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世の中どう変わる?デジタルトランスフォーメーション(DX)×働き方改革

2020/07/27

知恵のハコ

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最近、「DX」という言葉をよく目にしませんか?
DXは、この言葉自体はそれほど新しいものではありませんが、新型コロナウイルス感染拡大によりヒトやモノの移動が制限されたことによって、急速に注目されるようになった概念です。今回は、「DXとは何か」を解説するとともに、「DXが私たちを取り巻く環境、とりわけビジネス環境にどのような影響を与えているか、そして今後どのような影響を与えていくのか」について解説していきます。

DXとは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」を指し、スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が考えた概念で、「ITの浸透が人々の生活に、あらゆる面でより良い方向に変化させる」というものです。
しかし、この本来の定義はとても普遍的なものであり、具体的にイメージしにくいので、経済産業省がもう少し具体化し、再定義したものもご紹介します。
「DXとは企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
同省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」によるとDXはこのように定義されています。 一般的には、デジタルという単語を切り取ってデジタル技術を使った業務の効率化とだけ認識されがちですが、実は単なる業務の効率化ではなく、企業全体を変えるもっと大きなスケールであることがこの定義から読み取ることができます。では、さらに具体的に、DXが私たちを取り巻く環境に対してどのような変化をもたらすのでしょうか?

DXがビジネスにもたらす大きな変化

DXによって様々な変化がもたらされると考えられますが、筆者が注目するのは次の2点です。

① ビジネスモデルの変化 ~所有から利用へ~

まず一つ目が、DXによりモノ・サービスへのアクセスが圧倒的に容易になったことで、私たちの需要が所有型から利用型へとシフトし、それに合わせて、企業のビジネスモデルも大きく変化していることです。
そして、その変化のキーワードとなるのが「サブスクリプション*1」です。
現在、音楽や動画、オフィスなどのワークスペースといったものだけでなく、自動車(ライドシェア)や外食(サブスクリプションランチ)など、私たちが「こんなものまで!?」と思うような様々なサブスクリプションビジネスが登場しています。
この流れが進めば、今でこそサブスクリプションとは無縁と思われる業種にも、将来、サブスクリプションを利用した新たなビジネスモデルが誕生することも考えられます。
また、業種の垣根を越えて、様々な企業が一つのプラットフォーム*2を共同で構築し、日常生活のあらゆる行動をそのプラットフォームで完結するような我々が想像もつかない新しいサービスが生み出されることも十分に有り得るでしょう。

*1特定の製品やサービスを一回買い切りではなく、一定期間利用できる権利を与え、定期的に料金を支払ってもらうサービスのこと。
*2製品やサービス・情報を集めた「場所や環境」を意味する言葉で、場所や環境を提供し多くの利用者を集めることによって、単体ではできないようなサービスを生み出す仕組みのこと。

② データ活用シーンの拡大

そして二つ目が、DXにより従来紙媒体だったものや記録として残らない私たちの行動がデジタルデータとして記録・蓄積されるようになったことで、データの利用価値が大きく高まるとともに、その活用シーンが劇的に増えたことです。
・小売店が顧客の購買データから顧客ニーズを把握する
・フィットネスクラブが顧客の身体から取得できるバイタルデータによって最適な運動プログラムを提案する
・運送会社が交通状況や住所データなどの情報を加味した最適なルートを作成する
などが挙げられ、業種に縛られず、あらゆるシーンでデジタルデータが活用されています。 さらに、そうした活用シーンが広がることで、今まで価値がなかったデータが価値を持つようになり、データそのものを販売するという選択肢も生まれるようになりました。
今後、ビジネスの発展を考えるうえでデータの収集と活用は必要不可欠と考えられるでしょう。

DXによって加速する働き方改革

現在、新型コロナウイルス感染拡大で企業は働き方改革を余儀なくされていますが、それを支えているのもDXに他なりません。今後、DXによって私たちの働く環境はますます変化していくと考えられます。

イメージ

① 場所を選ばない働き方

現在、新型コロナウイルス感染拡大によりヒトやモノの移動が制限され、場所を選ばない働き方であるテレワークがますます普及しています。東京都が従業員30人以上の都内企業に取ったアンケートでは、テレワークの導入企業が3月時点では24.0%であったのに対し、4月時点では62.7%と1か月で2.6倍に増加しています。この爆発的な普及を支えているのもDXです。

グラフ

出所:東京都のデータをもとにアセットマネジメントOne作成

その他、場所を選ばない働き方としてオンライン営業やネットショップの開設などのハードルが大きく下がったのも、DXによるところが大きいといえるでしょう。

② 多角的な働き方

働き方改革が進むことによって、企業と従業員の関係性にも変化が起こると考えられます。
例えば、テレワークが常態化すると、企業はプロセスではなく成果をより重視して従業員を評価するようになります。これがもっと進むと、企業と従業員は成果に対してコミットするようになり、業務時間の縛りもなくなります。すると、最終的には企業側は仕事単位で従業員を雇い、従業員側は仕事単位で企業を選ぶという関係性も浮かび上がってきます。
このように、働き方改革が進むことによって、従業員はより多角的な働き方が求められるようになるのではないでしょうか。そして、そうした働き方もDXによる企業と従業員とのマッチングの発展があってこそのものと考えます。

③ より特化した業務

さらに、DXが進展することによって私たちの業務内容も変化していきます。特に、AIが進歩することによって、資料整理、文字入力、機械類操作などの単純作業や複雑でも手順が決まっているルーティーンワークはAIに取って代わられようになっていくと思われます。一方で、新しいものを生み出すクリエイティブな業務やデータから新たな戦略を打ち出すマーケティング業務、高度な技術や判断が要求される業務、顧客満足度を向上させるような人の感情に関わる業務などが増えると予想されます。
前述した働き方の変化も合わさり、このような特化した業務を行える人材は需要が高まるだけでなく、活躍の場もますます広がると考えられます。

DX×働き方改革で生き残るためには

このように、DXそして働き方改革が進んだ世界で必要とされる人材となるためには、今まで以上に自らを高めて時代に合ったスキルを身に着けていく必要があります。具体的には、大きく分けて次の二つが必要であると筆者は考えます。

① デジタル化の仕組みを理解するための知識

まずはデジタル化された情報、そしてそれを扱うツールを活用するため、その仕組みを理解する必要があります。そのためには、例えば、クラウド、AI、IoT、モバイル機器、5Gといった様々な専門用語やこれらが私たちの業務にどのように関わるのかを理解することが助けになると考えられます。これらは一度身に着けたら終わりというわけではなく、絶えず新しい概念が出てくるので、定期的に自分の知識をアップデートすることが必要です。

② デジタルツールを使いこなし、新たな付加価値を生み出すスキル

前述したとおり、DXそして働き方改革が進んだ世界では、より特化した業務が増えると予想されます。こうした環境の中では、AIを含めたデジタルツールを使いこなしたうえで、新たな付加価値を生み出せるスキルが力を発揮すると考えられます。
具体的には、データの分析結果から問題点を洗い出すスキルや問題を自ら発見して解決へと導くためのデザイン思考、顧客ニーズを正確に捉える商品設計スキル、また、プロフェッショナルをまとめ上げてビジネス戦略を実行するコミュニケーション・リーダーシップ能力などが挙げられます。
これらは一朝一夕で身につくものでもないですが、磨き上げることで大きな武器となるでしょう。

最後に

このようにDXは企業や働き方など、私たちの取り巻く環境を大きく変えて来ました。そして今後も、このような変化は世界中で加速していくと考えられます。こうした変化に取り残されないよう、現状を正しくとらえ、それに合わせて自らの働き方を柔軟に変え、先を見据えてスキルを習得していくことが重要ではないでしょうか。本記事がそのヒントとなれば幸いです。

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