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信託とは?制度の概要と信託銀行の業務内容を分かりやすく解説

2024/10/02

知恵のハコ

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信託は、現代の複雑な財産管理において重要な役割を果たす制度です。しかし、その仕組みや具体的な利用方法については、まだ多くの人にとって理解が難しい部分もあります。本記事では信託の基本的な概念と歴史、信託の種類について解説します。また、信託銀行がどのような業務を行っているのか、信託を利用するメリットやデメリットについても分かりやすく説明します。信託のことがスッキリわかる内容となっていますので、ぜひご一読ください。

信託の起源と進化

まずは信託の起源について説明します。信託(Trust)の起源は中世イギリスに遡り、戦地に赴く騎士たちが家族の生活を守るために領地を信頼できる人に託したことが始まりです。信託制度はその後、19世紀のアメリカで鉄道建設や鉱山開発などの資金調達手段として発展し、日本には明治時代後半に導入されました。1922年には「信託法」と「信託業法」が制定され、本格的な発展が始まりました。

信託とは

信託とは、自分の大切な財産を信頼できる人に託し、その人に財産を管理・運用してもらう制度です。信託には以下の3つの役割の人が関わります。

  • 委託者 : 自分の財産を信託する人。
  • 受託者 : 委託者から財産を受け取り、管理・運用する人(例: 信託銀行)。
  • 受益者 : 信託された財産から生じる利益を受け取る人。

信託の基本的な流れは以下の3つのステップで行われます。

  1. 財産の信託 : 例えば、親が子供のためにお金を信託銀行に預けるとします。この時点で、お金の所有権は信託銀行に移ります。(親=委託者、信託銀行=受託者)
  2. 財産の管理・運用 : 信託銀行は預かったお金を管理、もしくは株式や債券などに投資して運用します。
  3. 利益の受け取り : 運用の結果得られた利益を、親が指定した受益者(この場合は子供)に渡します。

信託された財産は、信託法や信託業法などの法律に基づいて厳しく管理されるため、安全に運用されます。

信託とは

画像出典:一般社団法人 信託協会

信託の種類

信託は、その用途に応じて大きく三つのカテゴリーに分類されます。「個人向けの信託」、「法人向けの信託」、そして「公益・福祉のための信託」です。それぞれの信託がどのように活用されるか、具体例を交えてご紹介します。

個人のための信託

人生のさまざまなライフステージにおいて、信託は大切な目的を実現するための有力な手段となります。信託は、日常生活の多様な場面でサポートを提供し、多くの人々の生活を豊かにする役割を果たしています。個人向けの信託は、生活に密接に関わる存在です。

具体的な信託商品例:

  • 遺言信託 : 遺言者の遺言内容を確実に実行するため、信託銀行等が遺言の作成の相談から執行までをサポートする信託。
  • 投資信託 : 投資家から集めた資金を一つの大きな資金とし、専門家が株式や債券などに分散投資することで、リスクを抑えながら運用する信託。
  • 年金信託 : 企業が従業員の退職後の年金資金を積み立て、信託銀行等がその資産を運用・管理する信託。

法人のための信託

企業や法人向けの信託は、ビジネスの場面で広く利用されています。従業員の年金や財産形成、企業の資金調達や資産運用の手段として、法人向けの信託は重要な役割を果たしています。これにより、企業は効率的かつ戦略的に資産を運用し、ビジネスの成長を支援することができます。

具体的な信託商品例:

  • 証券代行業務 : 企業の株主名簿管理や配当金の支払いなど、証券に関連する事務手続きを代行する業務。
  • 有価証券の信託 : 株式や債券などの有価証券を信託財産として管理・運用する信託。
  • 受益証券発行信託 : 信託財産の管理・運用に対して受益権を証券化し、投資家に販売する信託。

公益・福祉のための信託

信託は、社会や人々のために役立つことができます。福祉や公共の利益のために財産を活用する、福祉活動を行う団体を支援する、身体の不自由な方を財産管理の面でサポートする、といった目的を実現するために「公益・福祉のための信託」があります。信託を通じて、社会貢献や環境保全、福祉活動を支援することが可能です。

具体的な信託商品例:

  • 特定贈与信託 : 障がいをお持ちの方の生活の安定を図ることを目的に、親族の方などが信託銀行等に金銭等の財産を預け、信託銀行等がその財産を管理する信託。
  • 後見制度支援信託 : 成年後見制度を利用する際に、信託銀行等が財産管理をサポートし、財産の適正な管理を確保する信託。
  • 特定寄附信託 : 特定の公益目的のために寄附を行う信託で、信託銀行等が寄附金を適切に管理・運用する。

信託銀行の業務内容

ここからは信託銀行の業務内容について説明します。信託銀行は、一般的な銀行業務である預金・貸出・為替業務に加え、信託業務を行うことが特徴です。信託銀行の業務は多岐にわたり、個人および法人の財産(金銭・有価証券・不動産など)を預かり、運用・管理することが主な役割です。例えば、企業年金の運用を任されることもあり、信託銀行は顧客の大切な財産を守るために幅広い業務を提供しています。
信託銀行が提供する主な商品・サービスには次のようなものがあります。

  • 投資信託 : 個人投資家などから集めた資金を専門家が運用し、その成果を投資家に分配します。信託銀行は受託者として、投資信託財産の管理を行います。
  • 遺言信託・遺産整理、相続コンサルティング : 遺言書作成の相談から保管、執行、遺産整理業務まで幅広く対応します。
  • 年金事業 : 厚生年金基金制度や確定給付企業年金制度などに基づき、年金資産の管理・運用を行います。
  • 財産形成信託 : 勤労者の計画的な財産形成を促進するための信託商品を提供します。
  • 資産の流動化 : 金融機関や企業が保有する資産を分離し、金融商品を組成することで投資機会を提供します。
  • 証券代行業務 : 株主名簿管理や配当金計算、株主総会関係書類の封入作業などを行います。
  • 不動産業務 : 不動産の仲介や分譲、管理、鑑定評価などを行います。

信託を利用するメリット、デメリット

ここからは信託を利用する際のメリット・デメリットについて説明します。

『メリット』

  • 専門的な管理 : 信託銀行や信託会社が専門的な知識と経験を持って財産を管理・運用するため、信頼性が高いです。
  • 資産の保護 : 信託財産は信託設定者の財産とは別に管理されるため、債務整理や破産などのリスクから保護されます。
  • 税務上のメリット : 特定贈与信託など、一部の信託には税務上の優遇措置が適用されることがあります。
  • 柔軟な資産運用 : 投資信託などを利用することで、分散投資や専門的な運用が可能となり、リスクを抑えながら資産を増やすことが期待できます。
  • 後見制度の補完 : 後見制度支援信託を利用することで、財産管理がより確実に行われ、成年後見制度を補完する役割を果たします。
  • 社会貢献 : 特定寄附信託や公益・福祉のための信託を通じて、社会貢献や環境保全、福祉活動を支援することができます。

『デメリット』

  • 費用の負担 : 信託設定費用、管理費用、運用費用、解約費用のように、信託を利用するには様々な費用がかかります。特に長期間にわたる信託では、管理費用が累積することがあります。
  • 複雑な手続き : 信託契約の設定や変更、解約には専門的な知識が必要であり、手続きが複雑になることがあります。専門家の助けが必要になる場合もあります。
  • 柔軟性の欠如 : 一度設定した信託契約は簡単に変更できないことが多く、状況の変化に柔軟に対応しづらい場合があります。
  • リスク : 投資信託などの運用型信託では、投資先のパフォーマンスによっては元本割れのリスクなどがあります。
  • 透明性の問題 : 信託の内容や運用状況が公開されない場合もあり、受益者や関係者にとって透明性が低い場合があります。

信託を利用する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自分の目的や状況に合った信託を選ぶことが重要です。また、専門家のアドバイスを受けることも検討しましょう。

まとめ

信託制度は、個人のライフステージにおける大切な場面をサポートするほか、企業の成長を促進し、さらには公益や福祉のために貢献することができます。信託銀行の多岐にわたる業務とその専門知識は、私たちの生活やビジネスにおいて重要な役割を果たしています。
信託を利用することで、財産の管理や運用がより効率的かつ安全に行えるだけでなく、税制上の優遇措置や社会貢献の機会も得られます。信託銀行の提供するサービスを上手に活用することで、財産を守り、増やし、次世代へと受け継ぐための一助となるでしょう。信託制度の理解を深め、そのメリットを最大限に活用することで、より豊かで安心な未来を築いていきましょう。

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