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S&P500配当貴族指数とは?知れば知るほど面白い特徴と実績をわかりやすく解説

2024/01/04

知恵のハコ

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米国は主要先進国の中でも数少ない人口増加国であり、多くの人が魅力的な投資先として米国株式市場に目を向けています。米国株式というとS&P500やNYダウなどの指数が代表的ですが、「S&P500配当貴族指数」という指数があるのをご存じでしょうか。
実はこの指数、知れば知るほど面白い特徴を持っているんです。
本記事では、 S&P500配当貴族指数が投資対象として魅力的かどうかという観点から、指数の特徴を深掘りし、過去の実績を確認しながらわかりやすく解説します。また、勘違いしやすい点なども併せてご紹介します。
最近では、この指数に連動するインデックスファンドも登場していますので、ぜひ今後の投資戦略の参考にしてください。

S&P500配当貴族指数とは?

S&P500配当貴族指数とは、S&P500指数の構成銘柄のうち「25年以上連続して配当を増やし続けてきた企業」で構成される株価指数です。具体的には以下の4つの条件があります。

  1. S&P500の構成銘柄であること
  2. 25年以上連続で増配していること
  3. 時価総額が30億米ドル以上であること
  4. 1日あたりの平均売買代金が500万米ドル以上であること

つまりこのS&P500配当貴族指数に組み入れられる銘柄は、景気が良い時も悪い時も配当を増やし続けられるくらい業績や財務基盤が安定した大型企業である、ということですね。
ちなみに25年以上連続増配すると配当貴族、50年以上連続増配すると配当王と呼ばれているようです。

なお、一度でも配当金を減配するか、あるいは据え置きしたとしてもこの指数の対象銘柄から除外されます。ベースとなるS&P500指数から外れた場合も対象から除外されてしまうため、この指数の構成銘柄であり続けることは、相当厳しい条件をクリアしているといえるでしょう。

どんな銘柄がある?

S&P500配当貴族指数の構成銘柄数は、2023年9月時点で67銘柄です。それぞれの銘柄には均等に投資されるため、特定の銘柄に投資比率が偏るということはありません。
この67銘柄という数字について、どう思われるでしょうか。例えば、日本では25年以上連続して増配している企業は、「花王」と「SPK」の2社のみです。それと比べると、米国は配当貴族銘柄が60社以上もあること自体がすごいですよね。いかに米国企業が株主還元を意識しているかがわかります。

S&P500配当貴族指数の時価総額上位5社は以下のようになっています。

S&P500配当貴族指数 時価総額上位5銘柄

 銘柄名業種
1 ウォルマート 生活必需品
2 エクソンモービル エネルギー
3 ジョンソン・エンド・ジョンソン ヘルスケア
4 プロクター・アンド・ギャンブル 生活必需品
5 シェブロン エネルギー

※2023年9月末時点

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC、ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

大手スーパーの「ウォルマート」や日用品でお馴染みの「ジョンソン・エンド・ジョンソン」、「プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)」など、有名かつ高いブランド力を持つ企業が見られます。
一方、S&P500指数の時価総額上位5社は以下の通り、アップルやマイクロソフトなどのハイテク企業が中心となっています。同じS&P500を冠する指数でも、中身は大きく異なることもポイントです。

S&P500指数 時価総額上位5銘柄

 銘柄名業種
1 アップル 情報技術
2 マイクロソフト 情報技術
3 アルファベット コミュニケーション・サービス
4 アマゾン・ドットコム 一般消費財・サービス
5 エヌビディア 情報技術

※2023年11月末時点

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

業種別の組入比率を見ると、その違いはより顕著に表れます。
S&P500配当貴族指数は生活必需品の組入れが多く、S&P500指数は情報技術の組入れが多くなっています。

業種別組入比率の比較

業種別組入比率の比較

※2023年11月末時点

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

生活必需品は人々の生活に根ざした業種のため、不景気でも株価が下がりにくいといわれています。一方で情報技術は企業活動や景気動向の影響を大きく受けるため、株価は景気によってより上下しやすい傾向があります。

つまりS&P500配当貴族指数とは、S&P500指数よりも安定的で、景気減速局面で相対的に優位に立つことが期待できる指数なんです。

年間騰落率から見えるS&P500配当貴族指数の実績

次に、S&P500配当貴族指数の実績を探っていきましょう。
S&P500指数とS&P500配当貴族指数の年間騰落率を比較してみました。

各指数の年間騰落率

各指数の年間騰落率

S&P500指数が下落した年の平均騰落率

S&P500指数 -15.11%
S&P500配当貴族指数 -2.01%

※期間:1990年~2022年(年次)

※上記は過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

世界的な景気後退局面で、S&P500配当貴族指数はS&P500指数と比べて下落率が抑えられていることがわかります。不安定な相場環境でも相対的に下落に強い傾向にあることがうかがえます。
では、S&P500指数が上昇する局面ではどうでしょうか。

各指数の年間騰落率

各指数の年間騰落率

S&P500指数が上昇した年の平均騰落率

S&P500指数 18.38%
S&P500配当貴族指数 16.63%

※期間:1990年~2022年(年次)

※上記は過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

一概にS&P500指数の方が良い成績というわけではなく、遜色のない結果を残せているといってよいでしょう。
S&P500配当貴族指数は単に下落に強いだけではないようです。

下図はそれぞれの指数のトータルリターンを表していますが、直近20年ではS&P500配当貴族指数がS&P500指数を上回って推移しています。
株価上昇局面ではS&P500指数のパフォーマンスに多少追いつけなくても、景気減速局面で下落をしっかりと抑えたことが、同期間のパフォーマンスで優位に立てた要因です。

各指数のトータルリターン推移

各指数のトータルリターン推移

※期間:2003年11月28日~2023年11月24日(週次)

※グラフ起点を100として指数化

※上記は過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆・保証するものではありません。

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

これらのことから、S&P500配当貴族指数の実績は投資を検討するのに申し分ないといえるでしょう。

連続増配=高配当ではない

25年以上連続増配と聞くと、さぞかし利回りが高いのでは、と考える方もいるかもしれません。
そこでS&P500指数との利回りを比べてみましょう。

  S&P500配当貴族指数 S&P500指数
配当利回り 2.66% 1.54%

※2023年11月末時点

出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

たしかにS&P500指数よりは高い水準ですが、思ったよりも高くないな、と感じた方もいるのではないでしょうか。
そのため、単純に配当利回りだけを追求するのであれば、他の指数や資産クラスも選択肢でしょう。ただし、配当利回りが抑えられているということは、配当と一緒に株価も上昇していると解釈することもできます。この点を踏まえて投資判断をするとよいのではないでしょうか。

以上のことから、次のような考えをお持ちの方にS&P500配当貴族指数は有力候補になると思われます。

  • 今後も長期的には景気が大きく後退する局面はやってくる
  • 増配銘柄の下落耐性は引き続き有効である
  • 配当利回りを最重要視しているわけではない

景気後退局面を見越して投資するのであれば、 S&P500指数を上回るパフォーマンスを期待するというのも、決して間違った動機ではないと言えるでしょう。

まとめ:指数の特徴を理解して、投資の選択肢の幅を広げよう

結論として、S&P500配当貴族指数は魅力的な指数であることがわかりました。
しかしながら、「これさえ投資しておけば大丈夫」というものではありません。

筆者は、投資の世界には「これさえ投資しておけば大丈夫」というものはないと思っていますし、それはS&P500指数にも同じことがいえると思います。
今後の投資環境やご自身のポートフォリオの状況を考えて、有望な投資アイディアがあれば積極的に取り入れましょう。
その際に、S&P500配当貴族指数も有力な選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

※個別銘柄の提示は、取引の推奨を目的としたものではありません。

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