成人年齢引き下げで何が変わる?トラブルを防ぐためには?
2022/04/15
成人年齢の引き下げによって親の同意なしでできることがいろいろ増えました。本記事では、そこにつけ込んで増えると予想される若者を狙った消費者トラブルをご紹介します。何に注意し、防げばよいのでしょうか?
成人年齢の引き下げとは?
2022年4月1日、約140年ぶりに民法が改正され、成人年齢が20歳から18歳へと引き下げられました。
近年、選挙権年齢が18歳と定められ国政に参加できるようになるなど、『大人』の定義に注目が集まっていました。OECD(経済協力開発機構)がまとめた2016年の調査結果によると、35の加盟国中で32ヵ国が成人年齢を18歳と定めています。世界的に見ると、実は18歳が主流なのですね!
こうした流れを受けて、日本でも明治時代以来続いた『大人』の定義が変わりました。2022年4月1日時点で18歳または19歳だった人は、晴れて成人となりました。17歳以下の人は、それ以降に迎える18歳の誕生日に成人となります。
何が変わるの?
では、成人年齢の引き下げによって実際に何が変わるのでしょうか。民法で定められている成人年齢には、「一人で契約をすることができる」という意味と、「親の親権に服さなくなる」という意味があります。成人すると自分が行う様々なことを親の同意なしで選択し決定することがきる、つまり「責任ある一人の大人として扱われる」ということです。
具体的には、携帯電話を契約する、ローン契約を結ぶ、クレジットカードを作る、金融機関の口座を開設するなど、親の同意を得なくても可能になります。また、一人暮らしの部屋を借りたり、単独で労働契約を結ぶこともできます。
一方で、飲酒や喫煙、公営ギャンブルなどに関する年齢制限は健康面や非行防止の観点から据え置かれ、20歳のままです。
〇成人になったらできるようになること(18歳~) | ×成人になっても変わらないこと(20歳~) |
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※上記は一例です。
※出所:政府広報オンラインをもとにアセットマネジメントOne作成
お金の管理も自己責任
新成人になると自分の責任で様々なことができるようになることがわかりました。その中にはお金が絡むこともたくさんあります。一例をご紹介します。
銀行口座の開設
親権者や未成年後見人は、未成年者本人の代わりに未成年者口座の残高確認や預金の預入・引出などを行う権利を有していますが、成人になるとともにこの権利を失います。このため、新成人名義の口座取引は、原則として口座名義人本人が行うことになります。住所などの届出事項が変わる場合は、口座名義人である新成人本人が所要の手続きをしなければいけません。
証券口座の開設
未成年でも親が子供名義で口座を開設して売買を行うことは可能ですが、親権者の同意を得る必要があります。成人になると、自分の判断で株式や投資信託などの取引ができるようになるのです。
NISA(少額投資非課税制度)の利用
税制優遇の制度であるNISAを利用できます。ただし、現在18または19歳の人は2023年1月1日から利用開始可能となります。これは、NISAの利用開始年齢が1月1日時点を基準としているためです。ジュニアNISAは2023年で終了することが決まっており、2024年以降ジュニアNISAにおける新規購入はできなくなりますが、既に利用している場合は、終了後も18歳まで非課税で金融商品を保有し続けることができます。ジュニアNISA口座を開設している人が18歳~20歳で2023年1月1日を迎える場合、自動的にNISA口座が開設されます。この際、一般NISAにするか、つみたてNISAにするか選択することが可能です。
潜むワナから身を守るには
自分の意思で決定できる可能性が広がることに伴い、危険も増えます。未成年の場合は契約に親の同意が必要で、もし同意なしに契約しても、民法で定められた「未成年者取消権」によってその契約を取り消すことができます。しかし成人するとその権利を行使できなくなるため、トラブル増加が予想されるのです。
「面白そう、簡単そう、少しくらいなら…」といった甘い誘惑は世の中に溢れています。法律上大人になったとはいえ、知識や社会経験が少ない新成人は騙しやすく格好のターゲットとなり、それをねらう悪徳業者は残念ながらたくさんいます。
<陥りやすい事例>
・SNSを通じたマルチ商法
・不利な条件での労働
・高額商品などの購入(ダイエット関連や健康食品、化粧品など)
・携帯電話や美容医療サービス(エステなど)の契約
・投資や暗号資産などの儲け話
・セミナーへの入会
・消費者金融からの借り入れ
それでは、未然に防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?陥りやすいパターンとともに見ていきましょう。
・知識や経験不足に付け込まれる
→契約は決して簡単にするものではありません。よく考えて周りに相談してから決めましょう。
・絶対に儲かる、今だけ限定といった口車に乗せられる/雰囲気に流される
→うまい話はそうあるものではありません。事前にきちんと確認しましょう。
・断りにくい状況に追い込まれる/「お金がない」を理由にすると借金やローン、クレジット契約を勧められる
→きっぱり断る勇気をもちましょう。そもそもどこかに連れていかれそうになったら怪しみましょう。
・万が一起きてしまったら…
→消費者ホットライン「188(いやや)!」に電話して相談してみましょう。成人でも不当な勧誘行為や詐欺、強迫などの場合は取り消しを主張できる場合もあります。(例:クーリング・オフ(一定期間内であれば契約を解除できる制度)や、消費者契約法(消費者と事業者の間の情報や交渉力の格差を考慮し、消費者を不当な勧誘や契約条項などから守る法律)など)
いかがでしたでしょうか。
“知らない”ということが何よりも一番のリスクです。何が危険なのかを理解していなければ注意することもできません。そのためには、成人してから気を付けるのではなく、小さい頃から親や友達同士、学校などで知識や経験値を増やして判断能力を養っていくことが必要です。
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