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7,000超の島、フィリピンってどんな国?その歴史が生み出す多様な文化と独自の経済をご紹介

2024/07/22

知恵のハコ

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フィリピンと言えば何を思い浮かべますか?きれいな海?それとも語学留学に人気な国?
フィリピンには7,000超の島々があり地域に根付いた文化と、アジアにありつつもその歴史を背景に、イスラム、スペイン、アメリカなど様々な文化が入り交じり、独自の経済発展をしてきました。例えば、スペイン統治時代の影響は、フィリピンにカトリック教徒が多いことやスペイン料理の影響が見られることで現れています。また、アメリカ統治時代には英語が公用語となり、現在でもフィリピンで英語が広く使われています。本記事では、フィリピンの歴史を解説した上で、独自の経済や文化についてご紹介します。

フィリピンの基本情報

世界銀行統計によると、2022年時点でフィリピンの人口は1億1,555万9千人にのぼり、世界13位です。また、平均年齢が20代と若く今後も人口ボーナス期が続くとされており、経済成長への期待が大きい国の1つでもあります。言語は、国語はフィリピノ語(タガログ語)、公用語はフィリピノ語および英語ですが、180以上の言語が使われています。
宗教は、国民の83%がカトリック、その他のキリスト教が10%。イスラム教は5%となっており、ASEAN唯一のキリスト教国である一方、南部では今なおイスラムの色が濃いなど独自の文化が育まれています。そして、その理由にはフィリピンの歴史的背景があるのです。

フィリピンの基本情報

フィリピンの歴史

フィリピンの歴史は、➀スペイン統治以前(紀元前~1521年)、②スペイン統治時代(1521〜1898年)、③アメリカ統治時代(1898〜1946年)、④独立以後(1946年以後)に大別できます。

➀スペイン統治以前

フィリピンは紀元前に東南アジアの少数民族で狩猟や採集を得意とするネグリト民族と農業や漁業を得意とするマレー系民族が定住したことからその歴史が始まります。その後も、中国・インド・イスラム商人などがフィリピンに住むようになり、貿易や交流を盛んにすることでそれらの国々の文化やイスラム教などが伝わったとされています。
フィリピンは「バランガイ」と呼ばれる親族ほどの少人数単位に分かれ協力や争いを繰り返していたため、統一された国家という単位は存在していませんでした。そのため、7,000超の島々からなるフィリピンには今も多様な文化や180以上の言語が残っているのです。

②スペイン統治時代

1521年にマゼランがフィリピンに到着し、1565年にスペインによる植民地化が始まり初めてフィリピンは統一されました。300年間以上のスペイン植民地化を経験したため、今でもその影響を日常生活で垣間見ることができ、キリスト教国であるだけでなく、パエリア等のスペイン料理も根付いていたりします。

③アメリカ統治時代

1898年にはスペイン-アメリカ戦争が終わり、フィリピンはアメリカの統治下に置かれることになりました。1901年には公共教育が開始され、英語が教育言語として利用されるようになりました。そのため、フィリピンでは今でも英語が公用語として利用されています。

④独立以後

1946年に独立したフィリピンは共和国として、現在に至ります。土着文化をもちつつも、スペインがもたらしたヨーロッパ文化の象徴であるカトリック教会がたち、アメリカ文化を代表する近代的な学校校舎も立ち並んでいます。中でも、約350年のスペイン統治時代の文化と伝統は、言語をはじめ今もなお国民の日常生活に根強く残っているのです。

フィリピンの歴史

フィリピンの経済成長、産業構成

フィリピンの2023年の経済成長率は+5.6%と周辺国と比較しても高い水準にあります。政府目標の6~7%は達成できませんでしたが、フィリピン経済が高い成長をたどっていることが分かります。
フィリピンの経済成長は、主にBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)産業や鉱工業、農林水産業などに支えられています。企業が自社で行うのではなく外部の専門企業に委託する、その担い手となるBPO産業ではコールセンターやITサポートなどのサービスが提供され、英語が公用語の1つであることが、フィリピンがBPO産業をけん引する存在である理由の一つとなっています。
鉱工業では電子機器の製造や鉱物資源の採掘が盛んです。また、農林水産業ではココナッツやバナナなどの果物や米などの農作物の生産が主要な産業となっており、これらの産業がフィリピンの経済成長を支えています。

また、フィリピン経済を語るうえで、海外移民送金の文化は避けて通れないでしょう。
1,000万人を超える海外フィリピン労働者(OFW)が世界各地で働いており、彼らからの送金がGDPの約1割を支えています。これらの送金は、国内経済の安定と成長に貢献してきました。
フィリピンの人は「助け合い」精神にあふれていますが、この自国に送金というのも助け合いの心を持つ国民性の表れかもしれません。

フィリピンの課題と可能性

一方で、急激な経済成長に対して貧困問題などの課題も数多くあります。交通インフラ等の仕組みが整っていないなどの理由で首都圏と地方との賃金格差が広がっています。都市部においても、労働力があふれ、都市部周辺の農村部には働き口を得られなかった多くの貧困層が暮らしている状況です。また、自然災害への適応力も大きな課題の一つです。

そこでフィリピン政府は、経済成長を促進するために大規模なインフラ投資を行っており、これには交通網の拡張、電力供給の安定化、水資源管理、情報通信技術の強化などが含まれます。
インフラの充実は、特に都市と地方の格差の解消、自然災害への対応能力の強化、そして経済活動の地域間の均衡化にも貢献するでしょう。また、インフラが充実すれば付加価値の高い仕事の提供機会が増え、海外労働者にも彼らのスキルに見合った待遇を国内で提供することができるようになるなど、経済全体の発展を促す重要な役割を果たことも期待されます。

フィリピン独自の文化

農林水産業が盛んなフィリピンではスペインやアメリカ、中国などの食文化の影響も受けており、豊富で個性的な料理が多くあります。
まず、フィリピンのファストフードといえば、Jollibee(ジョリビー)。17の国に1,500店舗以上展開するフィリピン最大のファストフードチェーンです。フィリピンにおいてJollibeeはマクドナルドの2倍近く店舗があるそうです。メインメニューはハンバーガーとフライドチキン等ですが、ライスやスパゲッティなどボリュームのあるセットメニューもあります。

フィリピン独自の文化

また、主食は米で日本人にも馴染みやすい料理が数多くあります。フィリピンで代表的な料理をいくつかご紹介します。

レチョンバボイ

豚の丸焼きで、誕生日やクリスマスなどお祝い事に用意されます。豚のお腹の中にレモングラスなどの香草を詰め、全身を串刺しにして一日かけて炭火の上で焼き上げて作ります。
丸焼きのためインパクトが大きく、初めて見る人はびっくりするかもしれませんが、外の皮はパリパリとした食感を楽しむことができ、中のお肉は脂がのっており、ぱさぱさすることなく非常にジューシーなため筆者の大好物です。

アドボ

フィリピンの代表的な家庭料理で、肉や魚を主な材料とし、酢、醤油、ニンニク、胡椒等に漬け込んだ煮込み料理です。スペイン植民地時代に、フィリピン人が酢を使って料理しているのをスペイン人が見て、酢につけるという意味の「アドバール(adobar)」と呼んだのが名前の由来であり、地域ごとに具材や味付けにバリュエーションがあるそうです。

アドボ

シシグ

写真の左に見える、豚肉に胡椒や醤油、ニンニクなどで味付けをして炒めた鉄板料理です。ルソン島という首都マニラがある、フィリピンで最も面積の大きな島の中部パンパンガ州の名物料理です。

シシグ

シニガン

フィリピンの伝統的なスープで、野菜とエビをベースに煮込み、タマリンドで味付けした酸味のあるスープで、肉類や魚介も使います。

いくつかご紹介しましたが、フィリピン料理はしっかりとした味付けで、甘酸っぱい料理が多いのが特徴です。また、島国のため魚介類を使った料理も数多くあります。さらに、新鮮な果物も醍醐味といえます。
また、地域ごとのローカル料理を食べてみたり、アドボのように同じ料理名で地域ごとに食べ比べをしてみたりするのも旅の楽しみかもしれませんね。

さて、フィリピンの人は歌やダンスが好きで陽気な方が多いです。特に、お祭り「フィエスタ」を盛大に行う風習があり、その代表的な物が「シヌログ・フェスティバル」と呼ばれるセブ島のセブシティで毎年1月の第3日曜に開催されるお祭りです。
今から460年以上前、マゼラン一行によってキリスト教がもたらされたセブで希望と幸福への祈りの一環として始められました。カトリックのサント・ニーニョ教会に飾られているサント・ニーニョ(幼きイエス)をお祝いするお祭りで、サント・ニーニョ像を抱えたダンサーたちが、軽快なドラムに合わせて踊るストリートダンスは圧巻で、民族衣装やメイクアップにも注目です。
フィリピン最古の教会の一つであるこの教会には、マゼランが持ち込んだといわれる本物の像がおさめられており、すぐそばにあるサント・ニーニョ教会博物館では教会の歴史も学ぶことができます。

フィリピンの民族衣装

さらに、筆者は趣味でフィリピンの民族舞踊を嗜んでいますが、非常に種類が豊富で部族の数だけダンスの種類があると言っても過言ではありません。宗教や建物、食だけでなく踊りもスペイン文化の影響を多大に受けており、フラメンコのようにカスタネットを鳴らしながらカカトを踏み鳴らすダンスもあります。
フィリピンのダンスというと日本では2本の竹の間を跳ぶバンブーダンス(ティニクリン)以外はあまり知られていないようですが、フィリピン民族舞踊は大きく5つのグループに分けられます。
➀陽気に楽しく、お祭りを祝う「バリオ・フィエスタ(Barrio Fiesta)」、②スペインの影響を受けた優雅で華麗な「マリア・クララ(Maria Clara)」、③フィリピン諸島南部ミンダナオ島に住むムスリム(イスラム教徒)に伝わる神秘的な「ムスリム(Muslim)」、④ルソン島北部山岳地域に住む民族の踊り「コルディリェラ(Cordillera)」、そして、⑤その他の少数民族の踊り「トライバル(Tribal)」と、一口に民族舞踊と言っても多岐にわたり見ても踊っても飽きることがありません。 マニラには、フィリピン民族舞踊ショーを見ながらディナーを楽しむことができる、日本人に人気なレストランもありますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

魅力あるフィリピンの今後に期待

いかがでしたでしょうか。フィリピンの歴史と経済、文化についてご紹介しました。
個人的には、経済発展をする中で特にインフラ整備がすすめば、より様々な地域に旅をしやすくなり、多様な文化を肌で感じることができるようになると期待しています。
ただ、注意したいのはフィリピンでは時間に少しルーズな一面があることです。それも文化の一部と言えばそうなのですが、ぜひフィリピンを旅するときには、時間に余裕をもったスケジュールを立てておくことをおすすめします。

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