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相続税対策の基本…簡単にできる対策と注意点を解説

2024/09/26

知恵のハコ

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相続税は、遺産を受け継ぐ際に避けて通れない重要な課題です。特に近年の税制改正により、多くの人々が相続税の支払い対象となる可能性が高まっています。相続税対策を怠ると、予想外の税負担に直面することも少なくありません。本記事では、簡単に実践できる相続税対策と、その際に注意すべき点について解説します。相続税対策の基本を理解し、将来の財産管理に役立てましょう。

なぜ相続税対策は重要なのか

何かと話題に上がる相続税ですが、相続税は2015年(平成27年)以降、基礎控除が縮小され(以前は5,000万円+法定相続人1人につき1,000万円でしたが、現在は3,000万円+法定相続人1人につき600万円に変更されました)、最高税率も引き上げられたため、課税対象者が大幅に増加しました。特に、都心でマイホームに住んでいる方は「うちには大した財産なんかない」と思っていても、持ち家だけで課税対象になる場合もあるでしょう。

相続税は下の表のように、所得税と同様累進課税となります。このため、相続人が多いほど財産が分割されて低い税率が適用され、合計の相続税額は安くなります。

【相続税の速算表】

法定相続分に応ずる所得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

※2024年8月末時点

画像出典:国税庁

逆に、相続人が少なくなる二次相続は注意が必要です。二次相続とは、最初の相続(一次相続)で配偶者と子どもが相続した後、その配偶者が亡くなったことで発生する二度目の相続のことです。

例えば、配偶者1人と子ども1人で一次相続をする場合、相続財産1億円を半分ずつ分けて相続したと仮定すると一人385万円、合計770万円の相続税がかかります。一方で子ども1人が二次相続をする場合、同じく相続財産1億円を全額相続したと仮定すると1,220万円の相続税がかかります。なお、一次相続ですでに子どもが相続した財産について二次相続は発生しませんが、二次相続では配偶者自身の財産が加わります。

※上記は基礎控除のみを考慮した相続税額であり、諸条件によって異なる場合があります。

このように、自身が想定している以上に相続税がかかることもあり、相続税対策をするのとしないのとでは、支払う税金額に大きな違いが出ることも少なくありません。特に、現金化が難しい財産がほとんどだと、相続税を支払うことができない事態も起こり得るため、相続税対策は非常に重要なのです。

ここからは、比較的簡易にできる相続税対策を紹介したいと思います。

生命保険で相続税対策

被相続人の死亡時に遺族が受け取る生命保険の保険金は、「みなし相続財産」として、相続税の課税対象になる場合があります。相続税がかかる場合でも、生命保険の保険金については、受取人が法定相続人であれば、1人あたり500万円まで非課税となります。例えば、法定相続人が2人いれば、1,000万円までが非課税です。

通常、相続税の基礎控除額を上回る相続財産には、相続税がかかります。しかし、基礎控除額を超える分のお金を事前に保険会社に支払い、死後に保険金として相続人が受け取れるようにすれば、非課税枠が適用され、相続税をなくしたり減らしたりできる可能性があります。

前述したように、配偶者1人、子ども1人の場合、合計1,000万円の相続財産を圧縮できることになります。また、受取人をそれぞれ500万円ずつにするのではなく、子ども1人に1,000万円を受取人に指定することで、二次相続の対策にもつながります。法定相続人の数以外にも、持ち家など大きな財産は配偶者に相続させるケースが多いことから、通常、一次相続よりも二次相続の方が相続税は大きくなる傾向にあります。このため、それを解消するという意味でも、相続税の支払いのための現金を子どもに多く相続させるという意味でも生命保険での相続税対策は有効です。

生前贈与で相続税対策

生前贈与とは、被相続人(財産を持っている人)が亡くなる前に、その財産を相続人(財産を受け取る人)に贈与することを指します。贈与とは、財産を無償で渡す意思表示をし、受け取る側がそれを受け入れることで成立します。相続税が課税されることが予想される場合に、生前贈与をしておくことで相続財産を減らし、相続税の負担を軽減できる可能性があります。また、年間で贈与税がかからない(非課税)枠は贈与される側1人につき110万円までと決められているため、早めに行うことや、複数人に贈与を行うことでより有効に働きます。

相続税が多額になることが予想される方には、110万円に拘らず、ある程度贈与税を支払っても、相続税と贈与税の合計額がもともとの相続税よりも少額になるように調整することも可能です。不動産はあるが、金融資産がないという方でも、不動産を生前贈与することも可能です。

【贈与税の速算表(特例税率*)】

基礎控除後の課税価格200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
4,500万円
以下
4,500万円
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

*18歳以上の者が直系尊属(父母や祖父母など)から贈与を受けた時に使用

※2024年8月末時点

画像出典:国税庁

生前贈与の注意点

このように相続税対策に有効な生前贈与ですが、いくつか落とし穴もあるので注意が必要です。

まず上述の「贈与は、『当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思表示をし、相手方がこれを受諾すること』によって成立する」とあります。よく見られるケースとして、「贈与された側が贈与をされている事実を知らなかった」ことがあります。例えば、子ども名義の通帳に毎年110万円ずつ親が入金していたが、親の死後、通帳の存在が判明するケース。こちらは全て相続税の対象となってしまうため、ちゃんと子どもが管理している通帳(口座)に振り込んであげると良いでしょう。さらに、「贈与された側が贈与をされている事実を実際に把握している」ことを明確にするために、「贈与契約書」を作成しておくと尚良いとされています。

次に、定期贈与についてです。年間110万円以内であれば贈与税はかかりませんが、例えば10年間毎年110万円を贈与する約束をしている場合、それは1年ごとに贈与するのではなく、最初の年に1,100万円を贈与したと見なされることがあります。この場合、1,100万円に対して贈与税がかかるため注意が必要です。

また、相続開始までの一定期間内に行われた贈与は、相続時に相続財産に加算され、相続税の対象となります。令和5年までに贈与される財産については、相続開始前3年以内に行われた贈与が相続税の対象になります。令和6年以降に贈与される財産については、相続税の対象になる期間が順次延長され、最終的には相続開始前7年以内に行われた贈与が相続税の対象になります。そのため、当項目で最初に申し上げましたが、生前贈与は早めに始めることが重要です。

おわりに

相続税対策として、不動産を活用した方法や借金をつくる方法、法人を設立するなど様々な方法もありますが、今回は比較的簡易な2つの対策を紹介しました。相続税対策は自分には関係ないと高を括らずに、一度見つめなおしてみるのも良いのではないでしょうか。

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