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投資信託を買う③:いくらが正解?正しい投資予算の決め方とは

2019/04/19

ふやす

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本シリーズでは、これから投資を始めようとしている方へ、投資信託の購入前、購入後にすべきことや注意点などを解説します。

第3回は投資の「目標金額と予算決め」についてです。

第2回で投資信託を買う手順を解説しましたので、おさらいしておきます。

① 投資の目的が明確にあるのであれば、それに向けた目標金額を決めておく
② 投資に回す予算を決める
③ どの投資信託を買うのかを決める
④ 予算の範囲でその投資信託をいくら買うのかを決める
⑤ その投資信託をどこの金融機関で買うのかを決める

今回はこのうち、①と②について掘り下げていきましょう。

目標を決めてモチベーションアップ

まず前回の繰り返しとなりますが、投資の目標金額は必ずしも決めなければいけないものではありません。とりあえず「老後のために1円でも多く資産を積み上げる」というもので全く問題ないわけです。

しかし、明確な目標とそれを実現するための金額を決めておくことは投資において、少なからずメリットがあります。

まず挙げられるのが、明確な目標があることでモチベーションが上がり、投資においてとても大切な「続けること」を達成しやすくなります。

例えば、「世界一周旅行のために200万円作る!」という目標を強く掲げれば、200万円を達成するまでは粘り強く投資を続けられるのではないでしょうか。

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一方、目標を決めることで投資を「止めること」も簡単になります。一般的に、投資において売却タイミングは購入タイミング以上に難しいと言われていますが、200万円という目標金額を決めることで「達成したら売却する」という非常にシンプルなルールが出来上がり、それを自然と実行できるのです。

目標金額を決めると投資方針も明確になる

さらに、目標金額を決めると事前の計画が立てやすくなります。

先ほどの例に当てはめると、200万円を作るために必要な投資期間、投資金額および投資利回りの組合せは以下の通りとなります。

  【200万円を達成するために必要な投資利回り(年率)】

  投資期間

投資金額

 5年6年7年8年9年10年
100万円 14.9% 12.2% 10.4% 9.1% 8.0% 7.2%
110万円 12.7% 10.5% 8.9% 7.8% 6.9% 6.2%
120万円 10.8% 8.9% 7.6% 6.6% 5.8% 5.2%
130万円 9.0% 7.4% 6.3% 5.5% 4.9% 4.4%
140万円 7.4% 6.1% 5.2% 4.6% 4.0% 3.6%
150万円 5.9% 4.9% 4.2% 3.7% 3.2% 2.9%
160万円 4.6% 3.8% 3.2% 2.8% 2.5% 2.3%
170万円 3.3% 2.7% 2.3% 2.1% 1.8% 1.1%
180万円 2.1% 1.8% 1.5% 1.3% 1.2% 1.1%
190万円 1.0% 0.9% 0.7% 0.6% 0.6% 0.5%

※上記利回りは複利利回りを表します。
※上記は計算結果を示したものであり、投資成果等を示唆・保証するものではありません。

例えば、投資金額100万円、投資期間5年で200万円を達成するためには年率14.9%の投資利回りが必要となります。これは明らかにハイリスクな投資を行わないと達成困難な数字であり、必然的に大きく損をする可能性も高まります。

目的が旅行資金のため、損した場合は「世界一周をあきらめて国内旅行に切り替える」などの変更が許容できるならハイリスクな投資に挑戦してみてもいいかもしれません。しかし、目的が子供の教育資金など、大きな損失を出すことが許容できない場合は、「投資期間を長く設定する」、「投資金額を増やす」など、計画を見直すべきでしょう。

このように、目標金額を決めておくことで、計画が現実的かどうかを事前に判断することができ、投資方針もある程度固めることができるのです。

ただし、ここで注意しなければならないのは、将来のリターンが不確定な以上、「必要な投資利回りをここまで引き下げれば確実に目標を達成できる」というラインはどこにも存在しないということです。

実際には事前に立てた計画をもとに投資を行い、計画を大きく下回っている場合は必要に応じて、「投資期間を延長する」、「追加資金を投入する」、あるいは「目標金額を引き下げる」などを行いながら、目標達成に向けて進んでいく必要があると考えられます。

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正しい投資予算の決め方とは

目標が決まったら投資予算を設定します。

予算設定というと「いくら投資に回すか」を最初に思い浮かべると思いますが、実は考え方は逆となります。

「いくら手元に残さなければならないか」

これが最優先に考えるべきことで、投資予算は「その残りのお金」となります。なぜなら、ここで決める「手元に残さなければならないお金」とは、生活が脅かされるような事態から自分や家族を守るための大切なものであり、それ以外で使ってはならないお金だからです。

突然ですが、1つ質問をします。

『「生活が脅かされるような事態」と聞いて何を想像しますか?』

  • 勤めている会社が倒産する
  • ケガや病気で長期入院する
  • 大災害が起こる

当然ながら、思い浮かべることは人によって様々でしょう。

続けて質問です。

『その事態が起こった時、生活が安定するようになるまでどのようにしてお金を確保しますか?』

お金の確保の仕方は多岐に渡るのでなかなか難しい質問だと思います。投資資産を売却するのもそのうちの一つでしょうし、保険金がおりることや、親の援助があてにできる場合もあります。

そういったことを想定しているうちに「最低限これだけお金が手元にあれば何とか食いつないでいけるだろう」という考えがまとまってくるのではないでしょうか。

その金額こそ「手元に残さなければならないお金」となります。

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人は想定外の事態に弱く、いざそれが起こった時、冷静にお金のやりくりをするのは難しいものです。繰り返しになりますが、その手元のお金は、自分や家族を守るための大切なものです。そのため、なるべく多くの事態を想定して備えておくことが大切です。

「一般的」は参考にならない?

投資を始めるにあたり、手元にいくらお金を残しておけばいいかについて、よく「手取りの○ヵ月分」や「貯蓄の〇%」などというフレーズを見ますが、ここまで、この記事でそういったフレーズが一切出てきていないことにお気付きでしょうか。

その理由は、どんなに説得力のある根拠があったとしても、数字そのものは「一般的」や「平均」という、自分ではない人を想定したものだからです。自分や家族を守るためのお金は、「他の人と同じだけ残していれば安心」というわけにはいきません。

ただし、数字は鵜呑みにできない一方で、その根拠は大いに参考になります。

「勤めている会社が倒産した場合を考えて、再就職までの無収入期間を食いつないでいけるように、手取り6ヵ月分のお金を残したうえで投資しましょう。」

例えば、「手取り6ヵ月分のお金」というのはあくまでも一般論に過ぎませんが、「勤めている会社が倒産すること」や「再就職までは無収入期間があること」を想定しておくことはとても重要です。そして、金額そのものは自分に当てはめて、自分で考える必要があります。

自分で納得して決めることが投資のコツとなる

投資においては、手元に残す金額を自分自身で納得して決めることがとても重要なポイントとなります。

なぜなら、「さまざまなリスクを想定し、それに備えて手元にお金を残している」という状態でいることが、投資で損失を出した時の心の拠り所になるからです。

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これは第1回でも触れましたが、長期投資においては高い確率で投資資産が大きく値下がりする場面に出くわすことがあります。そんな時、「もしもの時のお金は手元に残してある」という心の拠り所は「投資を続けること」への強い味方となってくれるでしょう。

正しく投資予算を決めることは投資信託を買うにあたり、最も重要な事項の一つです。

ぜひ、自分で考え、自分の納得できる「手元に残さなければならないお金」を設定してください。そして、設定した金額を持っていなかった場合は、無理して投資をしようとせずに、まずはその金額を貯めることに専念してください。

そうして正しく決めた予算で投資を始めることができれば、今まで何となく抱いていた投資に対する「危険」や「怖い」といったイメージも大きく改善されるのではないでしょうか。

(執筆:1級ファイナンシャル・プランニング技能士 佐藤 啓)

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