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【20代から考えるリタイアメントプランニング⑨】介護をざっくり知っておこう

2026/02/27

「20代から考えるリタイアメントプランニング」の第9回は、「介護」についてです。「まだ遠い先の話だと感じる」、「あまりイメージが湧かない」という方も多いと思いますが、介護は将来、誰もが関わる可能性のある重要なテーマです。今回は、20代の皆さんに知っておいてほしいポイントに絞って考えていきます。

介護と関わるのはいつごろだろう?

まず、介護と聞くと、「自分の介護」よりも「祖父母や親の介護」をイメージする方が多いかと思います。どの年代で介護が必要になる可能性が高いのでしょうか。【図表1】は、年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合を示したグラフです。
80代前半で約3割、 85歳以上になると約6割と、80代に入ると介護が必要な割合が急増することが分かります。高齢になると介護が必要になるイメージはあると思いますが、注目してほしいのは70代です。70代前半では約20人に1人、70代後半では約10人に1人が要支援・要介護認定者となっており、介護が必要になる可能性は実は70代から高まる傾向にあります。
また、「ヤングケアラー」という言葉も近年注目されています。内閣府男女共同参画局によると、2022年時点で30代以下の約50万人が家族の介護を担っています。「介護は自分とは関係のないこと」とは思わず、祖父母や親の介護に直面する可能性があることを理解しておくとよいでしょう。

【図表1】年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合(2025年8月)

【図表1】年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合(2025年8月)

(出所)厚生労働省「介護給付費等実態統計(令和7(2025)年8月審査分)」、総務省「人口推計月報(2025年8月確定値)」よりアセットマネジメントOne作成

介護保険制度とは?

次に、介護保険制度について見ていきましょう。介護保険制度とは、高齢者などが必要な介護サービスを受けるための公的保険制度です。40歳になると自動的に介護保険の被保険者となります。概要について、項目別にご説明します。

【図表2】介護保険の概要

【図表2】介護保険の概要

(出所)厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」よりアセットマネジメントOne作成

〇給付を受け取れるのはどんな時?

市町村から「要介護」または「要支援」の認定を受けた場合、給付を受けることができます。具体的には以下の通りです。

  • 要介護状態:
    自分だけで日常生活を送ることが難しく介護が必要な状態です。要介護1(立ち上がりや歩行が不安定・排泄や入浴に一部介助が必要)から要介護5(寝たきりに近い状態)の5段階に分かれています。
  • 要支援状態:
    基本的な日常生活は自立しているものの、状態の軽減や悪化の防止のために支援が必要な状態です。要支援1(日常生活はほぼ自立しているが、一部の動作に支援が必要)から要支援2(立ち上がりや歩行に一部介助が必要)の2段階に分かれています。

また、40~64歳の第2号被保険者が給付を受けるには、介護が必要になった原因が、末期がんや関節リウマチなど、16の特定疾病である場合に限られます。

〇どんな内容の給付が受け取れる?

介護保険で利用できるサービスは非常に多岐に渡り、一例を挙げると、訪問介護、デイサービス、施設入所、リハビリテーション、福祉用具貸与などがあります。制度の仕組みとしては、要介護1~5と認定された方が利用できるサービス(介護給付)と、要支援1~2と認定された方が利用できるサービス(予防給付)に分かれています。それぞれ利用可能なサービスが具体的に定められており、状況に合ったサービスが提供されます。例えば、予防給付では、生活機能を維持・向上させ、要介護状態になることを予防することを目的として、軽度者向けに内容・期間・方法を調整したサービスが提供されています。
また、在宅で受けるサービスについては、要介護度ごとに、介護保険で利用できるサービス費用の上限が定められています。目安として、要支援1では約5万円~要介護5では約36万円が 1か月あたりの上限となっています。

〇保険料はどれくらい?

40歳から介護保険料を支払う義務が生じます。会社員の場合は、健康保険と同様に事業主と加入者本人が半分ずつ負担します。ちなみに、令和7年度の全国健康保険協会(協会けんぽ)の介護保険料率は1.59%で、加入者本人の負担は約0.8%です。
65歳以降は原則公的年金から天引きされる形で毎月保険料を支払っています。保険料は所得に応じて金額が定められています。

介護保険制度は、将来の自分や家族を支える重要な仕組みです。複雑な点もありますが、20代ではざっくりとどのような制度なのか理解しておくのがよいと考えます。また、もし介護に関して相談したいことがあれば、お住まいの区市町村の窓口や地域包括支援センターに相談しましょう。

介護費用ってどれくらい?

最後に、自分のリタイアメントプランニングを考えるにあたって、介護費用を具体的に見ていきましょう。【図表3】の通り、住宅改造や介護用ベッドなどの一時的な費用については、「かかった費用はない」または「15万円未満」と回答した割合が約4割を占めています。一方で、平均額は47万円となっており、ケースによって費用に大きな差があることが分かります。
毎月の費用についても、平均は9万円ですが、幅広く分布しています。施設介護である場合や要介護度が重い場合は、より費用がかかる傾向があります。例えば、介護を行った場所別の平均費用をみると、在宅は5.2万円に比べ、施設では13.8万円と高くなっています。ただし、在宅介護の場合は家族に相当の介護負担がかかります。

【図表3】介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)(2024年度/2人以上世帯)

【図表3】介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)(2024年度/2人以上世帯)

(出所)生命保険文化センター「2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査」よりアセットマネジメントOne作成

介護費用は、要介護度や介護期間、利用する介護サービスなどによって、バラつきが大きく、具体的なイメージを持ちにくいものです。ただし、長期間の施設介護など、大きな金額が必要になる可能性を理解しておくことが必要です。

いかがでしたか。ここまで2回にわたり、老後にかかる費用として生活費と介護費用について見てきました。毎月の生活費の赤字や介護費用は、大きな負担となる可能性があります。そのため、現役時代から計画的な資産形成を始めることが不可欠です。次回は、これらの老後費用を踏まえ、老後資金を準備するための具体的な資産形成の方法について考えていきます。

(執筆: 五十嵐 さやか)

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