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インフレに強い銘柄は?株式投資の心得を知ろう!

2023/07/07

知恵のハコ

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2023年に入り、世界に続き日本でも、日々の生活でインフレが意識され始めています。長年、デフレ状況に慣れてきた日本人にとって、インフレ環境そのものが久しぶり、あるいは初めてで戸惑っている方もいらっしゃるかもしれません。ましてやインフレ下での資産運用となると、全くイメージが沸かないのではないでしょうか。そこで今回は、インフレ時の資産運用、特に株式投資を考えるうえで知っておくべきポイントを確認し、インフレに強い銘柄とは何かを掘り下げていきたいと思います。

そもそも、インフレとは?

インフレとはインフレーション(Inflation)の略で、モノやサービスの価格が上昇する状態が続くことです。
インフレが与える影響を、企業サイドから見てみましょう。企業はモノやサービスの販売価格の上昇で儲かり、社員の給料が増えると想定されます。そうなれば、消費者という立場になっても物価上昇による生活費の増加を給料アップで吸収できるため、もっと商品を買うようになります。企業は商品がたくさん売れて儲かる…というサイクルにより、景気は良くなってきます。つまり、一般的にインフレは、それぞれの企業が利益を上げることで、その国の「景気拡大、経済成長」をもたらすのです。

インフレと景気拡大のイメージ

インフレは2種類

実は、インフレには2種類、「良いインフレ」と「悪いインフレ」があります。
「良いインフレ」とはディマンドプル・インフレと呼ばれます。先ほどご説明した、企業の利益が増え、消費行動の拡大が景気に好循環をもたらす、いわゆる需要拡大によるインフレは「良いインフレ」だと言えます。
一方で、「悪いインフレ」はコストプッシュ・インフレと呼ばれます。販売価格上昇の前に原材料費や人件費が上がるため、利益拡大が企業のコストの増加に追い付かずマイナス効果となり、景気悪化を招きかねません。どちらのインフレが資産運用・株式投資にとって良い環境でしょうか。やはり、インフレが好景気を招き経済が成長していく「良いインフレ」の時だと思われます。一方、「悪いインフレ」の時は株式投資にはネガティブということでしょうか?

株式投資で利益を上げる方法

ここで、株式投資で利益を上げる方法をおさらいしておきましょう。それは、「株を安く買って高く売る」ことです。当たり前ですが、これが意外と難しいのです。何故なら、どの銘柄を買えば値上がりするのかを見極めることが重要となり、その見極めが難しいからです。例えば「良いインフレ」の状態で、景気好調で株価にも追い風になるような投資環境であれば、多くの銘柄が上昇すると考えられ、値上がりする銘柄の見極めは比較的容易と言えるかもしれません。
では「悪いインフレ」時にはすべての銘柄が値下がりするかというと、実はそういうわけではありません。初めにご説明したように、企業が商品を販売して儲かる、という仕組み、その仕組みが「悪いインフレ」時でも通用すれば、企業は利益を拡大させることで株価上昇に寄与できると思われます。

インフレに強い銘柄とは?

投資家からすれば「良いインフレ」「悪いインフレ」どちらの状況下でも、将来的に値上がりが期待できる銘柄に投資したいですよね。言い換えれば、どんな投資環境でも利益を伸ばすことができる銘柄を見極めて投資したいということです。
では、企業の利益はどうすれば伸ばすことができるのでしょうか。

企業の利益イメージ

企業の利益構造をみると、「売上」から「コスト」を引いたものが利益となります。分かりやすいですね。つまり、インフレでコストが上がったとしてもそれ以上に売上を伸ばすことができれば、利益を上げられるということです。
売上を伸ばすことができるのはどういう企業なのでしょうか。ここでは二つの例を見ていきたいと思います。先ずは、インフレ下でも販売価格を上げることができる企業です。キーワードは「値上がりしても買いたい」です。通常、インフレでモノの価格が上昇すると、消費者心理としては「高いから前より買う頻度を落とすしかないな」とか「セールが来るまで待とうか」など、値段に納得できず消費にしり込みすることもあろうかと思います。
そうした消費者心理にも関わらず、これだけはどうしても「買いたい」と思わせるブランド力などがあれば、価格を上げても売り上げを伸ばし、コスト増にも対応できるのです。 そういう企業の例として、ある有名なテーマパークを思い出してください。日本では長らくデフレが続いてきましたが、そのテーマパークは開園以来、チケット価格の値上げを続けてきました。にもかかわらず入場者は増加し、売上高も概ね右肩上がりを続けています。これは、同社が新しいアトラクションやサービスを生み出すなど、チケット価格が上がっても消費者をひきつける努力を常にしてきたことも要因ですが、「例え値上がりしても行きたい」と思わせる強いブランド力が土台にあるからでしょう。
次に、販路の拡大を実現して売上を増やすことができる企業についてです。キーワードは「日本から世界へ」です。ある、日本のファストファッションをけん引する企業は、国内のみならず海外にも店舗を拡大し、さらに新しい独自のブランド展開をすることでも、新たな需要を生み出しています。販売価格以外の手段でコスト上昇分を帳消しにするため、販売するエリアを拡げることで売上全体を伸ばすやり方と言えます。
「悪いインフレ」、つまりコスト増が先行するインフレ環境でも、経営努力や戦略によって売上を伸ばすことができる企業は存在しています。企業がどのような利益拡大に向けた施策を行っているかも、インフレ下において株式投資を成功させる重要なポイントだと言えるのではないでしょうか。

インフレに強い銘柄とは?

インフレ環境下における株式投資の心得

最後に今回のテーマである、インフレ環境下における株式投資についてまとめます。

  1. ① 一般的にインフレは、企業利益の拡大によりその国の経済成長をもたらすプラスの効果があること。
  2. ② インフレには2種類あり、需要増によるインフレは企業にプラス、コスト増によるインフレは企業にマイナスになりやすいこと。
  3. ③ コストが先に上がってしまうインフレ環境おいても、ブランド力や販路拡大により、コストの増加以上に売上を伸ばすことができる企業は存在すること。

ところで、日本でも2023年に入り急速に意識され始めたインフレは「良いインフレ」なのか「悪いインフレ」なのか。どちらに進んでいくのでしょうか。どちらになったとしても、株式投資で大切なのは企業価値の成長を見極めることです。インフレという投資環境においてもその考えは変わりません。インフレと株式投資の関係を理解し、冷静に銘柄を選ぶことが大切です。そのうえで改めて資産運用に前向きに取り組んでいただければと思います。

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