東京女子大学の講義「金融論」で「資産運用とファイナンシャル・ウェルビーイング」をテーマとした出張講座を2年連続実施!
2025/12/08

アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所長の伊藤雅子と研究員の坂内卓は、2024年度に引き続き、2025年11月に東京女子大学 長谷川克之教授の担当講義「金融論」で、「資産運用とファイナンシャル・ウェルビーイング」をテーマとした出張講座を実施し、約40名の学生が参加しました。
主な講義内容は以下の通りです。
〇 主な内容
- 資産運用が欠かせない時代
- これからの「いい会社」を見極めるポイント
- あなたのファイナンシャル・ウェルビーイングを実現するために
投資とギャンブルとの違いとプラスサムの視点
今回の講義では、まず「投資のイメージ」について学生の皆さんに尋ねました。新NISAが始まってからもうすぐ2年が経ちます。その間、若い世代のNISA口座数が大幅に増加し、さらに多くの国で株価指数が上昇しました。その結果、成功体験を持つ人が増えていると考えられます。
こうした背景もあってか、投資に対してプラスのイメージを持つコメントが多くみられました。しかし一方で、「難しくてとっつきにくい」「ギャンブル」といったネガティブなイメージも依然として多く挙げられました。
このネガティブなイメージを払拭するために、投資とギャンブルの違いを「マイナスサム・ゼロサム・プラスサム」という観点で説明しました。株式投資は、企業が成長することで株式の価値が上昇し、その企業の株式を持つ人全員が利益を得る可能性がある「プラスサム」であることを伝えました。
また、「インベストメント・チェーン」の考え方も紹介しました。私たちが企業に投資をすることで、企業の中長期的な成長を支援するだけでなく、投資のリターンとして利益を得る可能性があること、新たな製品やサービスの提供、雇用の創出を促進し、より良い社会の実現につながることを説明しました。
『これからの「いい会社」を見極めるポイント』として、「ESG(環境・社会・ガバナンス)」の視点の重要性についてお伝えしました。「SDGs」は多くの学生が知っている一方で、「ESG」は初めて聞いたという学生が多く見られました。そこで、「ESG」について基本的な内容から、企業や資産運用会社が具体的に取り組んでいる事例まで幅広く紹介しました。その結果、消費や就労、投資を考える際に「ESG」の視点が重要であるという意見が寄せられ、学生たちの関心の高さが見受けられました。
講義後の学生の皆さんのアンケートより
学生の皆さんから講義で学んだことや感想をいただきましたので、その一部をご紹介します。
■投資とギャンブルの違い
- 私は投資と聞くと、どこかで「誰かが得すれば誰かが損する」というイメージがなんとなくあって、うまくいかなかったらどうしようという不安を抱きがちだった。でも今回の授業で、株式投資は企業が価値を生み続ける限りプラスサムになり得る構造で、単なるギャンブルとは全く違うものだと理解できた。この感覚が社会にもっと広まれば、投資への漠然とした恐怖心も和らぐのではないかと思う。
- 株式市場は「勝った人の分だけ誰かが損をする」ようなゼロサムではなく、企業価値の向上によって市場全体が成長しうる仕組みであることを聞き、これまでのイメージが大きく覆されました。こうしたお話を通じて、投資には専門的な知識だけでなく長期的な視点と責任感が求められることを実感し、アセットマネジメント業務への興味がより強まりました。
■資産運用・投資の重要性
- 長い目で将来を考えたときに、自助努力は不可欠であり、そのために投資は現実的な選択だと感じたので、適切に資産運用ができるようこれからも知識を身につけていきたいです。
- 最も印象に残ったのは、インフレの時代に貯金だけではお金の価値が確実に減っていくという指摘である。物価上昇のニュースは普段から目にしていたが、実際にどの程度価値が目減りするのかを具体的な数値で示されると、将来の資産管理がより現実的な問題として感じられた。
■ESGの視点の重要性
- 買い物をするときにどの企業の商品を買うかをESGの視点で考えるのは大切だと思った。環境や社会にどんな影響を与えているのか、どんな運営をしているのかを知れば、単純な価格だけでは分からない企業の健全さが見えてくる。
- ESGについて知り学び、企業は利益だけでなく、環境や社会への配慮、透明性のある運営が重要視されていることを改めて理解した。これらの取り組みは、社会からの信頼につながり、結果として企業の成長や評価にも結びつく点が特に印象的だった。企業を見るうえで、ESGは欠かせない視点だと学びました。
長谷川 克之教授
「将来の資産形成の必要性を自分事として理解」
私どもを招いてくれた長谷川教授からもコメントをいただきました。

伊藤(左)、長谷川教授(中央)、坂内(右)
今回の講義では、資産運用の最前線で活躍される伊藤所長と坂内研究員から、実務に根ざした視点で大変分かりやすくご講義いただき、学生からも感謝の声が多く寄せられました。
投資は運任せのギャンブルではなく、企業価値や将来性を分析することで合理的に判断できる行為であることを学んだことで、金融への捉え方が大きく変化した学生が多く見られました。また、インフレ下で現金価値が目減りする事例をデータで示していただいたことで、将来の資産形成の必要性が自分事として理解され、NISAを活用して少額からでも投資を始めたいという行動意欲が具体的に表れた点は大きな成果です。加えて、ESG課題への企業と運用会社の取り組みをご紹介いただいたことで、投資は利益の追求に留まらず、社会的価値を生み出す手段であるとの認識が深まりました。
ファイナンシャル・ウェルビーイングの観点から、自らの人生を豊かにしつつ社会にも貢献できる可能性に気づき、さらに行動へと踏み出そうとする姿勢が見られたことは、今回の講義が学生一人ひとりにとって大変貴重な経験となった証であると感じています。
未来をはぐくむ研究所では、個人の資産形成やファイナンシャル・ウェルビーイングをサポートすべく、これからも出張講座をはじめとした各種取り組みを進めてまいります。



