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アイスランドってどんな国?~日本も学ぶべき自然エネルギー大国~

2022/10/07

知恵のハコ

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アイスランドは北欧にある島国で、溶岩の台地や氷河など他の国ではあまり見られないような自然環境に恵まれています。また、温泉やオーロラなどの観光資源もあることから、旅行先としても人気がある国の一つです。本記事では、そんなアイスランドの概要や経済、産業の他、豊かな自然エネルギーをどのように活用しているか、そして日本との繋がりについてご紹介していきます。

アイスランドの基本情報

アイスランドはヨーロッパと北米大陸の間に位置しており、北海道よりやや大きい面積を有する北欧の島国です。この国の中には大小合わせて130ほどの火山(休火山含む)があると言われており、人口のほとんどは沿岸部に集中しています。最近では22年8月にも首都レイキャビク近郊で火山が噴火したとの報道もあるなど、数年に一度は噴火に見舞われているようです。
一方で、アイスランドではその地熱を発電に活用しており、地形を活かした水力発電等も加えると、国内電力のほぼ100%を自然エネルギーにより賄っています。また、地熱発電所からの温水をパイプラインで各所に運ぶことで、道路の凍結を防ぎ、都市部の暖房や給湯、野菜や果物の温室栽培に活用するなど、火山の恩恵を受ける国です。

アイスランドってどんな国?~日本も学ぶべき自然エネルギー大国~

国旗は青色をベースとして、北欧諸国で多く見られる“スカンジナビアクロス”が描かれています。ベースの青はアイスランドの海と空を表し、アイスランドの国民色でもあります。白は氷河と雪原、赤は火山を象徴しているとのことです。

アイスランドってどんな国?~日本も学ぶべき自然エネルギー大国~

国名 アイスランド共和国
面積 10.3万平方キロメートル (北海道よりやや大きい)
人口 約36万人(2020年1月)
首都 レイキャビク
言語 アイスランド語
宗教 福音ルーテル派(人口の約8割)
通貨 アイスランドクローナ

アイスランドのはじまり

アイスランドは西暦870年代にノルウェーのヴァイキング、インゴルフル・アルナルソン(Ingólfur Arnarsson)に率いられた一族が入植したことから始まると言われています。インゴルフルがアイスランドを海から見た時に、煙(温泉の湯気)が見えたことから、その地を煙たなびく湾(アイスランド語で“レイキャビク”)と名付け、移住したとされる場所が今の首都につながっています。
また、アイスランドでは930年頃より全島のヴァイキングが集まり、法の制定等を行うアルシングという政治集会が行われるようになりました。これが世界最古の議会と言われています。当時、国家といえば王様や皇帝がいないと成立しないと考えられていましたが、アイスランドに移住した経緯として、国王の圧政から逃れてヴァイキングとなり、アイスランドに定住することになった人々が多くいたことから、こうした体制が出来たそうです。

日本とのつながり

日本とアイスランドは1956年に外交関係が開設、以後両国関係は順調に推移し、2016年には60周年を迎え、双方の議員団が両国を表敬訪問して親善を深める等の式典が催されました。その後も、地熱発電に関するフォーラムや農林・水産に関する会談など、特に環境や貿易に関する分野で連携の強化が図られています。
貿易では、日本からは自動車や電気機器等が主な輸出品目ですが、アイスランドからは魚介類など、対日輸出の約7割が水産物です。特に、日本で流通する「めぬけ(赤魚の切り身など)」や「ししゃも」はアイスランド産も多いので、近くのスーパーなど意外と皆さまの身近なところにアイスランド産の魚介類が並んでいるかもしれません。

アイスランドってどんな国?~日本も学ぶべき自然エネルギー大国~

アイスランドの経済・産業

アイスランドは天然資源に乏しく、1980年代までは産業のほとんどが水産業に依存する経済構造でしたが、90年代に入ると、スイスやルクセンブルク等を手本として金融立国を目指し、規制緩和や銀行等国営企業の民営化、ITインフラ整備等を行い、外資の誘致を積極的に進めました。
その結果、海外からの資金流入が活発化し、その資金が国内の不動産投資にも向けられ、建設ラッシュが始まり不動産価格の上昇等をもたらしました。海外からの資金流入の活発化により通貨クローナが上昇したことで、アイスランドでは海外投資が活性化し、また高金利国として世界中から預金を集めて運用を行うなど、経済構造が劇的に転換しました。2008年の金融危機前には金融・不動産業が国のGDPの約1/4、金融機関の資産規模はGDPの約10倍に膨らんだとされています。
そうした状況から、金融危機の発生により流入していた外資が一気に海外に流出したことで、アイスランドの通貨は大きく下落し、また不動産バブルも崩壊、国内には大量の不良債権が発生する状況となりました。金融機関は次々と破綻し、主要な銀行は国有化され、一時通貨の交換も停止される事態となり、最終的にはIMF(国際通貨基金)に支援を要請する状況に至りました。
クローナが大きく下落したことで、輸入物価は上昇しますが、一方で輸出や観光業が大きな恩恵を受けたことで、その後経済は順調に回復し、2011年にはIMFの支援を卒業、2012年には国債の信用格付が投資適格となるなど、急速な回復を遂げました。
現在のアイスランドは、引き続き水産業や水産加工業が経済において大きな比重を占めており、また、地熱や水力等の自然エネルギーによる発電を活かした金属加工業、豊かな自然を背景とした観光業等も順調です。
なお、アイスランドで用いられているクローナ硬貨は、タラやししゃも、カニなどアイスランドの豊かな自然の恵みがモチーフとなったデザインです。日本で目にする機会は乏しいかもしれませんが、見かけたら是非注目してみてください。

アイスランドってどんな国?~日本も学ぶべき自然エネルギー大国~

アイスランドの自然

アイスランドでは、豊かな自然環境を活かした観光業も主要産業の一つです。
アイスランドも四季があり、季節により楽しみ方も大きく異なります。夏には緑豊かな台地のハイキングや雪解け水による大瀑布、太陽が沈まない百夜などが魅力ですが、冬にもオーロラや氷河でのハイキング、氷の洞窟探検など、北極圏ならではの環境を楽しむことができます。
国名からとても寒い国と思われがちですが、近海を流れる暖流の恩恵を受けて年間で最も寒い1~2月でも首都レイキャビクの平均気温は0度近辺と日本の東北地方とそれほど変わりませんので、日本の防寒着でも十分通用します。

アイスランドってどんな国?~日本も学ぶべき自然エネルギー大国~

また、ブルーラグーンという世界最大級の露天温泉も魅力です。
水着で入るため温水プールと露天風呂が合わさったような施設で、青味がかった乳白色の水質が特徴的です。ラグーン内にバーが設置されており、お湯に入ったままドリンクを飲むことができるなどフォトジェニックで、空港からも近いためアイスランドの人気スポットです。
実は、このブルーラグーンの豊富なお湯は天然の温泉ではなく、隣接するスヴァルスエインギ地熱発電所が発電の際に取り込んだ地下熱水の排水を利用したものです。

アイスランドってどんな国?~日本も学ぶべき自然エネルギー大国~

アイスランドでは石油や石炭等の天然資源には恵まれなかった一方、国内に多数存在する火山のエネルギーを積極的に活用することで、自然エネルギー大国として地球環境にも優しい社会を築いています。
日本も世界有数の火山国ですが、2019年度時点の発電電力の内、地熱発電が占める割合はわずか0.2%に過ぎません。今後、化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトが進む中で、日本がアイスランドに学ぶ点は多数ありそうです。

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