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中長期的な企業価値向上や持続的成長を促すエンゲージメントについて

中長期的な企業価値向上や持続的成長を促すエンゲージメントについて

アセットマネジメントOne株式会社
運用本部 責任投資部
チーフESGアナリスト 櫻本恵

ESGの重要性

1. 中長期視点のエンゲージメントの重要性

投資家である我々には、投資先企業やその企業の事業環境等に関する深い理解に基づいた建設的な目的を持った対話、つまりエンゲージメントを通じて、企業に対して「企業価値向上や持続的成長を促すことにより、顧客や受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る」という、スチュワードシップ責任の遂行が求められています。

ここで少し、企業価値向上や持続的成長のために企業が取組むべき環境や社会課題に、どのようなものがあるか思い浮かべて下さい。
環境課題であれば気候変動、水問題、生物多様性、廃棄物処理などが思い浮かび、社会課題であれば人権、ダイバーシティ、労働安全衛生、働き方改革などが思い浮かんだのではないでしょうか。
ここで問題ですが、皆さんが思い浮かべた課題全てに共通する点は何かわかりますか。
答えは、“常に改善が求められる終わりのない課題である”点です。ガバナンスは元々企業が存続する限り必要ですが、環境や社会に関しても常に新たな課題が発生し改善が求められ、終わりがありません。したがってESG自体が、企業が存続する限り対応していかなければいけない課題と言えます。

ところが、一般的に企業の業務執行に当っている役員は、長期的な視点が重要であることは理解していても、どうしても足元の業績向上・改善に向けた経営の舵取りに力点を置いてしまう傾向があります。
このように黙っていれば経営が近視眼的になってしまうことを防ぎ、中長期的な企業価値向上や持続的成長を図るエンゲージメントを通じて企業と一緒に考えていくことが、私共、投資家の重要な役目の一つであると考えています。

また、投資家の中には中長期的な企業価値向上には関心が無く、専ら足元の企業業績のみを重視する短期志向の運用や、もはや投資とは呼べない投機的運用を志向する者もいます。
しかし、パッシブ運用での保有を念頭に中長期視点を重視している当社の責任投資部では、あくまで世の中の持続可能な発展を目指すことを基本に据えて、これと整合的に中長期的な企業価値向上や持続的成長が図れるよう、粘り強く企業とエンゲージメントを行っています。

2. 責任投資部のESGエンゲージメントの視点

先程も触れましたが、投資家にはスチュワードシップ責任の遂行が求められています。したがって世の中の持続可能な発展が重要だと言っても、私共が企業に求めるのは慈善事業や社会貢献ではなく、あくまで中長期的な企業価値向上や持続的成長です。

そこで、世の中の持続可能な発展を図りつつ企業に中長期的な企業価値向上や持続的な成長を求めていくには、どのような視点でエンゲージメントを行うのがよいのでしょうか。
運用機関毎にいろいろ試行錯誤されていると思いますが、当社では分かり易く「リターンの観点」と「リスクの観点」からエンゲージメントを行っています。

「リターンの観点」とは、世の中の持続可能な発展に貢献しながら如何に自社の中長期的な企業価値向上や持続的成長を図っていくのか。言い換えれば、“社会課題の解決を如何に自社の収益獲得機会に繋げていくのか”という視点です。この視点はご存知の方も多いと思いますが、「競争戦略」の著者として有名なマイケル・ポーターのCSV(Creating Sheared Value : 共通価値の創造)と同じ考え方です。

「リターンの観点」に基づくエンゲージメントでは、どのような社会課題の解決に各企業がどのようなノウハウや技術を繋げることによってキャッシュフローを増加させようとしているのか、を主要な論点としてエンゲージメントを行っています。

一方、「リスクの観点」とは、“企業は持続的成長を阻害する可能性がある要因として、どのような環境課題や社会課題を認識しているのか。また認識している要因に対してどのような克服策を講じているのか”、という視点です。

「リスクの観点」に基づくエンゲージメントでは、既に顕在化している、あるいは今後顕在化する可能性がある環境や社会課題に伴うリスクを回避・低減することを通じて、如何に企業価値の向上を図るのか、を主要な論点としてエンゲージメントを行っています。

また、当社ではエンゲージメントに際して、2ステップで考えています。 日本には、良いことを行っても当たり前のこととして対外的に開示したがらない独特の精神風土があるため、環境や社会課題に関する取組みの情報が不足しがちです。このため、第一ステップでは基本的なESG情報の開示を促すことにより、ESG課題への取組みについて市場とのパーセプションギャップ解消(市場と企業との認識相違の解消)を図っています。 第二ステップは、ESG情報が十分開示されている企業との間では、中長期的な企業価値向上や持続的成長に大きく影響を与えるESG課題に焦点を絞って、「リターンの観点」、「リスクの観点」から議論を行っています。

対話が企業価値向上につながるイメージ

以下にお示ししたフローチャートは、環境省の「環境情報を企業価値評価に活用するための考え方に関する報告書」に記載されている重要な環境課題に関する建設的な対話を行うためのポイントを整理したものです。
当該フローチャートの「環境」を適宜必要に応じて「社会」と読み替えて頂ければ、「環境」のみならず「社会」に関する重要課題に関する建設的な対話を行うためのポイント整理にも利用できるものと考えています。

企業と建設的な対話を行うためのポイント

企業と建設的な対話を行うためのポイント

出所)環境情報と企業価値に関する検討会「環境情報を企業価値評価に活用するための考え方に関する報告書 」(2019年5月)に基づきアセットマネジメントOne作成

3. 最後に

言うまでもなく、エンゲージメントというものは一回限りで終わるものではありません。何度も繰り返し企業と対話し、少しずつステップアップしながら課題解決に近づけていくことが求められ、非常に手間がかかります。しかし投資先企業に中長期的な企業価値向上や持続的成長を促していくには、実は“急がば回れ”で、このような地道な活動が最も重要であると考えています。

アセットマネジメントOneが誕生して3年、“今後の企業価値向上に向けて貴重なアドバイスを頂戴し、非常に有難い。”との声も企業の皆様から多数頂戴するようになり、少しずつ手応えを感じているところです。
今後も、企業の価値向上を応援し、顧客や受益者の皆様にご満足頂ける最高のサービスをご提供できる様、精進してきたいと思います。

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