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資産運用会社大解剖⑦:「運用報告書」の見方は?どうやって作成されているの?

2019/11/01

知恵のハコ

皆さまは、投資信託(ファンドということもあります)の運用報告書をご覧になったことはありますか?
小さな文字で難しいことが書いてありそう、と敬遠されている方も多いのではないでしょうか?しかし、投資信託をご購入後の皆さまに必ず交付される「交付運用報告書」は、購入した投資信託がどのように運用され、その結果どうなったかなど、グラフや図を用い、運用会社各社が工夫を凝らし、わかりやすく説明をしています。そのため、その投資信託の購入を検討している投資家にとっても有益な情報がたくさんつまった報告書なのです。
今回は運用報告書の見方として、具体的にどのような項目が掲載されているのか、またどのような流れで皆さまの手元に届くのかを紹介します。

そもそも運用報告書って?

運用報告書って?運用報告書は、原則として投資信託の決算ごと(計算期間が6ヵ月未満の投資信託は6ヵ月に1度、年1回決算は年に1度)に作成され、その投資信託を保有している受益者に交付されるものです。また運用報告書には、基準価額、分配金の推移やマーケット環境などが記載されている「交付運用報告書」と、取引状況などの詳細な項目が記載されている「運用報告書(全体版)」があります。ちなみに「運用報告書(全体版)」に関しては、投資信託約款において、一定の条件を投資信託約款において定めている場合には、ホームページで掲載するなど受益者が閲覧できれば交付したものとみなされます。
運用報告書って?


運用報告書には何が記載されているの?

運用報告書には何が記載されているの?

「交付運用報告書」には、決算期間の基準価額の動きはもちろんのこと、皆さまが投資したお金を運用のプロであるファンドマネジャーがどんなマーケット環境の中でどのように運用し、その結果どうなったか?また今後はどのように運用していくか?などが記載されています。そして、運用と管理にどれくらいの費用がかかったかなども合わせてチェックすることができます。また、「運用報告書(全体版)」では、「交付運用報告書」の内容に加えて、実際にファンドが組み入れていた全銘柄が分かる他、例えば外国株式ファンドの場合では、どの国にどれくらい投資をしたのかなども知ることができます。

受益者に必ず交付される「交付運用報告書」は原則として下記に記した①~⑥の項目が、運用会社各社の創意工夫のもと掲載されています。

① 

運用経過の説明

  • 基準価額などの推移

  • 基準価額の主な変動要因

  • 1万口当たりの費用明細

  • 総経費率

  • 最近5年間の基準価額の推移

  • マーケット環境、ポートフォリオの状況

  • ベンチマークとの差異(ベンチマークがある場合)

  • 分配金

上記の表で下線になっているものが、比較的重要と思われる項目です。
期間中における基準価額の上昇や下落要因をファンドマネジャーがマーケット動向や運用状況などを踏まえ説明しています。例えば指数連動型運用ではベンチマーク(運用目標とする指標)に連動しているか、積極型運用ではベンチマークを上回っているか、などをみてみることもポイントとして挙げられます。
また、忘れてはいけないのが、「1万口当たりの費用明細」です。売買委託手数料や運用管理費用(信託報酬)など、期中にかかった費用を掲載しています。最近は純資産総額に占める経費の割合を示す「総経費率」が追加になりました。

② 

今後の運用方針

組入資産ごとに、交付目論見書の「ファンドの目的・特色」に基づいた今後の運用方針が、文章にて簡潔にわかりやすく表示されています。現在のマーケット環境などを鑑み、今後の運用方針を説明しています。

③ 

お知らせ

投資信託約款の内容や、運用体制の変更など、委託会社が重要と判断した変更等が記載されます。

④ 

当該投資信託の概要

商品分類、信託期間、運用方針、主要投資対象、運用方法、分配方針について表示しています。

⑤ 

代表的な資産クラスとの騰落率の比較

参考情報として、投資信託の騰落率と交付目論見書に記載の「代表的な資産クラス」の騰落率が記載されています。これを比較することで、ファンドのリスクとリターンの程度を確認できます。

⑥ 

当該投資信託のデータ

組入資産の内容、純資産などの概要をグラフや表を用いて表示しています。
また、ファミリーファンド方式の場合は、マザーファンドの基準価額の推移、組入れ上位10銘柄等、1万口当たりの費用明細なども確認することができます。

運用報告書(全体版)は上記の①~⑥に加えて、⑦売買および取引の状況 ⑧株式売買比率 ⑨主な売買銘柄 ⑩利害関係人との取引状況 ⑪自社による取引状況 ⑫組入れ資産の明細 ⑬信託財産の構成 ⑭資産・負債・元本および基準価額の状況 ⑮損益の状況 ⑯分配金のお知らせなどを掲載しています。(組入資産によって記載項目が異なりますので、上記がすべてではありません。)

長期投資においては短期的な値動きに振り回されないことは重要ですが、一方で定期的な運用状況の確認も大切です。投資信託への投資であれば、定期的に届けられる運用報告書から運用成績や運用状況などをチェックし、今後も継続して保有し続けるか検討することもできます。まずはポイントを絞って、目を通してみることからはじめてみてはいかがでしょうか。

運用報告書の作成の流れ

皆さまの手元に「交付運用報告書」が届くまでの日数は、運用会社によってまちまちですが、決算日からおおよそ2ヵ月ぐらいを要します。
どのような過程で皆さまの手元に届くかをみていきましょう。

運用報告書の作成の流れ

※上記はプロセスのすべてを表したものではありません。

上記の表を簡単に説明します。

① 

計理システムにより管理されている基準価額や売買状況などのデータを決算日翌日に出力します。ファンドマネジャーは期間中のマーケット環境や運用状況を振り返り、コメントを執筆します。

② 

印刷会社にデータを入稿し、ドラフト版を入手します。

③ 

作成部署、ファンドマネジャー、コンプライアンスとそれぞれの分野のプロによるチェックが行われます。システム化が進んでいる昨今ですが、内容に矛盾がないかのチェックや法令遵守などは、その分野のプロの目で厳しくチェックが行われています。

④ 

各販売会社へ納品されます。

⑤ 

各販売会社から皆さまの手元に届きます。

運用報告書はプロの考えを知る良い機会

このように、運用報告書は皆さまの手元に届くまで2ヵ月程度の期間がかかるため、必ずしもタイムリーな情報とは言えません。しかし、マーケット環境や実際にファンドに組み入れられていた銘柄、そして今後の運用方針などファンドマネジャーのファンドに対する考え方と実際の投資行動を知るにはうってつけの情報と言えるのではないでしょうか。
運用報告書は、難しいものだと敬遠されがちですが、昨今では運用会社各社が図や表を用いて、受益者にわかりやすいものを工夫して作成しています。投資信託は運用をプロに任せられる点がメリットの1つではありますが、投資そのものの責任は投資者である皆さまにあります。自分が預けたお金が、どのように運用され、どんな状況になっているのか、少なくとも半年に1度または年に1度確認することは、投資を「自分ごと」として再認識ができると同時に、投資の継続、再検討などの皆さまの資産形成の手助けになると考えられます。手元に届きましたら、是非一度、目をとおしてみてください。

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