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クオンツ運用とは?その運用方法と運用モデルの開発プロセスにせまる

2021/01/26

ふやす

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みなさまはクオンツ運用という運用方法があることをご存知でしょうか。資産運用における現場のイメージは、アナリストなどが銘柄について綿密に調査し、腕利きのファンドマネジャーがその情報をもとに投資先の銘柄を選定してポートフォリオを構築していくことが一般的だと思います。しかし、クオンツ運用では、一般的にファンドマネジャーの判断ではなくデータに基づいて定量的に各資産に対する投資比率の決定や銘柄選定を行い、ポートフォリオを構築していきます。そのようなクオンツ運用とはどのような運用方法なのか、今回は運用モデルに着目してご紹介します。

クオンツ運用とは?

クオンツ運用とは、一般的に株価や業績といった企業に関するデータ、金利やGDP成長率、雇用情勢など経済に関するデータなどマーケットに関連するデータをもとに、統計学など高度な数学テクニックを使った運用モデルに基づき運用する手法をさします。運用モデルとは、上述したデータをもとにファンドの運用方針に基づき設定されたルールに従って、銘柄の入れ替え、各資産に対する投資比率の決定などを自動で行うシステムをさします。ルールの例として、「利益率の高い銘柄は投資判断を買いとする」、「ポートフォリオのリスクが一定の大きさで保たれるよう各資産の投資比率を調整する」などがあげられ、ファンドの運用方針によってそのルールは千差万別です。このように、クオンツ運用とはファンドの運用方針に基づいた運用モデルにより投資を行うため、ファンドマネジャーの裁量などがポートフォリオの投資比率に影響する余地は、通常の運用方法と比較して一般的に少ないという特徴があります。ただし、中には運用モデルに基づきファンドマネジャーが投資判断を行う運用方法もあり、こちらもクオンツ運用に分類されています。

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運用モデルはどうやって開発されるの?

次に、運用モデルとはどのように開発されていくのか、実際のプロセス(例)をご説明します。

① 

アイデアの考案

運用モデルとは通常、新ファンドを組成する際に策定された運用方針に基づき開発が行われます。そこで、策定された運用方針を守るため、どのようなルールを運用モデルに組み込むかアイデアを考えます。アイデアの源泉は様々で、最先端の投資理論を論じた学術論文、総合研究所や証券会社などが発行しているレポートなどからヒントになるものを探します。因みに、複数の資産に投資を行うバランスファンドは、学会などで研究・開発された理論を活用して組成されているものが多く、アカデミックの現場はアイデアの重要な宝庫になっています。これらを参考にアイデアを考えついた場合、次は実務で活用できるかを検討します。画期的な投資理論を見つけたとしても、それを実際に実務に落とし込めるかは大きな問題であり、どのように実用化させるかは運用モデルの開発における一つの腕の見せ所といえるでしょう。

② 

データベース、運用モデルの構築

次にマーケットのデータなどを取り込むデータベースの構築を行います。不具合なく頑健でありながら、データの変更などに柔軟に対応できるデータベースの構築はとても難しく、場合によっては1年を必要とすることもあります。運用モデルを開発する上で、その後の過程にも大きく影響する非常に重要な作業です。データベースを整備して基盤が整ったら、RやPythonなどのプログラミング言語を用いて、アイデアベースだった運用モデルを複数人で実際に構築していきます。ここでは、複雑なアイデアも正確に実現できるよう高度なプログラミング能力が必要とされます。

③ 

バックテストの実施

運用モデルが構築されたら、最後にバックテストという検証を行います。ここでは、運用モデルがアイデア通り正常に作動するか、想定通りの投資パフォーマンスを発揮してくれるか、条件を細かく分けて緻密に検証を行います。様々な角度から分析を行い、有効で実用性が高いと判断されれば晴れて実用化されます。

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運用モデルの開発はとても大変!

いかがだったでしょうか。実は、最初の段階で策定したアイデアが実用化できるか、商品として販売できるものなのかというのは、バックテストの検証結果に左右されます。そのため、運用モデルの調整を幾度となく重ねても検証結果に有用性が認められなかった場合、せっかく作ったその運用モデルはボツということになります。弊社のクオンツ運用を担当するファンドマネジャーの経験談では、100個の運用モデルを構築してその1つが活きればいいとのことです。運用モデルの開発というととてもダイナミックな作業をしているようにも聞こえますが、実際には根気と体力のいる緻密な作業なのです。また、みなさまの資産形成に貢献するためにも、クオンツ運用を担当するファンドマネジャーは常に最新の投資理論など勉学に励み実務に活用できるものはないか情報収集に努めています。

本記事を通して、クオンツ運用の背景について少しでも理解が深まれば幸いです。

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※上記は一例であり、すべてのクオンツ運用がこれにあてはまるとはかぎりません。

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