東京理科大学ビジネス・スクールで「なぜ、今、資産運用立国なのか」をテーマとした出張講座を実施!
2025/05/19

アセットマネジメントOne 未来をはぐくむ研究所 研究顧問の森田宗男は、東京理科大学ビジネス・スクールの「スタートアップ実務家」特別講義(※)で、「なぜ、今、資産運用立国なのか」をテーマにした出張講座を実施し、約10名の社会人学生が参加しました。
※東京理科大学イノベーション・キャピタル株式会社 代表取締役 片寄裕市氏・高田久徳氏が講師として行う講義
日本のインベストメント・チェーンの全体像を網羅的に理解
主な講義内容は以下の通りです。
〇 主な講義内容
- 足元の家計の状況
- 金融システム改革(いわゆる日本版金融ビッグバン)と残された課題について
- 「資産運用立国」の施策の概要について
- 家計に向けた取組
- 金融商品の販売会社に向けた取組
- 企業に向けた取組
- 資産運用業に向けた取組
- アセットオーナーに向けた取組
- 成長資金の供給と運用対象の多様化、情報発信
講義は、元金融庁で要職を歴任した森田の経験・視点を交えて「なぜ、今、資産運用立国なのか」をテーマに解説しました。
現在、日本は資産運用立国の実現に向けた取り組みを進めています。1997年に始まった「金融システム改革(日本版ビッグバン)」では、規制緩和を進める一方で、投資家保護に関する制度拡充を図り、「貯蓄から投資へ」を推進しましたが、大きな成果が出せませんでした。
この課題を受け、インベストメント・チェーン全体の改革が必要だという認識が高まったことが資産運用立国への取り組みを進める背景にあることをお伝えしました。その上で、資産運用立国の概要と、その実現に向けたインベストメント・チェーンに携わる各主体(家計、販売会社、企業、資産運用会社、アセットオーナーなど)に対する政府の施策について、それらが有機的に繋がっていることを説明しました。
また、スタートアップ企業に資金を呼び込み成長を後押しするための課題と、政府が検討・促進している取り組みについても解説しました。
60分にもわたる活発な質疑応答
講義後の質疑応答は60分にもわたりました。受講者の皆さんは仕事の後の疲れも見せず、スタートアップを熱心に学ぶ社会人らしい質問の連続で、講師と参加者が議論しあう活発な時間となりました。
● 東京理科大学大学院 経営学研究科 技術経営専攻 青木 英彦教授
「すべての産業は資本市場と切っても切れない関係にある」
青木教授(左)、森田(右)
本専攻は、技術系のバックグラウンドを持つ社会人学生が多く集うビジネススクールです。すべての学生が社会人であり、平均年齢は40代半ば。経営の重責を担う幹部たちが日夜経営について学んでいる道場です。
このような社会人学生にアクティビストファンドやPEファンドなどについて講義すると、3年ほど前までは自分たちとは関係のないこと、違う世界のことという認識でした。しかしここ数年で状況は一変し、多くの学生が自分事としてとらえるようになりました。これらのファンドが自分の勤める会社の大株主になったこと、メディアでの露出が増え、特別な存在ではないという認識が広がったこと、金融庁や東証、経産省などが、企業統治に関連するガイドラインを発表し、好むと好まざるとに関わらず、資本市場と向き合わなければならなくなったこと、などさまざまな背景があります。
そういうなかで、この度森田様から、金融庁でのご経験をもとにインベストメント・チェーンの全体像を緻密にご講義いただいたことは、非常に意義深いものでした。インベストメント・チェーンにかかわる主体はみな、それぞれ「受託者責任」を負っていることを認識できたことで、企業価値向上に向け的確な経営判断をより迅速に行えるようになるでしょう。すべての産業は資本市場と切っても切れない関係にあるということが十分認識されると、日本企業の価値向上への踏み込みに鋭さが増してくるのではないかと期待しています。森田様のご講義をお聞きしながら、一人でも多くの社会人学生に金融リテラシーを普及させなければと、改めて意を強くいたしました次第です。
青木教授、この度はありがとうございました。
未来をはぐくむ研究所では、個人の資産形成やファイナンシャル・ウェルビーイングをサポートすべく、これからも出張講座をはじめとした各種取り組みを進めてまいります。