 35.2万円

※正常分娩の場合

※室料差額、産科医療補償制度掛金、その他の費目を除く出産費用の合計額

※都道府県別データは公的病院における費用が大きい順に記載

出所:厚生労働省「出産費用の実態把握に関する調査研究(令和3年度)の結果等について」

出産費用は、地域や分娩方法によって差があることにも注意が必要です。地域差で言えば最も高額の東京都(約55.3万円)と佐賀県(約35.2万円)では約20万円の差があります。また、無痛分娩や和通分娩を希望する場合はその分の費用が上乗せになります。

続いて、育児にかかるお金について確認しましょう。子育てにかかる費用は、「養育費」と「教育費」に分けることができます。内閣府「インターネットによる子育て費用に関する調査(平成21年度)」によると、0歳~22歳までにかかる養育費は就学区分によっても差がありますが、年間100万円弱の養育費が必要となり、総額にして約2,085万円となります。
一方で教育費は、国公立・私立どちらを選ぶかでかなり差が出ます。仮に全て国公立を選択した場合は総額で約827万円、全て私立の場合は約2,235万円ですから、全て私立に通う場合は公立の2.7倍程度の資金が必要となる計算です。

●就学区分別の養育費

 養育費(総額)(年換算)
未就学児*1 698.2万円 99.7万円
小学生 509.4万円 84.9万円
中学生 292.4万円 97.4万円
高校生 292.4万円*2 97.4万円*2
大学生 389.9万円*2 97.4万円*2
合計 2,085万円

出所:「平成21年度 インターネットによる子育て費用に関する調査」(内閣府)

*1 保育所・幼稚園を利用する場合を想定

*2 高校生・大学生の養育費はデータがないため中学生の年換算金額より算出、大学は4年制を想定

●就学区分別の教育費

  教育費(総額)
国立 公立 私立
幼稚園 47.2万円 92.4万円
小学校 211.2万円 999.9万円
中学校 161.6万円 430.3万円
高校(全日制) 154.3万円 315.6万円
大学*3 242.5万円 253.6万円 396.9万円

出所:文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査」(幼稚園~高校)、「国公私立大学の授業料等の推移」(大学)

*3 入学料+授業料で算出、4年制を想定

 

これまでのデータを踏まえると、子どもを産み、大学卒業まで育てることを想定した場合の出産・子育て費用は、少なくとも総額約3,000万円程度は必要ということが分かります。この金額を聞くと途方もない金額だと頭を抱えてしまう方もいるかもしれませんが、生まれる前からすべて準備しておかなければならないということではありません。子どもの成長とともに必要な時期に必要な額が用意できるよう、後述する制度や資産形成の方法をうまく利用して手当てしていきましょう。

出産・育児をサポートする制度にはどんなものがある?

さて、必要なお金の目安が見えたところで、ここからは出産・育児をサポートする制度をご紹介します。

<出産育児一時金>

出産育児一時金は、健康保険、国民健康保険の被保険者もしくはその被扶養者が妊娠4ヵ月(85日)以上の方が出産したときに支給されます。最近では岸田政権の「異次元の少子化対策」の一環として2023年4月より受取金額が大幅に増額され、条件を満たせば最大50万円の支給を受けることができるようになりました。前述の出産費用の全国平均が46.7万円であることを踏まえると、自己負担をかなり抑えることができます。

●出産一時金の支給額

  支給額
産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週以降に出産した場合 1児につき50万円
産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合 1児につき48.8万円
産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週未満で出産した場合 1児につき48.8万円

出所:全国健康保険協会HPよりアセットマネジメントOne作成

一時金の受け取り方については、直接支払制度、受取代理制度、直接申請の方法があります。特に直接支払制度・受取代理制度については本人による立替が発生しない仕組みとなっているため、まとまったお金を用意する必要が無いことが大きなメリットです。手続きの時期・方法は異なりますので、どちらを利用できるか出産する医療機関に確認し、必要な手続きを実施しましょう。

<出産手当金>

出産手当金は、被保険者が出産のため会社を休み、事業主から報酬が受けられないときに支給されます。概要は下記のとおりです。(出所:全国健康保険協会HPより抜粋)

出産手当金が受けられる期間

出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間

※ただし、休んだ期間にかかる分として、出産手当金の額より多い報酬が支給される場合は、出産手当金は支給されません。

支給される金額

休んだ期間についての給与の支払いがあってもその給与の日額が、出産手当金の日額より少ない場合は、出産手当金と給与の差額が支給されます。

【計算方法】

1日当たりの金額:【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
(支給開始日とは、最初に出産手当金が支給された日を指す)

<幼児教育・保育の無償化>

令和元年より、一定の条件を満たした場合は幼稚園・保育園等の利用料が無償化されました。対象となる年齢、施設などは下記のとおりです。(出所:内閣府HP「幼児教育・保育の無償化について」より抜粋)

対象者:3~5歳の子ども(全員)、0~2歳の子ども(住民税非課税世帯のみ)
対象施設:幼稚園*4、保育所、認定こども園、認可外保育施設等*5

*4 子ども・子育て支援新制度の対象幼稚園でない場合は月額2.57万円まで無料

*5 保育の必要性の認定を受けている場合のみ対象となり、月額3.7万円まで無料

上記に加え、「保育の必要性の認定」を受けている場合、3~5歳の子どもは幼稚園の預かり保育を無償で利用することができます。

<乳幼児に係る医療費の援助>

子どもは大人よりも免疫力が弱く様々な病気にかかりやすいため、小さいうちは月に何度も通院することになるケースも珍しくないでしょう。となると気になるのが医療費ですが、現在すべての都道府県および市区町村が乳幼児に対する医療費の援助を実施しており、自己負担を軽減できる仕組みになっています。
一方、注意が必要なのは、年齢や所得、自己負担の有無など条件面が自治体によってさまざまである点です。例えば年齢においては、多くの自治体は15歳~18歳までとしていますが、就学前までとしているところもあれば、22歳まで対象となる自治体もあります。子どもへの医療援助が充実しているところは、自治体として子育て支援に注力している可能性も高いので、引っ越しを検討している際などに確認するとよいでしょう。

<児童手当>

児童手当は、子育ての負担軽減を目的に、中学を卒業するまでの子を育てる家庭に支給されます。費用は国と自治体などが分担し、保護者の所得に応じて額が制限されます。現行制度の概要は下記の通りです。

支給対象 国内に住所を有する中学校修了まで(15歳に到達後の最初の年度末まで)の児童
(住基登録者:外国人含む)
支給金額
(月額、1人あたり)
0~3歳未満 一律15,000円
3歳~小学校修了まで 10,000円(第3子以降は15,000円)
中学生 一律10,000円
所得制限限度額以上* 一律5,000円(特例給付)
*所得制限限度額(年収ベース) 960万円(子ども2人と年収103万円以下の配偶者の場合)
支払月 毎年2月、6月、10月(前月までの4か月分を支払)
給付総額
(令和4年度)
1兆9,988億円

出所:内閣府の情報をもとにアセットマネジメントOne作成

上記の通り現行の制度では所得制限がありますが、岸田首相は6月、児童手当の所得制限の撤廃、支給期間を3年間延長し、さらに第3子以降は支給額を3万円に拡充することを正式に表明しました。新制度は2024年10月より支給される見込みとなっています。

おわりに

ここまで各制度についてご紹介してきましたが、他にも自治体独自の支援制度の活用、学資保険やつみたて投資、奨学金の利用など、子育て資金の確保には様々な方法があります。また、今ある制度について、児童手当の事例のように少子化対策の一環として拡充や条件緩和が実施される可能性も期待できます。
一人育てるのに3,000万円、と聞くと壮大な金額に感じてしまいますが、前述の通り一度に出ていくものではありません。子どもの成長に合わせていつどんなお金が必要か把握し、制度の力も借りつつ計画的に準備していきましょう。

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