Produced by
アセットマネジメントOne株式会社

わらしべ瓦版わらしべ瓦版

おカネの健康を考えるウェブマガジン

アセットマネジメントOne

19位にランクダウン!日本のSDGs達成度と今後の課題

2022/07/22

知恵のハコ

アセットマネジメントOneのfacebook

アセットマネジメントOneのfacebook

SDGsという言葉は私たちの生活の中で浸透が進み、定着しつつあります。 SDGsの基本的な考え方については、(今さら聞けない「SDGs」…私たちにできることとは?)、「企業・団体」によるSDGsの取り組みについては、(優れたSDGsへの取り組みとは?企業・団体の具体的事例をご紹介)として、以前ご紹介しました。

今回は、世界と比較した日本のSDGsの達成状況とともに、17の目標の達成期限である2030年へ向けて日本にはどういった課題があるのか考えてみたいと思います。

19位へランクダウンした日本のSDGs達成度

国連の研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が2022年6月2日に「持続可能な開発レポート2022(Sustainable Development Report 2022)」を発表しました。
レポートでは毎年、国別のSDGs目標の達成度に関する順位やスコアが公表されており、今回のレポートで日本は昨年の18位から19位へとランクダウンしました。
2021年と2022年の上位20カ国の順位とスコアは<図表1>の通りです。全てのSDGs目標が達成された場合、スコアは100となります。

<図表1>SDGs達成度ランキングとスコア

順位 2021 2022
国名 スコア 国名 スコア
1 フィンランド 85.9 フィンランド 86.5
2 スウェーデン 85.6 デンマーク 85.6
3 デンマーク 84.9 スウェーデン 85.2
4 ドイツ 82.5 ノルウェー 82.4
5 ベルギー 82.2 オーストリア 82.3
6 オーストリア 82.1 ドイツ 82.2
7 ノルウェー 82.0 フランス 81.2
8 フランス 81.7 スイス 80.8
9 スロベニア 81.6 アイルランド 80.7
10 エストニア 81.6 エストニア 80.6
11 オランダ 81.6 イギリス 80.6
12 チェコ 81.4 ポーランド 80.5
13 アイルランド 81.0 チェコ 80.5
14 クロアチア 80.4 ラトビア 80.3
15 ポーランド 80.2 スロベニア 80.0
16 スイス 80.1 スペイン 79.9
17 イギリス 80.0 オランダ 79.9
18 日本 79.8 ベルギー 79.7
19 スロバキア 79.6 日本 79.6
20 スペイン 79.5 ポルトガル 79.2

2022年の順位を見ると、入れ替えはあるものの2021年と傾向は変わらず、1位フィンランド、2位デンマーク、3位スウェーデンと北欧諸国が上位を占めています。上位3国はスコアも横ばい、あるいは上昇しています。その他の上位の国を見ても、ヨーロッパ諸国のSDGsに対する取り組みの強さが目立ちます。
一方、日本は、2021年の18位から2022年に19位へとランクダウン。スコアも減少し、目標達成から一歩後退しました。

日本について、目標別の評価を見てみましょう。
「持続可能な開発レポート」では各目標の達成状況を4段階で評価しています(<図表2>)。

<図表2>日本における各目標の達成状況

評価 目標
目標達成
SDG achieved
【目標4】 質の高い教育をみんなに
【目標9】 産業と技術革新の基盤をつくろう
【目標16】平和と公正をすべての人に
課題が残っている
Challenges remain
【目標1】 貧困をなくそう
【目標3】 すべての人に健康と福祉を
【目標6】 安全な水とトイレを世界中に
【目標8】 働きがいも 経済成長も
【目標11】住み続けられるまちづくりを
重要課題
Significant challenges remain
【目標2】 飢餓をゼロに
【目標7】 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
【目標10】人や国の不平等をなくそう
主要な課題
Major challenges remain
【目標5】 ジェンダー平等を実現しよう
【目標12】つくる責任 つかう責任
【目標13】気候変動に具体的な対策を
【目標14】海の豊かさを守ろう
【目標15】陸の豊かさも守ろう
【目標17】パートナーシップで目標を達成しよう

目標のうち「【目標4】質の高い教育をみんなに」「【目標9】産業と技術革新の基盤をつくろう」「【目標16】平和と公正をすべての人に」の3つの項目で目標達成と評価された一方で、「【目標5】ジェンダー平等を実現しよう」「【目標12】つくる責任 つかう責任」「【目標13】気候変動に具体的な対策を」「【目標14】海の豊かさを守ろう」「【目標15】陸の豊かさも守ろう」「【目標17】パートナーシップで目標を達成しよう」の6つの項目については主要な課題とされました。特に目立つのは、地球の自然環境の持続可能性に関する【目標12~15】が主要な課題と位置付けられている点です。日本の世界有数の環境技術国という側面と、SDGs達成度の評価に大きなギャップが生じています。

17の目標の達成期限である2030年へ向けての課題は?

2030年へ向けて全ての項目を達成するのは困難かもしれませんが、一つでも多くの目標を達成する、あるいは少しでも達成に近づけるにはどういった課題があるのでしょうか?

大きな課題に、SDGs活動に参加・実践する方法を「知らない」「身近にない(実際はあるが気づいていない可能性も考えられる)」ことが挙げられます。

消費者庁が「令和3年消費者意識基本調査(令和3年11月調査)」で「SDGsやエシカル消費*に関する意識や取組」に関して調査した結果は<図表3><図表4>の通りです。

*エシカル消費(倫理的消費):消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費行動を行うこと

<図表3> SDGsやエシカル消費に関する興味や取組状況

SDGsやエシカル消費に関する興味や取組状況

<図表4> SDGsやエシカル消費に関する取組に「興味はあるが、現在取り組んでいない」理由(複数回答)

SDGsやエシカル消費に関する取組に「興味はあるが、現在取り組んでいない」理由(複数回答

※消費者庁「消費者意識基本調査」のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

<図表3>から、SDGsやエシカル消費に関して「興味がない」の割合が18.5%に対し、「興味がある『興味があり、現在取り組んでいる』+『興味はあるが、現在取り組んでいない』」の割合は47.7%と、関心の高さは見て取れる一方で、実際に取り組んでいる割合(12.7%)が少ないことも分かります。

<図表4>は、<図表3>の問いに「興味はあるが、現在取り組んでいない」と回答した人に対し、その理由を聞いたものです。
「参加方法が分からない」の割合が46.6%と最も高く、その他にも、「環境問題や社会課題に取り組む商品やサービスが身近にない」(31.3%)、「環境や社会に貢献している実感がない」(30.8%)、「本当にSDGsやエシカル消費に資する商品・サービスかどうか信頼できない」(30.1%)といった回答が上位に見られます。

これらの結果から、国や企業・団体といった情報を発信する側が、うまく生活者を巻き込むことができていない、行動を喚起できていないことが予想されます。
2030年に向けて、SDGsの注目度はさらに高まり、関連するサービス・商品が続々と登場することでしょう。情報を発信する側は「アクセスが容易である」「分かりやすい」「信頼できる」「共感できる」を意識していく必要があり、当社アセットマネジメントOneもまさに現在進行形で取り組んでいるテーマです。

SDGs活動に参加する方法を「知らない」「身近にない」状態を「知っている」「身近に選択肢がある」状態、そして「安心して、気軽に参加できる」「周りと共有できる」状態まで昇華できた時、持続可能な社会の実現へと一歩近づけるのではないでしょうか。

■SDGs関連記事はこちら

■併せておぼえたい「ESG」、投資との関係は?

【Facebook】
米国株市場のポイント「瞬解!3行まとめ」を毎営業日配信!お役立ちマネーコラムも
↓下のボタンからフォローをお願いします

わらしべ瓦版を
Facebookでフォローする

わらしべ瓦版をFacebookでフォローする