風評被害とは?企業業績や株価に与える影響を解説
2023/08/14

事業内容と直接関係のない風評被害は、どの企業にとっても起こりうるリスクがあります。
風評被害は、時に大きな株価下落をまねく可能性もあり、投資家にとっても避けたいリスクの一つでしょう。
そこで本記事では、風評被害によって企業の生産活動や業績に大きな影響が出た事例を紹介し、投資家目線で風評被害リスクを軽減するためのポイントについて解説します。
風評被害と株価への影響
風評被害とは、根拠に基づかないデマが拡散されたことによって、経済的な被害を受けることです。特に、災害や事件、事故などが発生した際、不適切な報道がなされたために、本来は無関係であるはずの人々や団体までもが損害を被ることを指します。
ここでは、実際に風評被害によって株価に影響が出た事例について紹介します。
① 大災害による風評
人々の行動に大きな影響を及ぼしたのが、2011年の東日本大震災で起こった原発事故による風評です。被災地である福島県産の農産物が放射線で汚染されているという風評が広まり、放射性物質の基準値をクリアしているにも関わらず買い控えが起こりました。「放射性物質を理由に福島県産品の購入をためらう」人の割合は年々減少していますが、2023年時点でも5.8%*を占め、風評被害は完全にはなくなっていないことがわかります。
* 消費者庁「風評に関する消費者意識の実態調査」より。
② パンデミックによる風評
次に、企業の「名前」によって株価に影響が出た事例です。2020年に新型コロナウイルス感染症が流行した際、新潟県に本社を置く「株式会社コロナ」の株価が一時的に大きく下落しました。暖房器具などを製造するメーカーであり、新型コロナウイルスとは無関係ですが、偶然同じ名前を冠するという理由で話題となり、株価は2週間の間に約17%下落しました。
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
※期間:2019年12月31日~2020年6月30日(日次)
③ 世界的イベントによる風評
また、風評「被害」とは逆に、事業内容と関係のない要因で株価が大きく上昇した事例についても紹介します。
3月に開催されたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の期間中に、「株式会社大谷工業」の株価が連日ストップ高となり、WBC開催前と比べて一時3倍以上上昇しました。鉄鋼製品メーカーでありWBCや野球とは関係のない企業ですが、WBCで活躍した大谷翔平選手と同じ名前を冠するという理由からWBC期間中に株価が急騰しました。
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
※期間:2023年1月31日~2023年3月31日(日次)
投資家目線でできること
ここまで、風評被害や噂によって株価に大きな影響があった事例を紹介しましたが、投資している企業が風評被害に遭った際に、損失を最小限に抑えるために気を付けるべきことについて紹介します。
まず一つ目は「冷静に事実を見極めること」です。本記事にて紹介したいずれの事例も、風評被害によって株価が乱高下した後に以前の水準に近い株価に落ち着いています。話題になった際すぐにあわてて売却するのではなく、まずは信頼できる情報源から事実を確認し、事業に大きな影響の出る事例に該当するのかを見定めることが重要といえます。
二つ目は「少数の銘柄に資産を集めすぎないこと」です。少数の銘柄に総資産の大半を投資していると、そのうちの1銘柄が暴落した際に大きな損失を被るリスクがあります。ひとつの銘柄への投資割合の上限をご自身の中で決めておくなどしてポートフォリオを管理するほか、多数の銘柄・資産から構成される投資信託を利用し分散投資を行うことで、特定の銘柄の一時的な価格変動によるリスクを抑制することができます。
今後はますます風評被害リスクへの対応が重要に
ソーシャルメディアの普及により情報がその真偽に関わらず瞬く間に世界中に広がってしまう昨今において、風評被害の発生リスクやその影響度は以前に増して大きくなっていると言えます。それとともに、風評被害リスクを軽減するための工夫も重要になると考えられます。この機会に、皆さまの投資ルールやポートフォリオを見直してみてはいかがでしょうか?
※本記事における個別銘柄の紹介は、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。
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