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投資信託を買う⑤:分散投資とは?投資初心者でもできる活用方法を解説

2019/08/14

ふやす

本シリーズでは、これから投資を始めようとしている方へ、投資信託の購入前、購入後にすべきことや注意点などを解説します。

前回から本シリーズのメインテーマである「投資信託の選び方」について取り上げていますが、今回は分散投資について解説します。

投資信託は分散投資を手軽に行うことができるツールの一つであり、分散投資と切っても切れない関係にあります。分散投資のメリットが分かれば投資信託の選び方に役立つため、投資を始めるにあたって、ぜひ理解していただきたい内容です。

分散投資とは?

分散投資とは投資先を一つに限定せず、複数の投資先に投資することをいいます。そして、その説明としてよく紹介されるのが有名な相場格言「タマゴを一つのカゴに盛るな」です。

これは、「タマゴを一つのカゴに盛ると、そのカゴを落としたときに全部割れてしまうかもしれないが、複数のカゴに分けて盛っておけば、そのうち一つのカゴを落としても、他のカゴに盛られたタマゴは無事で済む」ことを意味します。

相場格言「タマゴを一つのカゴに盛るな」(イメージ)

これを投資に当てはめると「一つの資産(銘柄)に集中投資すると、その資産の値下がりが投資資産全体の値下がりに直結してしまうが、複数の資産に分散投資すれば、そのうちの一つの資産が値下がりしても他の資産の値動きでカバーでき、投資資産全体の値下がりを軽減することが期待できる」といった説明になります。

しかし、これだけでは分散投資の本質を理解する説明として十分ではありません。その本質は、次に挙げる分散投資の三つのメリットを掘り下げていくことで理解できるようになります。

① 

投資資産全体の価値がゼロになる確率を下げる

② 

投資資産全体の運用効率を向上させる

③ 

投資アイディアの再現度を高めることができる

一つずつ見ていきましょう。

投資資産全体の価値がゼロになる確率を下げる

このメリットは比較的分かりやすいと思います。

資産価値がゼロになるケースの代表例として国や企業の破たんなどが挙げられます。長期においては、財務が健全な国や企業であっても破たんしてしまう事例が少なくありません。

単一の資産に投資した場合は、その資産価値がゼロになると、投資資産全体の価値もゼロになってしまいます。しかし、複数の資産に分散投資した場合は、全ての資産の価値がゼロにならない限り、投資資産全体の価値はゼロになりません。

一度価値がゼロになってしまったらもう取り返すことはできないため、分散投資がそれを回避する有効な手段であることは大きなメリットと言えるでしょう。

破たん(イメージ)

投資資産全体の運用効率を向上させる

運用効率とは「どれだけ安定的に高い利益が得られるか」を表し、同じリスクならよりリターンが高い方が、同じリターンならよりリスクが低い方が「運用効率が良い」とされています。

分散投資を行うことでなぜ運用効率を向上させることが可能なのかと言うと、それは各資産が異なる値動きをするからにほかなりません。

ここでは分かりやすく、リターンが同じ資産を例に考えてみましょう。例えば、以下のような値動きをする資産Aと資産Bがあるとします。

各資産の値動き①

※上記は例であり、実際の値動きとは異なります。

上図の期間において資産Aと資産Bのリターンは最終的に同じですが、リスクは資産Aの方が低いため、資産Aの方が「運用効率が良い」と言えます。このため、資産Aと資産Bどちらかにしか投資できない場合、運用効率を重視するなら資産Aを選択するのが正解です。

しかし、どちらにも自由に投資できる場合は答えが変わってきます。「資産Aと資産Bへの分散投資」も選択肢に入れた場合、両資産は逆向きの値動きをしているため、適切な配分で分散投資を行うことでリスクを大きく軽減することが可能となり、運用効率が飛躍的に向上します。

各資産の値動き②

※上記は例であり、実際の値動きとは異なります。

この「適切な配分で分散投資を行うと運用効率が向上する」という性質は、値動きが全く同じでない限り、どんな資産の組合せでも当てはまります。
※正確には各資産のリターンの相関係数が1でない限り当てはまります。一般的に相関係数とはリターンの動きの違いを表す数値で、-1から1までの値をとります。リターンが完全に同じ方向に動く場合は「1」、完全に逆向きに動く場合は「-1」となります。

各資産の値動き③

※上記は例であり、実際の値動きとは異なります。

このように、分散投資は投資資産全体の運用効率を向上させることができ、その効果は組み合わせる資産の値動きが逆向きであるほど(相関係数が-1に近いほど)高まります。この性質をうまく活用することで、同じ期待リターンでも、より安定的なリターンを狙うことが可能となるのです。

投資アイディアの再現度を高めることができる

投資をするうえで投資資産の分析はとても重要です。

しかし、一つの資産を分析するだけでもかなりの労力が必要であり、全ての資産を分析することは到底現実的ではありません。そうなると「どの資産の何を分析したらいいのか」という問題が生じます。

そんなとき、問題解決の糸口として役に立つのが「投資アイディア」です。

例えば、「ある商品がいつも売り切れていて毎回取り寄せなければ買えない」という経験から、「その商品を扱っている企業の株式に投資したら儲かるのではないか」という投資アイディアを思い付いたとします。

そして、この投資アイディアがあれば必然と次のような分析を試みることができるようになります。

  • その商品の売上がその企業の売上に対してどのくらいの割合を占めるか。

  • その商品の購買者はどのような構成で、今後増加する余地があるか。

  • その商品の製造キャパシティーはどの程度あり、大量生産は可能か。

上記のような分析をすることで、投資アイディアを裏付け、個別銘柄の投資へと落とし込むことができます。

それでは、次のような投資アイディアはどうでしょうか。

  • 最近売上が大きく伸びている企業の株式に投資

  • 人口増加と経済成長が著しい新興国企業の株式に投資

  • 利回りが高く、かつ自己資本比率が高い企業の債券に投資

上記も立派な投資アイディアですが、これらを裏付ける分析をしたとしても、個別銘柄に落とし込むまでには至りません。

もちろん、ここから更なる分析を重ねて個別銘柄まで落とし込むことも可能ですが、そうすると、この投資アイディアが正しいにも関わらず、その銘柄が下落してしまうケースも有り得ます。

そんな時、投資アイディアに当てはまる複数の銘柄に分散投資をすれば、個別銘柄まで落とし込む分析を省略しつつ、投資アイディアの再現度を高めることができるのです。そして、個別銘柄に落とし込むことにこだわらないのであれば、投資アイディアを出すハードルも大きく下がり、その分自由な発想で投資をすることができるようになるのではないでしょうか。

自由な発想(イメージ)

投資信託の活用

これまで、分散投資のメリットを見てきましたが、分散投資を個別銘柄で行うには相応の資金が必要となり、個人投資家にとって大きなハードルとなります。

そこで登場するのが、投資信託です。

投資信託であれば、金融機関によっては100円から投資が可能であり、多くの場合30以上の銘柄を組み入れているため、分散投資を手軽に行うことができます。

そして、投資信託には投資対象を特定の資産や地域に限定しているもの、テーマやコンセプトを設けているものがあり、個別銘柄に落とし込むことのできない投資アイディアを再現する投資信託を見つけることができるかもしれません。

また、異なる資産や地域を投資対象とする投資信託は値動きも相応に異なる傾向にあるため、その値動きの違いに着目し、複数の投資信託を組み合わせることで運用効率を高める投資方法も少額から可能です。

このように、投資信託は分散投資を手軽に行うツールの一つであり、分散投資のメリットを理解して活用することで、「自分の投資アイディアを再現した運用効率の高い投資」に大きく近づけることが期待できるのです。

最もシンプルな投資アイディアをサポート

分散投資を突き詰めていくと、「投資は儲かる」という最もシンプルな投資アイディアに辿り着きます。なぜなら、投資可能な資産の全てに分散投資すれば、「投資は儲かる」という投資アイディアの再現を目指せるからです。

もちろん、投資可能な資産の全てに分散投資することは不可能ですが、例えば、様々な資産や地域のインデックスファンドへの分散投資やそれらがパッケージとなっているバランスファンドへの投資を行えば、「投資は儲かる」という投資アイディアの再現性を高めることができます。

「投資」と聞くと何か特別な知識や崇高な考えがないとできないと思われがちですが、決してそんなことはありません。

「投資とは、労働と同じように資本を提供して対価を得る経済活動」という投資の本質を理解し、「それなら、投資とは長期的には儲かるものなのではないか」という投資アイディアさえあれば始めることができるのではないでしょうか。

そして、それをサポートしてくれるのが「分散投資」と「投資信託」なのです。

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