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優れたSDGsへの取り組みとは?企業・団体の具体的事例をご紹介

2021/11/08

知恵のハコ

最近耳にする機会が増えたSDGs。SDGsの基本的な考え方については、以前、わらしべ瓦版でご紹介しました。(今さら聞けない「SDGs」…私たちにできることとは?)ただ、SDGsといってもまだまだ自分にはあまり関係のない話、と思っていませんか?実は、今では多くの企業や団体がSDGsに取り組んでおり、すでにSDGsはかなり身近な話となっています。

今回は、そんなSDGsの取り組み主体となる「企業・団体」によるSDGsの取り組みにフィーチャーして解説します。

広がるSDGs

少し復習になりますが、SDGsとは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の頭文字をとった造語で、国連が2015年に定めた2030年までに達成を決めた17のゴール、169のターゲット、そしてその進展を評価するための指針を持つ包括的な目標のことです。もともとはMDGs(ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals))という発展途上国向けの目標だったのですが、現在では、地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓い、発展途上国も先進国も共にSDGsの取り組みを行っています。

日本でもSDGs達成に向けた取り組みを行う企業・団体が増えてきています。街中で、スーツのジャケットなどにカラフルな円形のバッジをつけている方を見かけることはありませんか?そのマークがSDGs達成に向けた取り組みを行っている企業・団体の証です。

こうした取り組みが進む一方で、2020年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大が、世界の人々の命・生活・尊厳すなわち人間の安全保障に対する脅威となり、SDGsの達成に向けた取り組みの遅れが懸念されています。このことから、企業・団体による一層の取り組みが求められています。

SDGs17の目標

企業・団体が実際に行っている取り組みとは?

日本政府もSDGs達成に向けた取り組みを行っています。
2016年5月に「SDGs推進本部」を設置し、年2回の本会合を開催しています。本部長を内閣総理大臣、副本部長を内閣官房長官・外務大臣、構成員は全閣僚として組織され、SDGsの推進に向けてさまざまな活動をする組織です。
また、2018年からは優れたSDGsの取り組みを提案する都市・地域を「SDGs未来都市」として選定(2021年度では全国124都市が選定)し、その取り組みの中でも特に先導的な取り組みを「自治体SDGsモデル事業」として選定しています。資金面での支援を行うことでモデル事例の形成を目指しています。

これらの他に、2017年には外務省が「ジャパンSDGsアワード」を創設し、日本に拠点のある、優れた取り組みを行う企業・団体の表彰を始めました。最も優れた取り組みを表彰するSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞をはじめ、SDGs推進副本部長(内閣官房長官・外務大臣)賞など各賞が毎年12月頃に発表されます。
多くの企業・団体の取り組みを取り上げたいところですが、ここでは本部長賞を受賞した企業・団体に絞ってご紹介いたします。

各年の本部長賞を受賞した企業・団体は以下の通りです。

 企業・団体取り組み概要
第1回
(2017年)
北海道下川町 ①森林総合産業の構築(経済)、②地域エネルギー自給と低炭素化(環境)、③超高齢化対応社会の創造(社会)への統合的な取り組み。
第2回
(2018年)
株式会社日本フードエコロジーセンター 「食品ロスに新たな価値を」という企業理念の下、食品廃棄物を有効活用するリキッド発酵飼料(リキッド・エコフィード)を産学官連携で開発し、廃棄物処理業と飼料製造業の2つの側面を持つ新たなビジネスモデルを実現。
第3回
(2019年)
魚町商店街振興組合 商店街として「SDGs宣言」を行い、「誰一人取り残さない」形でニーズに応えるイベントやサービスをさまざまなステークホルダーと連携しながら実施。
第4回
(2020年)
みんな電力株式会社 電気を通じた地域循環共生圏を構築し、都市の脱炭素化の推進と地方の経済活性化を目指す。

出所:外務省「ジャパンSDGsアワード」をもとにアセットマネジメントOne作成

それぞれ次の通りSDGsの17のゴールを意識した取り組みを行っています。

第1回に受賞したのは「北海道下川町」。
同町は、小規模過疎地域であり、かつ少子高齢化の進む課題先進地域です。同町では、自治基本条例に「持続可能な地域社会の実現」を位置づけ、「森林資源の有効的な活用」を通したコンパクトタウンの推進をしています。具体的には、適正な木材・木製品の生産と供給、教育や健康を守るために森林を活用、丸太を伐採した際に発生する林地残材等を活用して木質バイオマスボイラーとして活用するなど、持続可能な森林経営を軸に、「誰もが活躍の場を持ちながら良質な生活を送ることのできる持続可能な地域社会」の実現をめざしています。こうした取り組みが、小規模自治体や国内の地方創生モデルになりうるなどとして評価されました。

第2回は「株式会社日本フードエコロジーセンター」。
食品ロスを有効活用すべく、リキッド発酵飼料を産学官連携で開発し、廃棄物処理業と飼料製造業の2つの側面を持つ新たなビジネスモデルを実現しています。その飼料を一定割合以上用いて飼養された豚肉をブランド化するなど、継続性のある「リサイクルループ(循環型社会)」を構築しています。こうした取り組みが、廃棄物処理業と飼料製造業の両面をもつことから、小売や外食といった他業種をはじめ多様なステークホルダーの結節点となっているなどとして評価されました。

第3回は「魚町商店街振興組合」。
同組合は福岡県北九州市にある商店街の組合で、ホームレス自立支援・障害者自立生活支援などの社会的包摂*1に視点を置いた活動や、商店街内のビルをリノベーションし、若手起業家やワーキングマザーのための環境整備の実践、商店街内の遊休不動産を再生するリノベーションまちづくりなど多様な取り組みを実施しています。市民の生活の一部である商店街の変容は市民の変容へと繋がり、またこの実践例は国際的ロールモデルになりうるなどとして評価されました。

*1 社会的包摂(social inclusion)とは、社会的に立場の弱い人も含めた国民一人ひとりを社会の構成員として取り込み、社会的排除の構造と要因を克服する一連の政策的な対応のこと。

第4回は「みんな電力株式会社」。
「顔の見える電力™」をコンセプトに、再生可能エネルギー*2を供給する小売り事業を2016年から実施しています。環境破壊に繋がる開発行為を行っていないか、地域住民と合意形成がなされているかなどの観点で同社が発電事業者を選定し、電気を調達します。発電事業者は、電力の使用者(電気料金の支払者)から選ばれると基本料金の一部を得ることができるため、事業者がSDGsへの取り組みを行う誘因となるという仕組みです。ブロックチェーンを活用した「電力トレーサビリティ」システムの商用化を世界で初めて実現し、「どの発電所からどれだけの電気を買ったのか」を可視化しています。こうした取り組みが、都市部における再生可能エネルギーの利用を促しつつ、地方の経済活性化にも寄与し、相互関連性・相乗効果を重視しているなどとして評価されました。

*2 再生可能エネルギーとは、地球環境に対して負荷の少ない太陽光や風、水、地熱などを活用して作り出されるエネルギーで、化石燃料など埋蔵量の限りのある資源を利用した枯渇性エネルギーに対するもの。

みんな電力株式会社フローチャート

上記で取り上げた企業・団体の他にも、メーカーや金融機関、マスメディア、学校法人、芸能事務所など多種多様な企業・団体が取り組みを行っています。

これからの企業・団体×SDGs

現在では、技術革新やビジネスモデルの創出により、利益の獲得を目指すだけでなく、SDGsの達成も同時に目指す企業・団体が多くなっています。日本だけでなく世界中でこうした取り組みが進んでいるため、どの企業・団体もSDGsの達成に向けて取り組んでいることが、もはや「あたりまえ」となるのもそう遠くはないかもしれません。SDGsを達成するためには、企業に勤める人だけでなく、地域社会に属する私たち一人ひとりがSDGsの取り組みを理解することが重要です。
今回の記事がそうしたSDGsへの理解の一助となれば幸いです。

※当記事における個別企業の記載は銘柄推奨を目的としたものではありません。

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