タイってどんな国?~経済発展を象徴する建物と歴史的な寺院が両立する独特な魅力~
2024/02/09
タイは日本人にとって最も馴染みのある国の一つで、観光やビジネスで訪れた方も少なくないと思います。日本と比べて物価は安く、温暖な気候で発展途上国、笑顔あふれるタイ人、美味しいタイ料理やマッサージなどが魅力、などといった、昔ながらのイメージを持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
筆者はこの2024年1月にタイ、バンコクを訪問しましたが、現在のバンコクは古い寺院や宮殿と50~80階建てのスタイリッシュな高層ビルや大型のショッピングセンターなどが立ち並び共存する、独特な魅力のある街並みとなっていることに驚き、筆者自身タイに対するイメージを改めることとなりました。
本記事では、こうしたタイの魅力や歴史、現在の経済状況などについて紹介していきます。
タイの基本情報
タイは正式名称をタイ王国と言い、2016年に即位したラーマ10世が治める立憲君主制の国です。東南アジアに位置しており、ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアの4ヵ国と国境を接しています。タイの地理は多様で、北部は山々が広がり、南部は美しいビーチとトロピカルな島々があります。中央部には、メコン川やチャオプラヤ川などの重要な河川が流れバンコクを含む肥沃な平野が広がっています。
タイの人口は約6,600万人で、タイ族の他に華人やマレー族など多様な民族グループが暮らしています。主要な言語はタイ語ですが、筆者が訪れたバンコク中心地のホテルやショッピングモール、駅、繁華街のレストランなどでは英語や一部日本語も通じました。
首都はバンコクで、人口は約550万人です。バンコクはタイの政治、経済、文化の中心地であり、国内外から多くの観光客やビジネスマンが訪れます。その街並みは前述の通り、高層ビルやモダンなショッピングモールと古い寺院や宮殿が共存しており独自の魅力を持っています。
タイの国旗は水平に赤、白、青の3色5本のストライプで構成されています。
赤は国家と国民を、白は建国神話に登場する白象に由来し、仏教への信仰心を意味しています。中心の青はタイ王室の色で、赤と白のストライプの倍の幅があります。
国名 | タイ王国 |
---|---|
面積 | 約51.4万平方キロメートル(日本の約1.4倍) |
人口 | 約6,609万人(2022年) |
首都 | バンコク |
言語 | タイ語 |
宗教 | 仏教94% イスラム教5% |
通貨 | バーツ |
出所:外務省 |
タイの歴史と経済発展
現在では先進的な建物も多数立ち並ぶ大都市として成長してきたタイですが、今も街中には数多くの寺院や祠が存在し、郊外には古代都市の遺跡が残るなど、生活の端々でその歴史を感じ取ることができます。
王朝としてのタイの歴史は、13世紀頃から始まります。最初の政治的な形態は都市国家であり、その後、諸王国の連邦体制が形成されました。タイの地域は、その後何世紀にもわたっていくつかの王朝によって支配されてきました。その代表的な王朝の一つが「アユタヤ王朝」です。
アユタヤ王朝は14世紀中ごろに成立し、チャオプラヤ川の恵まれた立地条件を背景に、周辺の農村や森林地帯から集積する物資の交易拠点として繁栄、約400年にわたりタイを統治しました。しかしながら、18世紀中ごろに隣国ビルマ(現ミャンマー)との戦争に敗れ、街を破壊されたことでその歴史に幕を閉じました。
現在アユタヤの街の一部は歴史公園として整備され、巨大な涅槃像や苔むした仏塔などの遺跡から、当時栄華を誇ったその古都の壮大さをうかがい知ることができます。
アユタヤ王朝(14~18世紀)の後、トンプリー王朝(1767年~1782年)、そしてチャックリー王朝(1782年~)と現在に至ります。
またタイ経済について、産業構造をみると1950年代は第1次産業(農業など)と第3次産業(サービス業など)がそれぞれGDP全体の約4割を占める経済の柱となっていました。しかし足もとでは第3次産業が約6割、第2次産業(工業など)が約3割を占め、第1次産業は約1割に低下しており、工業化とサービス化が進展した構造にシフトしています。
特に日本を含む世界の製造企業のタイ進出により工業化が進展した1990年代は、タイの経済成長率は年率10%前後まで高まりましたが、1997年にアジア通貨危機が発生するとタイ経済は一時的に大きなマイナス成長に見舞われました。
2000年以降、アジア通貨危機を乗り越えて経済成長率は年率5%程度に回復しましたが、2004年のスマトラ島沖地震、2008年の世界金融危機、2011年のタイ大洪水、また2014年の軍事クーデターなどの政治不安もタイ経済に影響を与え、経済が不安定となる時期が続きました。そして2020年には新型コロナウィルス感染症拡大を受け、タイ国内外の旅行制限やロックダウン措置などにより、経済の柱の一つである観光業がほぼ停止状態となったことで、経済成長率は世界金融危機以来のマイナスに落ち込みました。しかしながら、足もと観光需要も戻りつつあり、2021年以降、経済成長率はプラスを維持しています。なお、タイ政府は2023年の外国人旅行者数の目標を2,800万人と設定しています。この数字はコロナ前実績の約4,000万人(2019年)には追い付いていませんが、現地では既に活気に満ちた様子が伺えました。
タイの現状
上記の通り、まだ外国人旅行者数自体はコロナ前の水準を完全に回復するには至っていませんが、筆者が訪れた現地の市場やショッピングセンターなどは賑やかであり、現地の方や外国人が行列を作っているお店などもありました。
最も賑やかだと感じたのはメークロン市場です。バンコクから約70㎞離れた郊外にある地元民向けの市場ですが、運行中の鉄道路線上にある珍しい市場として観光客も押し寄せます。バンコクから車で1時間半~2時間程ですが、筆者はローカル線を乗り継いで訪問しました。
市場の真ん中を電車が通過するため、電車が市場に近付くと各商店が線路にはみ出た日よけ傘や商品を次々に店側にしまい込み、電車が通過するとまた傘を開いて商品を出し、通常営業に戻るという光景を見ることができます。筆者は電車に乗って向かいましたが、商店の脇に沢山の観光客がおり、線路スレスレで皆カメラを持ち電車を待ち構えている様子がとても印象的でした。
ショッピングセンターも賑やかです。アイコンサイアムという2018年11月に開業したタイ最大級のショッピングモールを訪れましたが、高級ブティックに吹き抜けの天井から流れる滝、屋台街が丸ごと入ったようなフードコート、圧巻の噴水ショーなど、日本では考えられないような規模とエンターテイメントがあり、まるでテーマパークのような施設で多くの人たちで賑わっていました。
また、タイでは観光客の足を支えるタクシーも便利に利用できます。 筆者はタイ語はおろか英語も満足に話せる訳ではないため、海外旅行でのタクシー利用はハードルが高い認識でしたが、タイで普及している配車アプリを使えば、ほぼ自動的に目的地へ連れて行ってもらえました。アプリ上で目的地を設定するとその場で所要時間と料金目安が提示されます。決定すると、自分のいる場所までアプリに登録している近隣の車が配車されますが、運転手には既に目的地情報が伝わっているため、何も言わずとも行きたい場所まで連れて行ってもらえます。また、料金を騙し取られることもなく、アプリ上で提示された額をそのまま現金もしくはアプリで登録したクレジットカードで支払って終わりです。
ただ、バンコク中心地は非常に交通量が多く、車だと渋滞にはまり移動に時間かかることも少なくありません。そのため、“車タクシー”以上に“バイクタクシー”が多く走り回っています。現地の方達はバイクの後ろに乗り、スマホを操作したり電話をしたりと器用に使いこなしていましたが、筆者が乗車した際は振り落とされないことに必死で大汗かきながら何とか目的地に連れて行ってもらいました。バイクタクシーは車の間を高速ですり抜けるため、膝を車のミラーなどにぶつけないかどうか、また客はヘルメットが無いため路上に落下した時のことを想像し、非常に怖い思い出となりました。
最新のテクノロジーやサービスの導入もある一方、安全面での対応が見合っていないアンバランスな面もありますが、ガパオライスやカオソーイ、ブーパッポンカリーなどの非常に美味しい食事に、先進的な建物と古く荘厳な寺院が両立する街並みなど多くの魅力もあります。タイはこれからも世界中から観光客が訪れる国であり続けると確信しています。
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